2話 用意されていたハーレム
カリナさんが詳しい話しをするということで別室に移動した訳なのだが、何というかカリナさんの部屋に来たとしか思えなかった。ふかふかなベットに、おそらく化粧などをするための鏡、ぬいぐるみらしきもの、いや絶対カリナさん部屋ですわこれ。
「えっと、ここカリナさんの部屋ですか?」
どうしても確認したかったため聞くことにした。俺が質問すると、カリナさんは首を傾げて「そうですが、嫌だったでしょうか」と少し悲しそうに言った。俺的はいや、むしろ嬉しいって感じである。
「いやいや、嬉しいです。ちょっと気になって聞いただけです」
社交辞令の笑みを浮かべながら俺は答えた。だが、嬉しいですはさすがにキモかったかもしれない。
「嬉しいですですか、ふふ、もしかして真那様は女の子の部屋に入るのは『はじめて』なのでしょうか?」
「は、はい」
俺の歴史上稀にみるキモさを発揮してるのは自覚している。しかし、普通接しろというのも難しい話しだ。何て言っても俺は女の子とまともに接した事があまりないのだから。
「成る程、では私が真那様の『はじめて』をいただいたということですね、嬉しいです」
ドキッと心臓が一気に加速するのを確かに感じた。この子はじめてという言葉を強調してるような気がするのだが、完全清楚の具現化のようなカリナさんが、絶対しなそうな誘惑的なものされた感じが、俺の脳を刺激した。俺は何も言えなかった。世に言う童貞反応というものだ。
「ふふふ、ちょっとからかってみただけです。真那様、こちらのベットに腰をおつきになってください。詳しい説明をしますので」
俺はなんとも言えない気持ちを抱えたままベットに腰をおとした。ベットの座り心地は最高だった。感触を一瞬味わった後、俺はカリナさんの説明を聞くために前を向いた。ふと前を向くと初めて残り5人の顔がちゃんと視界に入った。どの子も美少女であった。もし、俺の元居た世界にいたのなら世間が見逃してはくれないだろうと思うくらい可愛い子が揃っていた。
「説明よろしくお願いします」
「はい。では、この世界の現状について説明しますね」
「はい」
「現状は絶望的です。魔王軍は既に地上の90パーセント以上を征服し、私達人類、精霊属の領土はもうこの国しかありません。私達も抵抗はしたものの、叶わず、こうして転移者様に頼ることしか術がなくなってしまったということです」
どうやら思っていた以上に深刻的な状況らしい。まあ何というか、異世界もの主人公の精神力の強さを尊敬する。
「次に、ここにいる私達6人について説明します」
俺は無言で頷いた。
「私達は真那様ために用意されたハーレムでございます。なぜか、それは古くから魔王軍との戦いは数千年周期で訪れているのですが、その時に神様の慈悲によりこの世界に参られる転移者様はどの方々もハーレムというものを好んでおり、いつしか私達の世界では転移者様にハーレムを予め作っておくという王からの転移者様への最初の褒美を用意しはじめたのです」
成る程、この子達は世界の救世のための言い方は悪いが生贄のようなものなのか。何だか複雑な心情だ。
「安心してください。とは言いませんが、ここに居る私を含めた6人は自ら志願した者達ですので悔いはありません。どうぞ、良くしてください」
と、言われても。いや、彼女達の決意を無駄にする訳にもいけないだろう。最低限彼女達が嫌な思いをしないようには心がけよう。
「最後に、一気に説明されても頭がこんがらがるだけだと思いますので、後のわからないはその時々に気軽に私に聞いてください真那様」
「わかりました」
「それでは、堅苦しい説明も終わりましたし、自己紹介でもしましょうか」
手をぽんと叩かきカリナさんは話題を変えた。俺の心情はというと緊張というかなんというか、先の事で頭の中が一杯だった。
「ではまず、私からいたしますね。私の名前は先ほども名乗らせてもらいましたが、カリナ・ハラマラハです。真那様のこと精一杯サポートいたします」
「次は私の番ですね! はじめまして咲弥真那様! 私の名前はレノア・ビンアレンセ。精一杯、真那様にご奉仕、しちゃいますよー」
ご奉仕のところをあざとくウインクしてきたカリナさんの隣にいる子は白髪ロング、青目の元気一杯そうな子だった。
「は、はじめましてーリナ・カラネンです。よろしく、真那様」
続いては赤髪ポニーテール、赤目の姉御肌そうな子だった。小さく手を振ってきた姿がとてもいいと思った。
「はじめまして真那様。私の名前はヒネ・アラントと申します。夜の戯れはお任せくださいませ」
思わず、吹きたそうになるような、爆弾を投下してきた。紫髪ショート赤目の子は、妖艶な笑みを浮かべていて、童貞キラーそうな色々危険な匂いがした。
「はじめましてです真那様。私の、名前は、シナ・ナルーツと申します。真那様、私にどんどん甘えてください」
母性溢れる黒髪ショート、黄色目の子はホワホワ空気を漂わせており、テンションの差が激しいこの自己紹介タイムの休憩時間だった。
「はじめまして、私の名前はテイト・ミナール。この世界の救世主だからといって過度な接待はする気ないから。けど、少しなら言う事聞いてあげない事もないわ」
自己紹介が終わると同時にプイっとそっぽを向いてしまった子は金髪ツインテールの青目のツンデレ属性持ちなの逸材なのかもしれない。
「その、まあよろしくお願いします」
「「「「「「よろしくお願いします」」」」」」
いざ、声が揃うと尚の事このハーレムという状況が身にしみた。魔王軍と戦うという恐怖、彼女達の暮らしがはじまるとい期待。今までにないくらい感情は混沌じみているが、どれもこれも楽しみではあった。