夢との遭遇 2
.
私は夢の通り、夜の旧校舎で佇んでいた。
やはり、夢に出た、あの人はいた。
私はやはり腰を抜かした。そして、置いていかれた。
話したこともないクラスメイト達に。
全てが夢の通りで、全てが造られた空間のようだった。
夢の通りの不気味な風景。
夢の通りの怪しい雲行き。
夢の通りの思考停止。
夢の通りの軋む旧校舎。
夢の通りの幽霊が出そうな不気味さ。
夢の通りの……あの人。
なにもかも、全部同じ。
なにひとつ違うところはなかった。
あの人は確実に生きてる。そう思うだけで、幾分か楽になった。
そして、あの人は誰、という途方も無い疑問が、浮かぶ。
其の人に向かって歩き出す。其の肌に、其の首筋に触れると、僅かに応える脈動。
私は其の人に覆いかぶさるように、横たわった。
体温が、僅かに感じられる。私より、少し暖かかった。
雷が鳴る。其の人が白い光に照らされる。
「ぁ……」
小さな声が漏れた。それは、驚嘆の声。
其処に見えたのは、綺麗な顔。其れはまるで、生きている者ではないような、
骨董のような脆さ。造られたような、美しさ。
しかし何処か幼さを思わせる目元が、その身体の小ささが、
大人になりかけの少年のような印象を与えていた。
息を呑む暇すらない程、私はその顔に、魅せられている。
既に光はなく、顔も見えなくなっているのに、私は其の顔を見つめていた。
そして、夢の通りだったという安心からか、
夢の通りに、私は意識を失った。
これから、どうなるのだろう……?
もちろん、答えはない。