第1話 勇者爆誕
どうも、おはこんばんにちは、モッチーです。
ちゃんとエクストラなんちゃらマークをつけてくださいね。
モッチー!です。
中2に一人ぼっちで作ったこの作者。
高2あたりで友人達と盛り上がったあと更新が止まったっきり6〜7年ぶり。
自分の妄想を文章にしてあまつさえ投稿するなんて恥ずかしくて恥ずかしくて堪らない!時期をなんとか乗り越えての投稿になります。
それもこれも昨日くらいに久し振りに投稿した友人や、今日帰ってきていきなり前転してエージェントごっこを始めたアホな友人や、俺たちのグループに小説ブームを再加熱してくれた友人やちょこちょこプロット作りを催促してきた友人達のおかげです。
さて、誰が誰でしょーか!
去年書きかけのモノを基盤に今日書き始めたので、マジで色んな人のおかげです。
なのですが、先行きをなんも考えていません。でも感想で褒めてもらいたくて書いちゃったごめんね。
では、主に友人達の小説ブームに乗っかるために書いた稚拙な文ですが、どうか読んで頂いて、ちょこっとでも面白いと思ってくれると幸いです。
追記:ステータスの幸運値を少し変更しました!知らなくても一切問題ないので忘れちゃってても問題ないよ!
水滴が落ちる音でふと目がさめる。
むくりと身体を起こしてみると、自分はどうやら洞窟の中にいるらしい。
「………?」
記憶を思い返してみるが、洞窟で寝たという覚えは一切ない。
それどころか、自分が何をしていて、どんな存在なのかもよく覚えていない。
分かるのは、えーっと…
まず名前は「八橋翔太」
年は18で高校に通っていた…と思う。
家族構成は……ダメだ、覚えていない。
友人関係や特技、趣味などもよく覚えていない。
参ったな…名前と年齢くらいしかわからないぞ…。
言葉や簡単な計算はできることから、教養は消えてないみたいだ。
不幸中の幸いだが、今は喜ぶ気持ちになれない。
どんよりとした気持ちで立ち上がると、
「あ!起きましたか?おはようございます!」
とても可愛らしい声が洞窟にこだました。
「えっと…おはようございます…?あの、姿が見えないんですけど…」
反射的に挨拶を返しながら姿を探すが、どうも見当たらない。声の主に尋ねる。
「あー、すいませんそこには居ないんです。正しくは奥にいるっていうかあるっていうか…あの、起きたばかりで悪いんですけど、そのまま洞窟の奥に来てくれませんか?」
「奥…って言われても…」
そもそも道のど真ん中で寝ていたため、どちらが奥か分からない。
…俺は。
*****
1右に進む
2左に進む
☞1右に進む
*****
よし、じゃあ右に…
「あぁそっちは逆です!反対方向に進んでください〜」
なんだよ、初めから尋ねれば良かった。
ーーーーーーーー
歩くこと数分、行き止まりへとたどり着いた。
「これは…」
洞窟の奥にあったのは、台座に刺さっている剣だった。
「ど、どうもえーっと、どう名乗ったものか…あの、私そこに刺さってる“勇者の剣”です。」
声の主はこの台座に刺さっている剣らしい。
というか勇者の剣だったのか。
今時の勇者の剣ってのは話せるのか。
「えーーーっと…すいません、詳しく説明してくれます?」
俺はこめかみを抑えつつ、出来るだけ冷静に詳細を求めた。
ーーーーー
剣の説明によると、俺はどうやら伝説の勇者らしい。
元の世界で生きていた俺は異世界に転移させられ、その時に何故か記憶をなくし、魔王を完全復活を阻止して討伐し異世界を救う旅に出るようお願いされている。
「それお願いじゃなくて脅迫ってかもう強制じゃねぇかぁぁぁぁぁぁぁぁあ!」
「ひぅ!ごめんなさいぃぃぃ!」
我慢できずに可愛い声の主へ怒鳴ってしまった。
「はぁ、はぁ、それで記憶は治らないのか?俺にも大切な人、あるいは大切に思ってくれてる人がいたかもしれないだろ。」
