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閑話(3) 男共の饗宴

 

  閑話(3)男共の饗宴


「それで? ダグはミリアちゃんをどうしたいの?」


 三か月振りに皇都へ戻り話し合った数時間後、ダグラスはすっきりとした目覚めをむかえていた。簡単に身支度を整えるとその足でヒューバードの部屋に向かった。


 この件を預かると宣言したオーエンの結果次第だが、現状打つ手はない。朝手配してくれたオーエンの部隊は、無事森へ到着し、今後のために臨時に陣を敷設し新たな円を構築している。これでいつでも現場へ飛ぶことができる。消えた場所と同じところへ戻るかどうかはわからないが、とりあえず体制は整った。ハリーもお役御免と夕方、皇都へ戻ってきている。


 ヒューバードは珍しく政務を早めに切り上げたのか、日が暮れたばかりの早い時間帯だが、琥珀色をした液体の入ったグラスを、手の中で転がしている。一口でも喉が焼ける、アルコール度数のきつい蒸留酒だ。ヒューバードはかなりの酒豪で、軍部で鍛え上げられたダグラスより平気な顔して強い酒を好んで飲む。



「どう…って、独り立ちできるまでは、ちゃんと面倒を見るつもりだが。そのつもりで必要な知識を教えてきた」

「はぁ? ちょっと、何言ってるの、父親じゃあるまいし。そうじゃなくて、彼女のこと女性としてどう思ってるか聞いているんだけど」


「……可愛らしいとは思っている」

「答えとしてはずれてるけど、ダグが女を褒めるなんて初めて聞いたな。うん、これは期待していいんじゃない? すり寄ってくる女狐…じゃなくて、すごい美人にも全く興味を示さないもんだがら、ダグの理想はベスピナ山よりも高いんだろうって話してたんだ。なぁ、パット」


 皇国一高い山の名前を出して、ヒューバードは同じテーブルを囲むパットを見た。彼もすでにくつろぎの姿勢に入っており、普段より着崩れた姿で、手元のグラスに手酌で注いで飲んでいる。軽食とつまみ、フルーツの皿を用意したのは言わずもがなパットである。



「ヒュー様がおっしゃっていただけですがね。ダグラス様は本質を見抜く審美眼をお持ちでいらっしゃいますから、むしゃぶりつきたくなるような肉感的な美女というよりかは、これまでのお話から推測するに、内面からにじみ出る美しさの、可憐な愛らしい女性ではないかと推測いたします」


 顔色を変えることなく、淡々と解説するパットにヒューバードは若干引きぎみだ。



「お、おぉ…、なんかすごいな…」

「……間違ってないな」


「うわぁ、こっちもか! ていうか、真顔で同意って、いや、もうそれ確定っていうか、これで自覚なしとか…うそだよね?」


 パット同様至極真面目な顔で、肯定する従弟に目を見張るものの、彼らは動じていない。さらにパットが言葉を連ねていく。



「そうですね、女性遍歴のお手本とすべき身近な相手が、どこかの腹黒皇帝ですからね。残念ながらダグラス様の恋愛観も少々歪んでしまわれたようで。これは兄として責任をとらねばなりませんね、ヒュー様」

「ちょっと待て。色々おかしいだろ! 誰が腹黒だ!」

「はぁ、わかってない…。毎度尻ぬぐいさせられる身になれってんだ」


「パット君? ……ちなみに君はどの子の事を言ってるんだい?」

「おや、やっぱり後ろ暗いんじゃないですか。しかも複数とは。腹黒皇帝に泣かされた女性たちに同情します」


「泣き真似するんじゃない! くそっ、僕はすべて円満に解決してるぞ。お前も知ってるだろ!」

「私はすべからく女性の味方であるべし、を信条としておりますので」


 ギャーギャーと言い合う二人こそ、兄弟そのものだがその様子もダグラスは目に入っておらず、一人考え込んでいた。



「……パット、お前、酔ってるだろ」

「まさか。顔色ひとつ変わらない、どこかの腹黒と一緒にしないでください。私はちゃんと顔に出ます。実に健康的な飲酒です」


「しれっと嘘を吐くな! お前の赤ら顔なんて、これまで一度も見たことないぞ。そのくせ、酔っぱらうと人に絡んでくるじゃないか」

「心外だな、私は絡み酒などではありませんよ。腹黒じゃあるまいし」

「腹黒、腹黒うるさいなっ」


「おい、いい加減にしてくれ」

「ダグラス、パットが酷い! ダグはお兄ちゃんの味方だよなっ」


「騒がしくて考えがまとまらない」

「味方がいない!」


 夜更けにオーエンが顔を出すその時まで、おおいに飲んで騒いで過ごした三人だった。



書き溜め分はここまでになります。ここからは更新はゆるやかになります。

頑張って書きますので、またお立ち寄りください!

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