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映像制作ウマシカ:演技について

作者: umashika

まず最初に書きますが、演技一般論として説明するのではなく、映像制作ウマシカが求める演技について述べます。なので、他の監督・演出、他の現場とは違うところもあると思うし、タイプの違う役者さんには全く当てはまらない部分もあると思いますので、聞き流してもいいです。

何か受け止めてもらえるものがあればそれでいいと思い、書きます。


■設定とイメージ

自分がドラマ形式の動画撮影をやり始めたころ、N監督とお話できる機会があり、まだ自分も動画制作について、いろいろと未熟であり特に役者の演技に対してのアプローチに迷いもあり、質問させてもらったところ、「設定だけを丁寧に説明して、演技の細かいことは役者さんに任せなさい。」というような言葉を頂きました。

この言葉は自分も同じような感性、タイプだったと後から感じますがすんなりと入ってきました。

ただ自分の場合、若く未熟な役者さんと作品を撮らせてもらうような状況でしたので単純な受け売りではなく、もっと深くこの言葉を理解し、自分の考えに落とし込まなければ役者さんに伝わらないと感じました。

自分はものの見方、視点、軸というのを3つくらいに分けて考えたほうがいいなと思うタイプです。「三権分立」というものもありますが3つだと何が正しいかではなく、いろんな状況によって、その状況に合わせて総合的に判断したほうがいいと思ってそう考えることが多いです。


話を戻しますが、役の「設定」とは何でしょうか?

自分は役者ではないのですが勝手に演技を「木」のイメージでとらえています。そして「根」の部分、「幹」の部分、「枝葉」の部分の3つに分けて考えています。

「根」を設定、「枝葉」が成長するというイメージで役者さんが持つ役へのイメージと考えていて、それを結ぶのが「幹」であり、スキル、演技力。

N監督の「設定が大事」という言葉を自分なりに解釈したのがこういった考えになりました。自分は人物設定するときに、実際の演技とは関係のない部分、例えば家族構成なども書く場合があります(ケースバイケースで言い過ぎないようにはしています)。

「根」が強ければ「木」はある程度どのようになるかは検討がつくようになる。そしてどこに「枝」を伸ばしていくかはある程度自由になってくる。

逆に役者さんの視点で考えるときちんと「設定」を揃えることも大事ですが役への「イメージ」というのも大事になると思います。ただその「イメージ」は根拠がなくてはいけない。設定の中でこういう人物だろうという根拠があって成立するように思います。


■映像制作ウマシカの求める演技

自分は元から演技の世界にいたわけではないので一般論としての演技論ではなく、映像制作ウマシカの好み、「根」と「枝葉」を結ぶ「幹」としての演技として求めたいものとして説明していきます。

自分が制作するのは映像になり、画面というワンクッションがあり伝わり、また無機質なものから伝えないといけない、舞台とは空気感が違い、視聴者の温度も違ってくるので丁寧に演技してもらえるとありがたいと思っています。

丁寧にというのが何かというと先ほど「根」という説明をしました。根というのは本当に一部だけは表面に出ていますが、ほとんど地面の中に隠れています。舞台では空気感というので丁寧にやらなくても伝わることもあるように感じますが映像の場合、隠れている「根」の部分である、設定を表情やしぐさで表現できることが大事だと思います。それをやることによってより深く共感してもらえるようになると思っています。


いい演技というのが大きい木と例えると演技についてのイメージだけでも、設定だけでもいけない。どちらもバランスよく存在して、またそれを表現できるスキルがあって成立するように思います。

