魔女のマリーナ
私は魔女。
それなりに、民からは慕わられてるし、何かあれば助けたりする。
ただ、魔女は寿命が長い。でも、必ず寿命は来る。
『では村長さん。こちらで薬辞典は終わります。次は毒草辞典を作りますね。毒草でも、毒キノコや実や花など5巻ぐらいになります』
「いやいや、助かります。流石は魔女様。子々孫々、このことは伝えて行きます」
『ふふ、ありがとうございます』
さてお金も貰ったし…久しぶりに街に行くか。砂糖など足さなきゃならないものがあるし。
街に行くと、マジックバッグの中に買ったものを入れていく。
砂糖にジャム、新しいフライパンや鍋、下着や必要な物を買い、喫茶店で休む。
【ぎゃ…お…ぎゃ…】
ふむ…。赤ちゃんか?あの路地から聞こえるな。
私はサッサと路地に入ると、みかん箱に乱雑に入れられた赤ちゃんを見つけた。
中には腐りかけたミルクに、悪臭を放つ赤ちゃんは、糞尿にまみれ息も絶え絶えだ。
『行きたいか?目を開けろ』
赤ちゃんは力を振り絞り、目を開ければ翡翠の瞳をしていた。
『ふん。なら…アンタは今日から私の子だ。とりあえずは、孤児院で身体を洗いな』
汚い赤ちゃんを担ぎ孤児院に行けば、シスターが直ぐ様身体を洗い清めてくれた。
話を聞けば、路地は赤ちゃんや老人を捨てるための場所にいつしかなったと聞いた。
『…コイツは私と生きると意思表示をしたから引き取る。直ぐ様養子縁組をしろ』
「はい!」
1時間で手続きは終わり、私は帰宅し村人にも助けてもらいながら赤ちゃんを育てた。
赤ちゃんはローズと名付け、先日私に婚約者を紹介した。
村長の次男だが、頭もよく義理堅く、なかなかの好青年だ。
私はもゔ…寝たきりだ。
ローズが幸せになるならば、いつ死んでも構わないよ。
「お母さん死なないで」
『もう、275歳なんだ。いくら魔女だろうと、寿命には逆らえない。
そして、アンタは…私から沢山学んだろ?次男と共に…。ならば…この家で…薬屋でも何でもやりな…』
「おか…さ、ん…」
『次男…いや、カリィ。ローズを頼むよ。大事な娘なんだ…大事な…家族なんだ、大事に…しておくれ…』
「必ず!必ず幸せにし、いついかなる時もローズを守ります!大魔女マリーナ様!」
私は二人を抱き締め、祝福のまじないをかけ、眠りについた。
私は魔女。
一人で生きて死ぬのが当たり前だ。魔女はそう言う者だ。
だけどね、アンタは私に光を与え、喜怒哀楽を与え、幸せをくれた。
ローズ。
アンタは私の大事な大事な娘。
幸せにおなり。
誰よりも。
誰よりも。
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