まぁ居なかったら記憶を失ったフリをしようと思いつつ、剣に詰め寄る。
「すいません…完全に不慮の事故でして…。今までこんなこと無かったんですけどね!どうして記憶が消えちゃったのか…原因も、治療法もサッパリでして…。ドッキリだったりしませんよね?」
「ドッキリじゃないわ!どんだけ身体張ったドッキリだよ!!…つまり、治せないと。」
「あ、あぅ…あの、ホントにすいません…。」
俺は大きなため息をついた。
そのまま、数秒の沈黙が続く。
流れ的にこれはもう旅に出るしかないのだろう。結末がどうであれ、記憶もなく自力で戻る手段もないのだから。
「なぁ。」
「は、はい⁉︎」
なら、せめて聞きたいことは全部聞いておこう。
「その世界の人たちは困ってるのか?」
「え、えっと、そうですね。まだ困ってない場所もありますが、魔王が完全復活してしまえば人間は根絶やしにされてしまいますので…。」
剣は控えめにそう答える。
根絶やしとはまた物騒な…。
迷惑な魔王もいたもんだ。
「じゃあ、俺以外に当てになる人はいないのか?俺みたいな戦いの素人より役に立つ人はいくらでもいるだろう?」
「い、いません。残念ながら剣の適合者は1人しかいません。魔王が目覚めると適性のある人から自動的に選ばれます。選ばれた後はその人が魔王を倒してまた剣を台座に戻すまで選び直しはできません。」
剣は申し訳なさそうに答える。
なんだその欠陥設定は…。この剣作ったやつ絶対頭悪いだろ。
俺はまた深い溜息を吐く。
そして、最後に、一番誰にも言いたくなくて、言ったところで意味は無くて、でも一番気になっていることを聞いてみた。
「………じゃあ、俺みたいな素人が旅に出て、そう上手くいくと思うか?
言わないほうがいい。
「記憶はないが、正直俺に自信はない。恐らく俺の今までの人生は何も成し得ていないのだろう。そんな奴が、
幻滅されるだろう。
「いきなり勇者だの伝説の剣だの…。始まりの街であっさりモンスターに殺されましたじゃ笑い話にも…」
剣の方を見るのが怖くて、後ろを向きながら早口にそう捲し立てたところで
「させません。」
剣は静かに、しかし強い声音で即座に断言した。
「そんなことは、絶対にさせません。私が、絶対に貴方を守ってみせます。全力でサポートします。それに…」
剣はそこで怒ったように続けた。
「私が選んだ貴方が、そんな人なわけがありません。私が選んだ人にケチをつけるのはやめてほしいです!」
ぷんぷん!と言った効果音がつきそうな拗ねたような声でそう締めくくられた。
呆気にとられる。
いや正直、幻滅されるのが怖くて、自嘲気味に早口に笑い話のように捲し立てて言ってたのがバカみたいに中断させられた。
「あと私のことも見くびってますよね!確かに今の私は能力も1つしかないですけど、完全体になった私は凄いんですからね!魔王なんて一捻り半ですよ!一捻り半!」
半が付くと途端に違う意味で取れちゃうからやめた方がいいと思うんだけど。
でも、なんだか、緊張が一気に解けてしまった。
まだぷりぷり怒っている剣の柄を両手で握りしめ、力を込めながら、俺は自分にも向けた決意として、剣に宣言した。
「わかった。俺、世界を救うよ。」
甲高い音を立てて、剣は台座から引き抜かれた。
ーーーーー
剣を引き抜いたあと、壁にかけてあった鞘へ納めて腰につける。
他に持っていくような物はなかったので、そのまま転移用の魔法陣の上へと移動する。
「あの…ありがとうございます。世界のために、決心してくれて。こんな無理に連れてきて記憶まで無くしてしまったのに…」
今頃になって良心が痛むのか、剣がそんなことを言ってきた。
「別に、アンタが自信満々に守ってみせる、なんて言うもんだから、安心しただけだよ。それに、男の子なら一度は憧れるシチュエーションだしね。」
