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はじまり

ふぅ。と、深呼吸して、スタートラインにつく誠。

私はうっとりとしてその姿を見守る。

合図と同時に、誠は風を走り抜ける。

キラキラとした余韻を残しながら、誠は笑顔でゴールした。

先生が大きな声でタイムを叫ぶ。

おぉ。というどよめきが起こり、女子の熱い視線を独り占めする誠。

はぁ‥‥‥格好いい‥‥。


「お前、どんだけ誠のこと好きなんだよ。」

私の右隣で優斗が小声で言った。

「へっ?」

「顔、ニヤついてる。」

私は慌てて自分の頬を触る。

触って、その上がりきった頬を、両手でぎゅーっと無理矢理下げる。

数学の授業をしている先生に見つからないように、優斗に顔を向けた。

「わはっへはいほ?」

「何言ってるか分からない。」

「わ、笑ってないよ!」

「あぁ。なるほど。ってその顔!‥‥ぷっ。」

優斗はそういって笑った。

笑って、それから真面目な顔になる。

「せっかく可愛いのに。」

不覚にも、私はドキっとしてしまった。

私は窓の外を見ながら言う。

「優斗は優しいねぇ。」

「まぁねぇ。」

「はぁ‥‥‥‥私も優斗くらい優しかったら誠も振り向いてくれるのかなぁ?」

「さぁ?もう振り向いてたりしてねぇ。」

「それはないよ。‥‥‥誠ぉ〜‥‥‥。」

私は机に突っ伏した。

「耳まで赤いよ?」

「‥‥うるさいなぁ。」

私はもう一度校庭を見た。

ダサいジャージも、誠が着ると格好よく見える。

本当に、素晴らしい人だと思う。


授業が終わり、優斗は私に言った。

「1組行くけど、一緒に来る?」

「行く!」

1組は誠のクラスだ。

誠の席はドアの近くなので、1組に行くだけで誠に近づくことができる。

「はぁ。お前ベタ惚れにもほどがあるよ。」

「悪かったわねぇ〜♪」

「俺は女には興味ないし、恋とかしたこともないから分からないけどさぁ、そんだけ好きになられる誠ってスゴいよな。」

「誠は偉大だよ!」

「ふぅ〜ん。」

優斗は興味なさそうに言った。


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