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序章

やぁ、みんな!俺は神宮寺 誠(じんぐうじ まこと)!26歳!!


どこにでもいるブラック企業の低所得会社員だ!!


サビ残最高!!長時間労働喜んで!休日なしも致し方なし!!


エナジードリンクとコーヒーがお友達!


友達といえば最近唯一と言える人間のお友達の結婚が決まったぞ!!俺は二人を祝福するよ!!ご祝儀も送って!!


彼女いない歴=年齢の不健康ボディな俺からしたら縁もゆかりもない話だけれども


まあでも幸せの形ってそれぞれだからさ!!別になーんとも!なんとも思ってないんだけれどね!!



え?意外と幸せそうだって?


ハハッ!社会人になって早4年、もうとっくに壊れちゃってたからね!!!辛さ(つらさ)を感じる部分がさ!!




そんなバグった俺はこのお先真っ暗な国で死ぬまで働き続けて最後は一人でおっ死んじゃうんだって勝手に思っていたんだけれど……



まさかの帰宅途中のバイク事故で悲惨な死を迎えるとは思ってもみなかったよなぁ!


最後に見た光景は綺麗なまん丸のお月様でそういえば今日はスーパームーンだとかなんとか言ってたなぁとか考えながら眺めていると段々と意識が遠のいていくのがわかって途絶える寸前に声が聞こえてさ、結局なんて言ってるかはわからなかったんだけれど一つだけ言える事は次に目が覚めたら


これだ……。



空間というには何もなさすぎる真っ白な空間に俺は素っ裸で佇んでおり、目の前には白銀の髪を靡かせた幼女が立っている。


完全に(はた)から見れば事案、速攻通報案件もいいところだ。幼女は素っ裸の俺の不健康ボディを上から下まで一通り眺め、息子部分を見てフッ……と鼻で笑ってから考えを見透かしているかのように頭の中に語りかけてきた。


「状況整理は終わったか?」



俺は声を出そうと口を動かしたが声が出ず、思わず口をパクパクしながら喉を抑えると幼女は


「口に出さずとも良い。そもそもその臭い口を開くな。」と毒を吐いた。



この幼女……出会って数秒で俺の事ディスりまくりなんだけど!将来有望だな!!


幼女(メスガキ)にザーコザーコ♡されるのは現代では一種のご褒美でもあるし、わからせの有無などで癖として別れるが……俺は特になくても大丈夫ですッ!!!ちなみに俺はロリコンでない



その考えを読み取ったのか幼女はさらに俺を見下すような目線で「本当に気色悪いな……死んで正解だったんじゃないか?……世界の為にも……()()()()()()()」と気になるフレーズを吐き捨てた。



異世界!?異世界ってあの異世界!?最近は異世界配信系が流行っているというあの!?最強能力でチートしちゃうっていうあの!?ハーレムをいつの間にか作っちゃうあの!?


道理で幼女らしからぬ雰囲気が溢れ出しているなぁと思ってたんですよぉ〜!先に言ってくださいよぉ〜!!


俺は目の前の幼女に対して手で胡麻を擦りながら腰を低くして歩み寄っていく。すると「ほぅ良い心がけだな。ほれ椅子だ」と俺の髪を掴み、四つん這いにさせてその上にちょこんと座った。



まるで重さを感じないッ!!!というか背中から多幸感が溢れ出す!!!なんだこれはッ!!!



その快感とも呼べる新感覚を味わう俺に彼女は語りかける。



お前(椅子)が望む能力(チート)女を惹きつける美貌(ハーレム)を与えてやる力は無い……がこの座り心地に免じてお前が元々持つ力の一つを最大限に高めてやろう」



そう言うと俺の不健康ボディが特に変わる訳でもイケメンになるわけでもなく……ただただ内なる何かが力を増していくのがわかった……



そして気づく。俺は四つん這いになりながらも顔を上げて振り向くと、まるで幼女の力を俺が吸い上げるかの様に光が俺の身体に入りこんでおり、幼女の体が段々と透けていっている事に。



その光景に俺は思わず、頭の中で叫んだ。



何やってんだッ!!!なんか消えそうじゃんッ!!もういいってそこまでしてもらわなくても!!



彼女は必死そうに高慢な態度を取りながら「お前なんかに心配なんてされたくない。ただ……ここまでしてやったからには必ず世界を……」と微笑み俺の頭を撫でた。



その瞬間存在しないはずの記憶が瞬間的にフラッシュバックし、大量の涙と共に彼女の名前が口からポツリと溢れた。


「ツクヨ……」


その溢れた言葉は彼女を一瞬戸惑わせ、しかしすぐに笑いかけながら「また会おう……誠……」と俺の名を呼んで完全に姿が見えなくなってしまった。なぜかわからないけど涙が止まらない。



こんなに心がズキズキして押しつぶされそうな思いをしているというのに消える前の彼女の笑顔しか思い出せず、必死に先程の瞬間的な記憶を思い出そうとするも俺の生きてきた記憶のどこにも存在しないのだった。


ただただそれが嫌で嫌で訳もわからず、何もない真っ白な空間で一人、駄々を捏ねる子供の様に頭を抑えながらのたうち回って泣き叫ぶのだった。

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