さっきの問答を思い出して頬が熱くなるが、できるだけ平静を保ちつつ、そう答える。
だが、
「で、でも…」
なんて剣が言うもんだから、恥ずかしいがもっと本音を言うことにした。
「俺、今でも自分に自信はないけどさ、アンタに選ばれたのが嬉しかったんだ。あんな風に言ってもらえたのが嬉しかったんだ。だから、アンタのために頑張ろうって思っただけさ…。」
できるだけカッコつけて、目を瞑り顔の角度を斜め45度つけて意味深にほくそ笑みつつそう答えた。
シーーン
む、無言⁉︎
「も、元々俺バカだからさ!世界の危機やら困ってる人がいるやら言われたって実際に見てみないと実感湧かないっていうか!だからアンタが勇者になってほしいって言うならやってやろうかと思っただけでそれ以上は無いっていうか!」
それでも剣は返事をしない。
尋ねたのに返事をしないとはどういう了見だろうか、親の顔が見てみたい。一度ガツンと文句言ってやる。…天界の鍛冶屋のゴツいおっちゃんとかだったらどうしよう。
と、ここまで考えてようやく剣が返事をした。
「す、すいません、ちょっとビックリしちゃったもので…。えっと…私のため、ですか?世界のために自己犠牲の精神で決心したとか…魔王を倒して名声や富を我が物にしたいとか…そういうのではなく?」
「逆にそんな精神で決心できるやつは怖いわ。悪いけど俺はマジで一般人だからな。そんな実感わかない聖人君子みたいな理由より目先の誰かのためじゃないと動かないから。あと、俺の能力でも出来そうな範囲且つ、俺の気が向いた時だけしか人助けしないから。アンタが言った全力のサポートってやつだけを当てにした人数合わせ勇者だから!」
また恥ずかしくなってきたので早口で捲し立てる。
剣はなんだか優しく笑いながら
「ふふっ、そうですか。私のため…私のためですか。ふふふっ」
「何笑っとんねんまんねん!」
恥ずかしさが怒りになり、俺の中に秘めたる関西弁が火を噴く。
「いえ、今までも勇者はいましたが、ただの剣である私のために思い立った人はいなかったものですから、なんだか可笑しくて。」
「なんも可笑しくありゃせんまんねん!」
俺の怒りは最高潮に達する。
「でも、嬉しいです。とっても。…ありがとうショウタ。」
………その返しは、ずるい。
ーーーーー
「では、転移の前にいくつか説明をします。長くなりますが、よーく聞いておいてくださいね?」
魔法陣の上であぐらをかき、剣を鞘ごと地面において、頷く。
ちなみに声がメチャクチャ可愛いので内容なんて頭に入らないかもしれない。
あとさっきの『ありがとうショウタ』がずっと脳内で再生されてる。
「ではまず、私の説明からです。私にはいくつかの特殊能力がありますが、今は1つしか使えません。他の力を解放するには異世界の各地にある大妖精の泉へと赴き、封印を解いて貰わないといけないのです。」
「今使える能力って、どんなの?」
おっと、割り込んだのが気に入らなかったらしい。
「む〜」っと不満の声を漏らしている。可愛い。もっかい割り込もうかな。
「それはですね、一言でいうと“オートガード”です。」
「すげぇ!なんだよそれもう勝ったようなものじゃん!」
俺は驚き心からの賛辞を言うと、剣は得意げに「むふー!」と声を漏らしていた。
よし決めた。異世界に行ったらまず録音機を買おう。
「でもそこまでの効力はなくって、いくつかの条件があります。1つ目は使い手に直接の危害を加えるものであること。2つ目は使い手の能力で対応できるものであること。です。」
「んーっと、1つ目は分かったんだけど、2つ目は詳しく教えてくれないか?」
「はい。簡単に言えば“ショウタの運動能力で対応できる動きでしかガードできない”ということです。」
「つまり、目で追えないほど速い攻撃とか、不意打ちとかは無理ってことか?」
