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第二話 スワ国のおスワ様

「俺ぁ仲間達にこの獣の処理を任せてくるからこれでも羽織ってなッ!」


そういってミナカタ様と名乗る長髪の快男児は自分の羽織っていた上着を脱いで俺に渡し、再び共に狩りをしていた仲間たちの元へ走っていった。


俺はミナカタの麻?の服をバスローブみたく体に巻き付けながら先程の出来事を思い返していると幼女(ツクヨ)の「お前が元々持つ力の一つを最大限に高めてやろう」という言葉が再び脳裏に過る。


俺の……元々持つ力って……なんなんだ……忍耐力とかそういう話か?……


俺は自分の両手を見つめながら突然目覚めたその力に困惑を隠せないでいた。



そんな様子を見てか察してかはわからないが先程の快男児であるミナカタ様がこちらに戻ってきて俺の肩を組み「何が何だかって感じだな!まぁここじゃなんだ。とりあえず俺の家で色々話そうぜ!!」と彼は丘の向こうに見える山の麓を親指で指した。



その道中俺は生前培った営業スキルを生かして質問をする。


「ミナカタ……様はその……なぜ俺がこの世界の人間では無いと?……」


その質問に対して、彼は肩を組みながら快くその質問に答える。


「いや、俺ぁ予見の力は殆ど持っちゃいねぇんだが、血筋的なもんで自分の住まう土地に異なる者が入ってきた位はわかるんだわ!」



予見の力……予知みたいなものなのか……

というか俺はあの狩場にいた人達、そしてミナカタ様とは全然違うって事なのか?



「一体他の人間達と何が異なるんですかね?……」と俺は少し俯くと彼は俺の背中をパンッ!!と叩き「悪い意味で言ったんじゃねぇよ!!落ち込むなって!!なんか色々混ざっちゃあいるが、お前さんは間違いなく人間だ!!」と励ましてくれた。



山の麓の周辺には田園地帯が広がっており、ミナカタ様曰く村で無くれっきとしたスワ国という小さくも一つの国なのだそうだ。村だ……と呟いて村じゃねぇよ!!と笑いながらツッコミを入れてくれる彼の人柄に救われながら、ミナカタ様と共にスワ国へ入っていくと木と藁の住居から続々と住人と思しき者達が現れて彼をおスワ様と呼び出迎える。



というかこれスワ国のおスワ様ってこの国のトップなんじゃ……という心配事がよぎったがスワ国の人々の優しい人柄と彼の俺に対しての対応でここに敵は居ないんだと直ぐに安心できた。



住居群を抜け、山に向かって伸びる石の階段をしばらく上っていくと木造の立派な建物が姿を現し、彼はこっちこっちと手招きして一番大きくて立派な建物の中に呼び入れてくれ、彼はどかっと音を立てて敷物の上に座って俺も座るように言われ一息つく。


そして俺はずっとここまで感じていながらも言えなかった事を初めて尋ねた。


「ここは日本……ですか?」


そしてスワ様……ミナカタ様もその質問に対して質問で返した。


「その前に……お前さんこれがなにかわかるのかい?」


そう言って取り出したのは稲穂で俺はその質問に対して米だと答えた。


「じゃあこれは?」と指を鳴らすと突然なにも無い空間からゴトンッ!!と大きな音を立てて木の置物が目の前に落ちてきた。


それは、人間の身体にトカゲか蛇か……わからないが爬虫類系の頭を持った人形だった。


その仰々しい人形に俺は首を横に振る。


ミナカタ様は俺のその様子を見てポツリポツリと口を開き話し始める。



「お前さんの住んでた場所とここは限りなく近くも何かが決定的に違う世界だ……米や村という概念を知っていながら魔物という概念が出てこない。何より俺達の国を見ていたお前の反応はどちらかというと俺からすればかなり薄く感じた。まるでかつて見た事があるかの様なそんな反応だ。」



そう、彼の言葉通り俺はこの世界にやってきて猪の大きさやそんな猪を狩る人々の能力の高さには驚かされたが、この神社の様な建物や竪穴式住居といった暮らしに対しての驚きはそこまで無く歴史の教科書で見た事あるなぁ程度のものだった。



そしてミナカタ様はそんな俺の様子に違和感を感じながらもずっと観察していたのだった。



「魔物という概念は存在しています。けれどもそれは何というか俺達の世界では伝説や空想上の生き物で実際に見れるわけではなくって」と俺は補足を加えるとミナカタ様は「そら住みやすい世界だな!羨ましいぜ!!」と笑って答え、その答えに日々の暮らしを魔物達に脅かされながらも懸命に生き抜いているからこその人々の能力であるとすればそれも妙に納得できると俺は思った。




彼は胡坐のままパンと自分のももを叩いて

「そういえばきちんと名乗ってなかったな!俺はミナカタ!!スワ国のテッペンだ!!お前さんは?名はあるのかい?」と尋ね「俺はマコトです!!別世界から来ました!」と答えた。

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