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アホ。

作者: シャー芯

 いつも空、みて笑っています。

 「なにが楽しい?」

 大人の声、分かってないな。


 僕は明日、旅立ちの日です。

 「さよなら」

 嬉しそうに、笑う大人の声。


 新しい世界、モノクロです。

 「よろしくね」

 隣にいる奴の声、安い声。


 この世界、前と同じです。

 「馬鹿野郎」

 大人の声、前と同じです。


 お前が、すべていけないんだって。

 「そうなのかな」

 痛む心は、何処いったんだ?


 並んだ机、大人の声。

 「簡単だろ?」

 なんて、馬鹿じゃない?


 自己、満足、大人たち。

 「見習え」

 前習えして、唾を吐く。


 何が、正義だ?

 「無駄口たたくな」

 逃げ口、ドア、たたくなって。


 ……いいてぇんだ、僕の声。

 「いま、忙しい」

 偉そうに言う、それがプライド?


 復讐心から?

 「そんな事して何になる」

 わからないよ……。


 本当に教えて欲しいこと、

 「また、今度」

 そう言われるたび、心が冷える。


 ひとり、ぼっちの子供。

 「どうしたのかな」

 ふざけたアホな大人の声。


 ……わかってんだろ?

 「なんの事だ? うん」 って、

 ふざけたアホな大人の声。


 「クソ野朗」 叫ぶ自分の声。

 「うわぁ」 と、アホな声。

 ふたつの声、重なります。


 「馬鹿みたい」 心の声。

 「何してんだ」 心の声。

 「何のために生きてんだ?」


 鉛に繋がれた心。 自由な身体。

 「不自由な自由がこの世界の自由なんだ」

 矛盾する。 子供の声。


 神は死んでしまった。 大人が言う。

 「これからは俺たちが神だ」

 アホな大人の声。 僕の頭の声。


 いつも空、みて笑っています。

 「なにが楽しい?」

 営業スマイル、意味なんてない。


 僕は明日、旅立ちの日です。

 「さよなら」

 心からの、最高の笑顔です。


 新しい世界、モノクロです。

 「よろしくね」

 呟く唇に、触れる雨粒たち。


 この世界、前と同じです。

 「馬鹿野郎」

 大人の声、前と同じです。


 僕の世界、モノクロです。

 「ありがとう」

 誰に言うでもなく、消えてなくなる。


 僕の声、震えています。

 「馬鹿みたい」

 誰に言うでもなく、消えてなくなる。


 アホな、モノクロな、世界。

 「馬鹿みたい」

 けれど、ここは僕の生きた世界。


 そう、思えば、

 「愛してる」

 なんて思えるのかも知れない。


 でも、僕は、

 「愛してる」

 その言葉の音を知らない。


 アホな僕。

 「馬鹿みたい」を、

 馬鹿みたいに呟く僕。


 アホ、アホ、馬鹿みたい。

 「愛してる、馬鹿野郎、死んじまえ」 

 僕の脳内、三択屍。


 「馬鹿みたい」 懐かしい声。

 「頑張りすぎたね」 暖かい日差し。

 「もう、休んで良いんだよ」 愛してる。


 今日、空をみて泣いています。

 「馬鹿みたい……」

 疲れた心を、横に寝かせる。


 アホな、モノクロな、世界。

 「馬鹿みたい」

 けれど、ここは僕の生きた世界。


 ……そう、思えば、

 君を思い出す事が出来たなら、

 「愛してる」


 なんて、思えるのかも知れない。



 

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