「いや、それは違います。目で追えなくても攻撃が“放たれてから着弾する”までに身体が間に合えばガードできます。不意打ちについてもそうです。ショウタに害がある時点で剣が身体に作用し防御態勢をとってくれます。ガードできないのは、例えば同時攻撃などです。」
「3つの別方向からくる攻撃…とか?」
「そうです。あとは次から次へと攻撃がくる…矢の雨とかですね。そういうのは捌ききれませんので被弾します。また、強力すぎる一撃などは一応剣が間に入りますが、そのあと踏ん張れるかはショウタの筋力にかかっています。」
「なるほどな…。俺がもしガードしていたらガードに成功できたってものはオートで守ってくれるってことか。」
「はい、そういうことです。」
ふむ。正直、全然物足りない気もするし、俺が懸念した通り始まりの街でコロッと逝ってしまわれそうな能力だが…。
俺は目を瞑って先ほどの剣のセリフを反芻する。
『私が選んだ人にケチをつけないで下さい』
『ありがとうショウタ』
よし、大丈夫。世界救えるわ。
「では、次にステータスについてです。ショウタ、鞘を2回コンコンと叩いてもらえますか?」
「えっと、こうか?」
ちょうどドアをノックするように、鞘を2回叩く。
「う、うわ!なんか出てきた⁉︎」
するといきなり目の前に画面が2つ現れた。
「これがステータスです。左が基礎能力、右が応用能力です。見方を説明しますね。」
左は…筋力E、耐久力E、敏捷E、魔力E、魔法抵抗力E、幸運B
「なんかメチャクチャ弱くないか?」
途端に不安になる。
「えっと、左画面ですかね?まぁ…最低値ではありますね。Eといっても、ショウタの世界における一般的な同年代の平均値くらいなので、気にしないで大丈夫ですよ。幸運はどの世界でもCぐらいが平均なので、ちょっと高いくらいです。ちなみに、男性と女性では1段階差があります。男性は筋力、耐久力、敏捷が1段階上。女性は魔力、魔法抵抗力、幸運が1段階上です。例に挙げると男性の筋力Bは女性の筋力Aと同じ、男性の魔力Bは女性の魔力Cと同じというわけです。」
少し、複雑に聞こえたがなんとか理解できた。
幸運は少し高いらしい、この現状はかなり不幸だと思うんだけどなぁ。
俺が頷くと、剣は説明を続ける。
「今表示されたステータスは、敵を倒したときに得られる経験値によって割り振り値が貰えます。それを自分で好きに割り振ることができます。敵が強ければ経験値も多いですし、弱くてもたくさん倒せば稼ぐことができます。」
これは俺の元いた世界でいうRPGにそっくりだった。
「次に、応用能力について説明します。今、右の画面には何が書いてますか?」
「えーっと、“人助け0”って書いてある横に小さく炎が灯ってる…あと、“ユア助け0”って書いてある横に強く炎が灯ってるけど。これだけ?」
ユアってyour?人助けの英語版だろうか。いやそしたらyour helpじゃないのか。
いや文法的にまずおかしいか。
「ゆ、ユア助け⁉︎え、えと、コホン。そうですね。他には剣術、体術、建築や鑑定など、それこそ無限にあります。今書いてあるのは“現在持ってる能力”。数字がそのレベルのようなもので、炎が灯っているのが“興味関心のある能力”になります。」
「???」
混乱してきた。
「例に挙げて言うとすれば、ショウタが剣術に興味を持つと、剣術という文字が浮かび、その横に炎が灯ります。この状態で剣術の練習をすると上昇しやすさが2倍になり、数字が上がっていきます。10になったあたりでショウタが剣術に飽きると炎が消えます。消えますが、10という剣術は残りますし、練習すれば効率は悪くても数字を上げることができるのです。」
「なる…ほど。これは恩恵とかあるのか?」
