初めての本音
嗚呼、意識が覚めていく――。また不毛な現実に、戻される――
+ + +
「…………麻、……笑麻…………!!」
目が覚めると其処は、気を失った場所。旧校舎の中だった。もう太陽が昇っている。
朝だろうか。直に、目に日光が入る。本当に、日が眩しい。
美恵が、本当に心配そうに、私の顔を覗きこんでいた。
美恵の顔は真っ白。というより、真っ青。
徹夜明けのような――、もしかして、ずっと起きてたのかしら。
「笑麻……!!」
美恵が、私に抱きついた。……美恵には悪いけど、重い。
「良かった……っ、いなくなっちゃ…………ったと思っ、た……」
美恵が泣いている。私は笑って、そっと美恵の頭を撫でた。
そして、重くて苦しいが、口を開く。
「ねぇ、美恵?」
寝たままの姿勢で私は尋ねる。
「な……っに?」
しゃくり上げながら、美恵が顔を上げる。目が真っ赤。
私は微笑して、事実を告げた。
「会えたよ。夢の人……」
美恵が、幾度も頷く。
「居る、よっ……? その、子……いまっ職員、室に……」
今度こそ驚いた。あの人は、幻じゃなかった。
夢じゃ、なかった。あれは正夢。
「そ、か……。正夢、かぁ……」
私は呟いた。意味もなく、ただそう呟いていた。
「転、校っ……て、いう事に……、なるかも、ね」
「そうだといいね」
私は起き上がって、美恵に笑いかける。
そして、思ったことを、素直に言葉にする。
「"うん"」
嗚呼、今日はなんて清々しい日なんだろうか。
――こんなにも空が、蒼い。