自分はいい役者さんは「なりきれる」タイプ、「表現法を持つ」タイプ、その二つのバランス的に持っているタイプと大きく3つに分けます。

「なりきれる」というのは「根」・設定について理解力が高く、イメージが大きくできる。

「表現法を持つ」というのは自分がどういう演技をしたら、どう伝わるか、曖昧にではなくきちんと理解しているような感じで考えています。

「なりきれる」タイプはある意味センスも高いようにおもいますし、設定によって上手くはまる時とそうでない時の差があるタイプかなとおもいます。

「表現法を持つ」というのは役者さんは指導者、先生ではないので言語化をする必要はないけれど、結果的には論理的に表情、しぐさなどをしていることと思っています。

自分は役者ではないのでいろんなパターンを持っているわけではないですが、特に撮る側として「視線」によって言葉になっていない演者の心や設定を表現するように意識します。これは行動心理学を応用しているものですが、人の視線というのは自分の視界、右を向いたときは想像・未来、左を見たとき経験・過去、上を向いたときは視覚、下を見たとき聴覚を考えるとされています。

これは行動心理学を勉強していなくても感覚の鋭い人はそういうことを感覚的にとらえ感じることをしますし、無意識でそう感じる人も多いように思います。自分は役者出身ではないので、このような行動心理学を応用しながら言葉になっていない表現を伝えたいと視線を使ったしぐさを利用することが多いです。実際には目だけでなく顔全体を単純な縦、横だけでなく斜めなどで調整して表現できるように心がけています。

これは自分の最も使う手法なだけで、やり方はいろんな方法がありますし、自分は科学(行動心理学)を軸に考えていきますが経験則・実体験でも他人に納得できる根拠で、他人に伝わればいいと思います。


また演技と時間軸のイメージについて、「幹」が演技であり視聴者に伝える「今」、「枝葉」がイメージであり「未来」、「根」が設定であり「過去」、そんなように思っています。

そして自分も含めてたぶん多くの制作者は言葉にしないで「未来」を匂わせたり、「過去」を説明してくれることをしてもらえるとありがたいと感じると思います。

その表現方法は役者側からすると「こだわり」みたいな部分かなと思います。

オーディションの面接で「こだわり」について聞かせてもらうことがありますが、感覚的、理論的問わず、「こだわり」が軸になって深さが出るように思います。「視線の使い方」「手の使い方」「表情」などやり方はなんでもいい。でも一つ軸がないと自己満足のものになりがちで自分の演技に対しての客観視ができにくくなってしまうこともあります。プロの演技というのは他人のためにあるもので、自己満足で終わらずにきちんと他人に理解してもらう準備があったほうがいいと思うし、個人的にそういった意識を持った役者さんと一緒に制作したいと思っています。

最後にまとめとして、「枝葉」ばかり意識して、「幹」が枝の重さに耐えきれず折れてしまうことはある。どういう木がいいか?という正解はないと思います。その中で自分はどういう特性なのか?今、自分にとって何が重要なのか? 映像制作ウマシカが考える「根」「幹」「枝葉」ではなくてもいいと思いますが、3つくらいの視点・軸から伸ばさないといけないもの、を意識することが大事だと思います。多くの方が子供のころ、砂遊びをしたと思います。「深い穴」「高い山」を作ったのではないでしょうか? 人・役者の成長も同じようだと思うことがあります。成長するには「深さ」と「広さ」だと思います。深くするために広さも必要になってきます。これ一つだけ極めればいいということではなく、「深さ」と「広さ」を循環して成長するのがいいと思います。また「深さ」を出すのにいろんな人生経験、希望などの意識、活き活きとした表情をすることや逆に悲しいことや辛いことを経験すること、そしていろんな表現・芸術・自然からイメージを豊かにすることが大事だと思います。今だけでなく、過去も大事に、そして未来も大事にすることがとても大事。その中でどういうバランスで演技・表現するのが自分にとっていいのか?を追求していくのがいいと思っていますし、自分はそう思ってやっています。(まぁ、自分はそんなに大した人物ではないですけど)


ただつらつらと整理せずに書きなぐってしまい、読みづらい、理解しづらい点もあるかと思いますが大勢に向けた文章ではないのでご容赦ください。


最初にも書きましたがこれはあくまでも映像制作ウマシカの石川の考え方であり、演技論というよりは演技の好みについて説明したものになります。自分は単に制作の人間で役者を育てるという視点で書いているのではなく、どういった能力、性質を持った方を好むかという話をさせてもらっただけと考えてください。


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