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第四話 籠の鳥

あれ……


あれからどうなったんだっけ……首チョンパされて……


ミナカタが俺の頭を拾ってくれて……


ダメだ全然思い出せない。



ーーーガシャンッ!!


身体を動かそうとすると鉄がぶつかり合う様な鈍い音が響き、暗闇の中目が慣れてくると自分の置かれた状況が次第に把握出来た。自分の両手には木製の手枷が取り付けられており、足には錠と鎖、そしてその先には黒い鉄球がくっ付いていた。



完全に捕縛スタイルだなぁ……ってかなんで!?

俺なんか悪いことしたかな!?褒められることはあっても責められることはしてないと思うんだが!?


必死に木製の手枷の板を床や鎖にぶつけてみるもさすがちゃんと壊れない様に出来てますわ。

やるねぇえ



焦燥と動揺でガチャガチャしていると隣の壁から女の声が聞こえてきた。



「目、覚めたみたいだね。新入りさん」



その声に対して俺は「ここは一体どこです?なんで俺はここに?あなたは誰?」とWhy?を投げかけると彼女はすぐに「私はヨル。ここはマヤ台国の牢屋の中で。あなたが入れられたのはきっと私と同じ化物だから。」と淡々と答えた。



「化物?……俺が!?……俺はただの人間だって!ミナカタもそう言って……」と言いかけた所で自分の行いを振り返り「確かに化物だわぁ……」とセルフで納得した。



そらそうだよな。首チョンパされた人間が首くっついて今こうしてピンピンしてれば化物呼びも致し方ない。

魔物だと言われて討伐されてないだけマシか……。


「ヨルさんはなんか特殊な力とか持ってたりするの?……ここにいるって事は……」と尋ねると彼女は「私はかなり変だよ。女王や巫女が持つ力を持ちながら魔物の特性まで備えてる……だから上の人達にとって邪魔者でしかないんだ」と答え、壁越しで表情等わからないがその言葉と声に俺は彼女の悲しみを少し感じる。



なるほど……なんか悪いこと聞いちゃったな……なんか違う話題を振らないととそう思って咄嗟に出た質問は「じゃあ、ここから出られたらどこに行きたい?」だった。



馬鹿か!!これも地雷だろうが!!だから結婚どころか彼女も出来ないんだ!女心のわかんねぇ奴だな!!



地雷に思えたこの話題に対して彼女は「もうずっと月すら見てないのに!!そんなこと聞かれるとは!!プククククwwwダメだ!久しぶりにこんなに笑っちゃった」とひとしきり笑った後「海……かなぁ……昔を思い出しながら海が見たいな……」と答えた。


その寂しげな答えに俺は「いいね!!きっと出られるよ!!」としか言えなかった。


なんというか無神経すぎたな……と反省しながら沈黙が続くと次は彼女の方から「そういえば君の名前を聞いてなかった。君の名前は?」と尋ねるので「(マコト)です。26歳独身です!!」と答えると「別に年齢と独り身かどうかは聞いてないけどね。でもそうかぁ〜私の半分以下しか生きてないんだ。」と衝撃発言を繰り出し、思わず「ええッ!?」と声に出してしまう。



年齢だけで行くと完全におばさんというよりかおばあちゃんだけど……それにしては声は若く聞こえるよなぁ……アニメ声優?みたいな感じか?逆に酒焼けしてて若くてもハスキーな人もいるし……等と考えていると「失礼な奴だ。女はいつまで経っても女なんだぞ。」と一喝を入れられる。


「まだなんも言ってないでしょ!」とすぐ否定したがすぐに「間がありました!絶対BBAじゃん……って考えてました!このクソガキが!!」と壁越しでもバレバレだったようだ。



その後他愛もない会話をヨルと交わし、どれくらいの時間が経ったかわからないが彼女のおかげで俺は精神的苦痛を感じずに過ごす事ができたが、それと同時にこの何もない空間で一人で過ごしてきた彼女の強さは計り知れないものだと俺は思った。


会話の途中、突然彼女は一つ大きなため息をついて「そろそろか……いやーこんなに楽しかったのは久しぶりだったよマコト。でも、楽しい時間っていうのはあっという間に過ぎ去るものなんだね……」とまるで別れを切り出すかの様な事を言い放った。


一体それってと声に出しかけた所でガシャンッと扉の開く音が聞こえてぞろぞろと筋肉ムキムキマッチョマンの兵士らしき者達がぞろぞろと入ってきて、俺に向かって「アスラ王がお待ちである。暴れるでないぞ化物」と兵士達と言い、俺はその牢から出されるのであった。


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