プロローグ 始まりの夢
夜。学校の廊下で、私は佇んでいた。
目の前にいるのは、夢か幻か。どちらかだと思いたい。
そこには、若い一人の男が倒れていた。
暗くて顔は見えないが、その男の頭には血が付着していた。
本来、真紅であるはずの"それ"は、
どす黒い赤色をしていた。本当は人の中にあるものなのに、"それ"は、
血は、私の目に、映っていた。それは衝撃的なことで、なにをしたらいいのか、わからない。
周りにいた友達は、逃げていった。私だけが、取り残された。
それも、腰を抜かすという、あまりにも格好悪い形で。
まず、その人を助けなければならなかった。
足に力を入れる。なかなか動かない。
ぐ…と更に力を入れると、足が持ち上がる。
そのまま、足を前に出す。黒く、長い髪が揺れる。
自分の足ではないような、妙な違和感。
それは足から、腰までに至り、脳は麻痺しているように、虚ろな考えしか
生み出さない。それでも、助けなければいけないと脳が発する。
私は、その人への一歩を踏み出した。
そこにたどり着いたとき、私の足の力は抜け、ペタン、と座り込んだ。
手を、その人の手に伸ばす。
その人のそれは、冷たかった。死人のように。
その考えが過ぎったとき、背筋に戦慄が走った。
今まではそんなこと考えなかった。でも、もし、死んでいたら?
手を、首に当てる。脈は、ある。その手を、口元へ持っていく。息も、ある。
この人は、生きている。そう、確信した。
生きていることを確認すると、緊張の糸がプッツリと切れてしまった。
私の意識は、無くなった。
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