第2話 オートガード
おはこんばんにちは!モッチー!です
なんと1年に1度しか更新しない化石作家が、週1投稿です!すごい!かっこいい!明日はあられ!
特に書くこともない毎日を過ごしておりますが、とりあえず鍋に人参は入れるなと忠告させておきます。硬くてお腹がゴロゴロして味は素材そのものでした。
今回は戦闘シーンのみで選択肢はございません。
前話で選択してくれた人どうもありがとう。
あと、実は前話の終盤をかなり書き換えてます。具体的にいうとお姫様と魔法使いの名前を伏せることにしました。それだけです。
ではどうぞ!
前回のあらすじ!
ひょんなことから異世界転移をしてしまった主人公、八橋翔太。
記憶を失い、戻る手段も分からないという絶望的な状況だが一縷の希望を見出した。
そう、ユアである。彼女の真っ直ぐな想いやあまりの可愛さにショウタは俄然やる気に満ち溢れ、世界を救う決意を新たに冒険を始めるのであった!
あと録音機を買おうと心に決めた。
「…あの、恥ずかしいんですけどこのあらすじ…」
「な…!ユアいつからここに⁉︎」
「いや今回のあらすじ担当はショウタですけど、別に他のキャラに非公開ってわけじゃないですよ?」
「くっ…!メタい発言を…!いやこんな話をしている場合じゃない!物語は危機的状況なんだ、すぐに本編を始めるぞ!」
「その前に録音機について詳しくお話を」
「世界が待ってる!さぁ!はやく!」
では始まります。
*****
☞2、一直線に走りこんで魔法使いを守る。
*****
「よし、いいか聞いてくれユア。今から俺が魔法使いに突っ込んで弓矢から守る。その間にお姫様に前衛のゴブリンを一掃してもらってから、木の上にいる後衛のゴブリンも倒してもらう…って作戦でいこうと思うんだけど…どうかな。」
「なるほど……。わかりました。時間もありませんしその作戦でいきましょう。ですがくれぐれも気をつけて下さい、オートガードの能力が発動するには“使い手に危害が及ぶ場合”のみです。しっかり魔法使いと矢の間に身体を入れてくださいね。」
そうか、魔法使いを守るならオートガードは必須だ。
しっかり矢と魔法使いの間に身体をねじ込んで発動させないと…。
ここまで考えてブルっとした。…やっぱり怖いんだろうか。
もしガードできなくて矢を受けてしまったら…。
い、いや、目の前で誰かが矢を受けて血を流す方が嫌だ。というか、それを見過ごす自分が嫌だ。
…いやゴツいおじさんとかムキムキマッチョマンだったらむしろ俺を守ってほしいけど、それについては考えないようにする。
しっかりしろ、勇者の剣を台座から引き抜いた時に決意したじゃないか。
と、俺が今頃になって足踏みをしていると、
「行きましょう、ショウタ。私が必ず貴方を守ります。私から手を離さないで下さいね。」
その言葉でスッと気持ちが楽になる。
ってか惚れてまうやろ。なにこのイケメンソード。イケ剣。
今一度、剣をしっかりと握り直すと、深く息を吸う。
「よし、頼むぞユア!」
俺たちは木の陰から飛び出した!
ーーーーー
木の陰から飛び出すや否や真っ先に気がついたのはお姫様。
ゴブリンの伏兵かと思ったら人間だったと驚いているようで、目を見開いている。
と、すぐ遅れてからゴブリンや魔法使いにも勘づかれる。なんとなく、弓矢ゴブリンにも見られているような気がした。
もう忍ぶ必要はない。俺は大声でお姫様に呼びかけた。
「お姫様!俺が魔法使いを守ります!その間に前衛のゴブリン達を!このままじゃジリ貧です!」
まだ距離は遠い、50mくらいだろうか。
俺の呼びかけを聞いたお姫様は難しい顔をしている。というか、焦っているようだ。
恐らく俺が信用に足るかどうか悩んでいるのだろう、だがジリ貧だということも理解している。
と、その間にも前衛のゴブリン達がお姫様へと殴りかかり、それに応戦しようとお姫様が俺から視線を逸らす。
これはもう言葉じゃ難しいかもしれない。俺は一直線に魔法使いへ向かう軌道から、ほんの少し外れ、弓矢ゴブリンと魔法使いの間に入るような位置へ走り込む。
ようやく両者の間に入れたところで、
「ショウタ!!!」
えっ、と顔を上げる前にグンッと剣に腕が引っ張られ、身体が1人でに動きだす。
甲高い音と火花を散らして、1本の矢が目前で斬り払われた。
反動でビリビリと痺れる両手と、火花や甲高い音に恐怖で足が竦みそうになる。
今のがユアの能力“オートガード”…!