「剣術でしたら、剣を持った時だけ基礎能力に補正がかかりますし、ショウタの灯っている人助けでしたら、誰かを助ける時は補正がかかります。炎は強ければ強いほど成長速度が高くなります。」
「へぇー!なるほどな、便利じゃん。えっと、それでユア助けってのは…」
「ま、まぁ、ショウタの世界でも目に見えないだけでこういうものはあると思いますよ。料理してる時だけ香りや味に敏感になったり、特定のスポーツをしてる時だけ反応速度が速かったり…火事場の馬鹿力というやつもその一部ですね。」
「あったかもしれないけど、こんなにわかりやすく補正なんてかからなかったよ。あとな、ユア助けってのはどーいう」
「あー、でもその程度ですよ。この世界でも実感できるかできないかレベルの補正しかありません。100にまでなれば基礎能力が1段階ほどあがりますが、それまでは微々たるものです。」
「えぇ…そうなのか…。まぁ目で見えるってだけでも恩恵にはなる…か?ところでユア助けって」
「気にしなくていいですから!それはもうほんっと気にしなくていいですから!!」
なぜか剣に怒られてしまった。
ユア助けの意味は分からずじまいだが…まぁなんとなく能力の概要はわかった。
あとあと思い出した時に聞いてみよう。
「…説明は以上になりますけど…質問とかありますか?あっ、ユア助け以外で!」
俺は目を瞑って少しばかり考え、頭を整理すると、目を開く。
「あぁ、大丈夫だ。質問は特にない。また何かあったら聞くよ。」
「わかりました。それでは、異世界転移を開始しますね。私を装備してください。」
いよいよ異世界に行くらしい。ドキドキするやらワクワクするやら、複雑な気持ちだ。
言われた通り、剣を腰につけ、魔法陣の中心へと立つ。
剣がなにやら呪文を唱え始め、魔法陣が徐々に光を帯びる。
10分くらいボーッとしていたら、ふと、質問が思い浮かんだ。
「あっ、そういえば、剣って名前はなんていうんだ?」
「っ〜!そ、それってどうしても必要ですか?」
「だって、これから冒険するのに剣って呼ぶのは味気ないだろ。俺は人間って呼ばれたくないぞ。」
「べ、別に私は構わないんですけどね…?あっ、ほら魔法陣完成しましたよ!」
「………。」
俺は無言で催促する。
「ゆ、ユア…」
「ユア?ユアって言うのか?」
「は、はい、そうです。」
なんだろう、なんだろうこの気持ち。すごく嬉しい!名前が知れただけなのになんだかすごく嬉しい気持ちになってる!
「べ、別にあの能力とは関係ないですからね!たまたま、たまたま私の名前が入ってますがそれが応用能力の一覧に載るなんてそんな、固有名詞が載るほどの想いなんて、そんなのあり得ませんから!」
何を言ってるのか分からないが、そんなのどうでも良くなるくらい俺は今気分がいい。
「よし!ユア!異世界転移だ!ワープを頼む!頑張って世界救おうぜ!」
「い、いい心がけですね!そうです早く世界を救わなきゃならないのです!」
そして俺とユアは眩い光に包まれた!
ーーーーー
目を覚ますとそこは広い草原の少し盛り上がった丘の上。
辺りには一面に緑色の絨毯が広がり、少し離れたところに森が、反対方向には街が見える。
なにより、空がとても綺麗だ。
「わぁー!めっちゃ綺麗…!もうここは異世界なのか?」
「はい、そうですよ。バッチリ転移完了しました。ではさっそくあの街に行きましょう。あの街では少々困ったことが起きてまして…」
高鳴る胸を抑えつつ、ワクワクしながらユアの話を聞いていると…
突然、爆発音が辺りに響き渡った。
「な、なんだ⁉︎」
「爆発…?魔法によるものでしょうが…森の方から聞こえてきました!」
ユアに言われ森を見ると、煙が上がっている。
「行きましょう!ショウタ!」
異世界転移したばっかりなのに、いきなり爆発とか…それを見て真っ先に助けに行くとか…!能力もろくに無いのに…!
