転移
2021年1月4日、プログラマー歴2年目の男、小林 裕二は死んだ。交通事故によって。家族とも疎遠であり、友と呼べる人が1人も居なかったこの男ほ24歳という若さで孤独な死を遂げた。
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「せめて、来世はもっとはやくにプログラムに出会えますように」
瞑ったままもう開くことの無いと思われた瞼を裕二ほ開いた。周りには草原と、、、牛。
「ここどこ?」
次に目を開ける時には自分は天国の景色か新たな生みの親の顔を見ることになるのだろうと予想していた俺はここがどこなのか、何故周りには誰もいないのかと混乱していた。
仮に信号無視してきたトラックからの体当たりで自分が運良く助かっていたとしても今いるべき場所はこんな緑の茂った大地では無いはずだ。もっと白くてふかふかしていて天井に無数の穴が空いている四角い部屋で寝ているはず。
「どうなってんの?まさかとはおもうが...」
異世界。
俺は常日頃から隙間時間に読んでいた小説のことを思い浮かべた。急な展開、ある程度成長した体、誰も周りにいない1人の状況、異世界へ人間を送り込んでしまうと悪名高きトラック事故イベント、この全ての状況が今自分の置かれた状況がどのようなものなのかを物語っていた。
つまり、俺はどうやら異世界へ転生してしまったようなのである。