雑談
「そういえば誠ね、この前妹と手つないで歩いてたよ。」
当然のようにおしゃべりタイムとなってしまった自習の時間、私は優斗と落書きをしながら話していた。
「へぇーシスコン?」
「だよ。」
「くゎあんわいい〜!」
私は身悶えする。
「妹確か3歳だったかな。」
「歳そんなに離れてるんだ。」
「12歳差?両親頑張ったね。」
優斗がニヤりとつぶやく。
「‥‥‥これだから男子は」
やれやれと私は飽きれる。
「違うよ。ってかそれ言ったら誠だって男子だからね!」
「誠は男子だけど男子じゃないいい!」
「いや、それ別の意味でとらえられるから。」
「それでもいいいい!」
「は?お前ホモ?」
馬鹿じゃないの?という目線を送り、私はルーズリーフに誠の似顔絵を書く。
「‥‥‥似てない?」
「似てない。お前美化しすぎ。誠なんてこんなだよ。」
優斗がすらすらと誠の似顔絵を描く。
「なにこれ。似てないよ!ってか、どうみてもニートでオタクの顔じゃん。目が死んでる!」
「アイツニートでオタクじゃん。目死んでるし。ははっ!」
「ちがうううう!」
そういって私は自分の描いた誠に体と付け足す。
「‥‥こんな感じ?誠って美脚だよねー」
「ってかアイツ、スネ毛剃ってるから。」
「え?マジ!かわいいいいいい!」
「お前オカシイだろ‥‥‥何?そんなのに萌えちゃうわけ?」
「萌え萌えだよぉ。」
「お前、変。」
優斗は『女子って意味不明』とつぶやきながら机から本を取り出して読み始めた。
「俺、これから本読むから話しかけんな。」
「へいへい。」
私も本を探す。
読み始める。
ざわざわという教室の声が段々大きくなって、しまいには隣のクラスから苦情くる。
そんなお決まりのやりとりを聞き流しながら、私は本に没頭した。
そんな、6月。