「わ、わかってる!行くぞ!」
でも俺はあの時決心したんだ。
震える身体を奮い立たせて、森の方へと駆ける。
ーーーーー
近づくにつれ、女性の声や金属音、モンスターの鳴き声のような音も聞こえてきた。
木に身を隠しながら、その現場を覗き見る。
「あれは…ゴブリン?」
できるだけ静かな声でユアに尋ねる。
「はい、あれはゴブリンです。背丈は人間の子どもぐらいですが、すばしこくて容赦がなく、群れで行動するためとても危険なモンスターです。数は…見た限りでは5体。対するは剣を持ったお姫様と魔法使いが1人です。」
「お姫様⁉︎たった2人で散歩か…?っていうかお姫様って剣扱えるのか…?」
「この街のお姫様は国一番の剣士です。でも普段お姫様が外出する際は護衛がついて行くはずなんですけど…。」
道中にはゴブリンが何体か倒れていたが、人はいなかった。
ということはお忍びとか脱走…もしくは別の場所でも戦闘してるとか…?
状況を推測しつつ、さらに様子を見る。
お姫様と思われる剣士は素人目にもかなりの剣の腕で、5体の棍棒持ちゴブリンを相手に圧倒していた。
「なんだよ圧倒してるじゃん、なんで追撃しないんだ…?」
お姫様はゴブリン達を圧倒しているが一定以上は距離を詰めようとしない。
そして魔法使いの方も疲弊しているのか、膝をついて辛そうにしており、魔法が唱えられる状態にないようだ。
と、その時突然魔法使いの後方から3本の矢が放たれた!
お姫様は慌てて魔法使いを庇うように矢を斬りはらい、1本被弾してしまった。
ゴブリンの伏兵がいるようだ。
おそらくは3体、全員木の上に陣取っている。
前衛の強いお姫様ではなく魔法使いをめがけて射るため、それを庇うお姫様は攻めあぐねているようだ。
このままではジリ貧だ。なんとかしないと…。
幸い俺の存在は誰にも気づかれてない。
でもバレないように弓矢持ちを倒すにはかなり遠回りをしなくてはならない上に、奇襲で倒しきれるのは1体が精一杯だろう。
…俺は。
*****
1、木をよじ登って弓矢持ちから仕留める
2、一直線に走りこんで魔法使いを守る。
3、大声をあげて敵を挑発する。
to be continued
どうも長文お疲れ様でした。
別に伏線として使うつもりもないので書いちゃいますが、主人公の翔太くんは実は家族を亡くしたショックで記憶がなくなっておりまして、
別に異世界転移のせいで記憶がなくなったわけじゃないんです。
ユアはなんも悪くないのです。
記憶には残っていませんが、心には大きな傷を負っていて、そのせいで自分に自信が無かったり、人に嫌われるのを極端に恐れるなどの悪癖を持ちます。早口になるのはコミュ障だからです。
あと、ステータスがゴチャゴチャ書いてますが本編ではほとんど出ません。
話の節目あたりでちまちまステータスを書いていこうかな〜という感じです。
作者の頭が悪いので、こういうステータスを上手に組み込みつつ話を作れないんですよね〜(なら何故作った
いきなりなんかキャラ設定とか語られても困るかもしれませんが、なんていったってワタクシことモッチー!は1年に1回更新するかしないかの化石作家ですからね。
書いておかないと作者すら忘れてしまうのです。
とはいえ、現状作者は暇を持て余しており、メンタル的にも体力的にもかなり救われているので、このままならもう少し書けるかなーと楽観的に考えております。
でもそろそろ頑張らないといけないなーと焦っているので、現実が辛くなると小説投稿に逃避するスキルを発動して更なる更新が望まれることでしょう。頭痛が痛いです。危険が危ない!(ドラ声
ではでは、またいつか、生きていたら投稿します。ばいばい
あっ、あと感想であなたの選んだ選択肢と選んだ理由も含めて教えてください。
作者が更新するタイミングで、全ての感想を合わせて多い票の選択肢を主人公が選びます。
ある程度、選択肢後の展開は考えているので、誰にも感想を貰えなくてもまるで人気作家の立ち振る舞いで続きを書きます。よろしくね
追記:4.5話目あたりで気づきましたが、ワタクシことモッチー!はどうやらコメディしか書けないみたいです。ステータス云々とかそっちのけで会話劇を楽しく書いてるので、なんならステータスとか忘れちゃって下さい〜