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ランドマイン  作者: 淡月 涙
16/50

『繋がった想い』

「戒?何してるの?」

檻に触れながら一生懸命粘っている彼に愛理衣が声を掛けた。

「以前みたいに壊せないかなって。でも、さっきからやってるのに全然利かないんだ」

「溶けないの?どうして・・・」

「其になんか、力が入らなくて・・・ 」

「えっ」

そう言われて愛理衣も檻の柵に触れた。特に何も感じない。

「少し休んだ方がいいよ、戒」

「・・・うん」

鎖は外れている。大した仕掛けもしていない。なのにどうして・・・。戒は何故、能力が使えないのか不審に思っていた――。




商店街から少し離れた男の子の家にリン達は移動していた。麗夢とアスカの傷は創葉が治してくれた。次第に体力も回復すると言う。

「あなたの能力は治癒なの?」

「此れは生まれつき持ってた能力なんだ。ボクの能力はまた別」

「そうなんだ・・・」

何も知らない兄の事をリンは少しでも知りたいと思った。

「いいなぁ。創葉にこんな妹がいて」

リンを見ながら佐月が羨ましがった。

「二人を傷付けた事は謝るよ。ごめんね」

「あっ・・・いえ・・・。傷もすぐ治ったし・・・」

「優しいね」

褒められてリンは頬を赤らめる。

「其で?佐月はどうするの?」

「どうするって決まってるじゃない。創葉と一緒にいるよ」

「それは解った。このまま一緒についてくるの?ボクらは廃墟に行くけど」

「だったらぼくが案内するよ」

「平気?久住にバレたら・・・」

「うん・・・。ただじゃ済まないね。でも、大好きな君を守れないよりかは、一緒に闘って想いを果たしたい」

「佐月・・・」

彼がそんな風に想っていたなんて知らなかった。創葉が何か言おうとした時、麗夢とアスカが目を覚ました。場所が変わっている事に戸惑いを感じたものの、二人はすぐに順応した。

「・・・リン」

アスカはすぐに少女に気付いた。

「アスカ・・・」

「無事だったんだな・・・。良かった」

彼は安堵した様子で肩の荷を下ろした。

「アスカ、腕の怪我は大丈夫なの?」

「あぁ・・・。大した怪我じゃなかったよ」

カナンに治して貰った事は伏せておいた。

「ごめんね・・・。あたしの所為で・・・」

「お前の所為じゃない」

アスカは優しく笑ってみせた。

「リンの友達?」

話を変える様に創葉がアスカに声を掛けた。

「そう・・・だけど、貴方は?」

「ボクはリンの兄です」

「えっ・・・!?」

アスカは驚きながらリンを見た。

「あたしも知らなかったの。まだ小さかった時に別れたから・・・」

「そうなんだ・・・」

初めて知る事実にアスカは戸惑うばかりだ。

「隣の君は?」

急に振られて麗夢は反応が遅れてしまった。

「・・・麗夢。アスカとはこの街で知り合った」

「どうしてそんな格好をしてるの?」

「・・・仲間を助ける為に、抜け出してきたんだ」

「――囚人?」

創葉に当てられて麗夢は口をつぐんだ。

「隠す事ないよ。もう君を連れ戻す人達は此処にはいない」

「えっ・・・でも・・・」

麗夢は視線だけを佐月に向けた。

「あぁ、彼ならもう敵じゃない。ボクの友達なんだ」

「友達・・・」

「さっきは悪かったね、二人とも。ぼくは佐月。創葉とは昔馴染みなんだ」

「ホントに・・・?何か企んでんじゃない?」

「疑い深いね。――大丈夫だよ。ぼくは創葉に恩がある。だから、彼を裏切る行為はしない」

「・・・そうかよ」

まだ完全には信じきれなかったが、半ば安心もしていた。麗夢は少しだけ佐月から離れた。

「此処ってお前の家なのか?」

話に付いていけない男の子にアスカが振った。

「そうだよ」

「一人暮らしか」

「まぁね。慣れたし、色々楽だしね」

「へぇ・・・。そういえば、お前、名前は?」

「イズだよ」

その名を聞いて麗夢が反応した。

「お前、イズっていうのか!?」

「あぁ」

「遊音って知ってるか?」

「・・・兄さんを、知ってるの?」

イズは驚いた様子で聞き返した。

「俺は遊音や仲間を助ける為に出てきたんだ。でも、遊音は家族は殺されたって・・・」

「・・・ぼくだけ助かったんだ。でも、あの時は意識が朦朧としてて・・・」

「――お前も、一緒に来るか?」

突然の誘いにイズは戸惑いを見せた。

「麗夢。危険なんじゃないのか?まだ、子供だし」

アスカが意見を述べる。

「子ども?何言ってんだよ。そんなの関係ねぇだろ。子どもだって戦える」

「だけど・・・」

「そうだね。目的があるのに、進まないのは良くないな」

創葉が麗夢に同意した。

「でも、君が決める事だから。」

「・・・行きたい。一緒に行ったら兄さんに会えるんだろ?だったら、連れてって」

イズは強い意志を表した。その瞳に迷いはない。

「OK。皆を助けに行こう」

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