3話 複雑な感情
説明、自己紹介が終わった後、夕飯を食べるという事で食堂ぽいところに移動し、少し雑談しながら異世界の料理を楽しんだ俺。異世界の料理は元の世界の料理と味負けしない程、とても美味しいものだった。というか、あまり変わらないため普通に高級店で食べたような気分だった。
いい感じに腹を満たした俺は、何も考えず6人が座っている方を見ていた。異世界に来て、ハーレムができた事が未だに実感できないのだ。これはよくできた夢なのではないかっというとのが正直なところだ。
ふと、カリナさん、リナさん、ヒネさんが席から立ち上がり此方へ歩いてきた。
「真那様一つ説明し忘れていた事がありました。私達6人は朝、昼、晩で2人ずつ分けて真那様の生活をお手伝いする事になっているのです」
成る程、しかし俺に対して優遇し過ぎているのでないだろうか、ハーレムが用意されてる時点であれだとは思うけど。
「今日の夜の当番は、リナとヒネです。これから真那様は2人が風呂場に案内致しますので、満腹感がなくなってきたら2人に声をかけてください」
「わかりました」
カリナさんは笑みを浮かべた後、一礼し、席へ戻っていった。リナさんとヒネさんはそこに立ったままだった。どうやら俺が話しかけるまでそのままらしい。
「入浴場まで案内お願いしてもいいかな」
そんなの俺の体調関係なく我慢できる筈もないので俺は2人に話しかけた。因みに、敬語での関係では流石に俺がもたないので、敬語外してみたのだが、アニメに出てくる爽やかイケメンみたいな台詞になってしまい、吐き気がした。
「わかりました。では、ついてきてください真那様」
リナさんの後ろ俺は今ついてっている。ヒネさんは右隣で俺の歩調を合わせながら歩いている。広い廊下の割りに距離が近いのはわざとだろう。嬉し恥ずかしいので、もう少し時間が経って慣れてからして欲しい感はある。
「ここが入浴場です真那様」
リナさんは手を入浴場と思わしきところに紹介するように出した。そして、そのまま入っていった。いや、待て待て待て!!
俺はリナさんの肩をすぐさま掴んだ。
「あの」
ピクッとリナさんの肩が動いた。そして俺のいる方向に振り向いた。
「どうしたんですか真那様?」
それはこっちの台詞だって、俺は一度ヒネさんの方も見たが、ヒネさんも俺と目が合っても首を傾げるだけ、どうやら一緒に入る事に何のあれもないらしい。
「どうしたもこうしたもないよ、お風呂だよね?」
「ああ、気にしないで、私達がやりたくてやってるので、ささ、お背中お流ししますよ〜」
リナさんはサッと俺の後ろに回り背中を入浴場に優しく押し込んだ。だが、ここで折れる俺ではない。入浴場の入るところの右、左端を掴んだ。
「な、往生際が悪いよ真那様!」
「とりあえずカリナさんに相談しに行くから押すのをやめてくれるかな」
全身を乗せて押し込んでくるリナさんに向かって俺は言った。リナさんとの我慢比べがはじまるかと思ったが、俺に背中を押していた力が突然消えた。よしっと思ったのも束の間次は俺の左手が2人のどちらかに抱え込まれた。左手全体が体験した事のない人の温もりに包まれる。しかも、小さいが心の沸点を一気に超す程の柔らかい何かが当たる。考える前に変な汗が出た気がした。
「真那様〜入りましょうよぉリナの言う通り、私達はやりたくてやってるだけですから」
「だ、だけど」
「真那様、私、一緒に入ってくれない方が傷つく、かな」
悲しそうな表情を見た瞬間俺の心の紳士のは折れた。力が抜けたのを瞬時に理解したヒネはグイッと奥に俺を引っ張った。俺はそのまま奥に歩を進めた。
中に入ってしまったので、もはや入るしかないのだが・・・服を脱ぐ気力もない。こんな会って1日も経たない女の子とお風呂・・・本人は気にしていないと言っていたが、絶対何かウラがある筈だ。
「もしかして真那様、洋服から脱がしてほしい感じですか〜?」
「断じて違う」
「ヒネ、せっかく一緒に入ってくれそうなんだから挑発しないの」
「はーい」
いつまで経っても状況は変わらないため、俺はある決心をした。それは、なるべく何処とは言わないが見ないこと! そう、見なきゃ多分最低限男として最低ではない筈。
服も全て脱ぎ終わり、俺は黙ってそして2人の姿が見えないように浴場向かった。早足で。
「え? 待ってくださいよ真那様」
「恥ずかしいがらなくてもいいんですよ〜」
浴場へつ繋がる扉を開け、いざ異世界入浴! いざ、理性との戦い! しかし浴場に入った瞬間、先程の思いも考えも全て吹き飛んだ。