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1話目 危ないから屋根に上がるな
これは各話ごとが短いですが、それはそう言うのですので、気にしないでください。
また、お気に召されるような作品に仕上げたいと思っていますので、どうかお付き合いいただけたら嬉しい限りです。
犬の声が響き、月明かりが照らされる夜に、一人の少女が空から落ちて来た。
「――――しゅたっ」
そして見事に着地を果たした。
「さすがだ。だが危ないから屋根に上がるな。ユキ」
僕は少女ユキに言った。
そしてユキの返しはこう。
「月を見ようと思って、空を見上げたら……足を滑らした」
あほか。
「だから危ないと言ってるんだ。何回言われたら気がすむんだ」
「……わかんない」
わかんないじゃないだろう。まったく。
「……はぁ。まぁいいや。中入ろうぜ。もう春と言っても、まだ肌寒いからな」
「……うん」
これが僕たち双子の日常だ。