急いで頭を振って正気を取り戻し、後ろを振り返ってもう一度お姫様に呼びかけようとした。
すると、すでに矢を弾いた時点で決断したのか、お姫様が魔法使いから離れ前衛ゴブリン達に突撃していた。
ホッとしたのも束の間、また身体が勝手に動いて矢を斬り払う。
甲高い音が今度は2回。2本の矢が連続で飛来し、オートガードで防がれて地面に落ちた。
自動で動いた後、自分に身体の操作権が戻ってくると、ドッと虚脱感に見舞われる。
普段の俺からは想像できないような動きだ、もしかしたら身体に無理をさせているのかもしれない。
だが矢を1本斬り払い、2本連続すらも斬り払った。
次はもしかしたら、初めに見た3本同時かもしれない。もしくは未知の連携か。
震える身体をなんとか踏ん張り魔法使いの元へ駆け寄る。
「魔法使いさん大丈夫ですか!」
「私は大丈夫です。貴方の方こそ顔が真っ青ですよ!」
逆に心配されてしまった。
多分、恐怖と無理な運動で血液が回っていないのかもしれない。我ながら恥ずかしい話だ。
「だ、大丈夫ですこれは生まれつきというかなんというか!と、とにかく俺のそばに来てください。俺は自分の身しか守れない、貴女に飛来した矢まで払えないかもしれません!」
言いながら、魔法使いに密着する位置で仁王立ちをする。
と、そこで木の陰からキラリと光るものを見つけたので目を凝らすとゴブリンが弓矢をこちらに構えていた。
俺がそちらへ身構えようとすると、身体が勝手に動き、“今見つけた光”とは別の方向から飛来する矢に剣を構えた。
「なん…!」
俺が何かを言う前に、視界で見つけた方のゴブリンから矢が放たれる。
左右同時からの射撃。幸い魔法使いに当たることはない軌道だが、間違いなく俺は被弾するだろう。
覚悟していたことだ。俺は目を瞑り、迫る激痛に耐えようと歯を食いしばったところで、
「させない!!」
ユアの声が聞こえた。
その瞬間、しっかりと剣を握っていた左手が剣から離れ、俺の腰に当てられる。
と、同時に鞘をベルトから抜き放つと、もう片方の矢を目がけて振り払われる!
またも剣と矢がぶつかる甲高い音と、鞘と矢がぶつかる少し鈍い音が同時に聞こえ、二本の矢が地面に落ちる。
目を瞑ったが痛みは一向に訪れない。
代わりに両手の痺れと、不自然な背中の痛みに顔を歪めつつ目を開ける。
「あいたたたた…ピキッて背中が…!」
「す、すみませんショウタ。ちょっと無理な動きさせちゃったかも…?」
ちょっとどころの騒ぎではないが、どう考えても不甲斐ない俺の身体が悪い。
「だ、大丈夫だ。むしろありがとな、ユア。」
ユアに感謝を述べつつ魔法使いを一瞥すると、魔法使いを挟んで後ろの木々から光が見えた。
瞬間、全身が総毛立つ。
間に合わない。剣は間に合わない。腕が重い。まにあわない!だから、もう、俺が…!
言語として変換できない思考のまま、魔法使いへと胴体から体当たりをする。
魔法使いとその上に覆いかぶさるようにして、同時に倒れこむ。
即座に身体がもの凄い速度で1人でに動きだし、使い手の身を守ろうとした。
だが間に合わない。倒れ込んだのと矢が着弾したのはほぼ同時だった。
背中から激痛が走る。
矢が突き刺さった。
痛いし、熱い。焼けつくように熱い。
「ショウタ…!ショウタ…!」
ユアの声がする。そんな悲しそうな声をしないでくれ。
くそ、弓矢持ちゴブリンは3体いたはずなのに、ずっと2体からしか射っていなかった。もう一体が裏取りしていたのか…。
後悔しても時はすでに遅く、剣を握ろうとするが力が入らない。というか、身体を動かそうとすると激痛に苛まれる。
歯を食いしばりながら、顔を上げるとまた光が。
魔法使い目がけて弓矢が引きしぼられている。
助けないと。
だが身体はどうしても動かない。それどころか剣も握れてはいない。
無情にも矢は放たれ、そのまま魔法使いの身体へ一直線に…
ブワッと風が舞った。
一瞬、満開の桜吹雪の中にいるような錯覚にとられる。
桃色の長髪をなびかせ、お姫様が現れた。
矢を一瞬で斬り払いながら、高速で弓矢ゴブリンへと間合いを詰めて斬り結ぶ。
あまりに鮮やかで、もしかしたらこれは夢かもしれないなんて思ってしまう。
辺り一帯のゴブリンを全滅させたお姫様が俺たちの元へ駆け寄る。
よかった。どうやら危険は去ったみたいだ。
お姫様も魔法使いもなんとか無事で、本当に良かった。
何か、話しかけられているみたいだが聞き取れない。というかもう瞼が重くて…開けていられない…。
そこで俺は気を失った。
to be continued
どうもお疲れ様でした。
読んでくれたあなた、どうもありがとう。
個人的にお姫様のシーンはとっても好きです。めちゃくちゃ思い入れのあるキャラと同じ名前で出しているので、桜のようなシーンが書けて少々感動しています。
ではまたいつか、生きていたら更新します。
ばいばい