血まみれたこの手で歩みだす
教会での打ち合わせから一夜経ち早朝五時、バンシュタイン領のとある平原にて朝靄が経ちこみながらも白のローブを着ている100人は軽く超える集団が朝早く松明に火を灯し、ブツブツとなにかの呪いのようなものを唱えながら歩み進んでいる彼らが『聖天教』だ。
彼らの思想は『転移者』を脅威または敵対するものを敵とみなし各地を荒らしまわる集団だ。全ては神の使いである『転移者』の心のままに歩みただそれだけだ。
そんなお経のような声が響く平原は早朝のせいかやや涼しく静寂してより緊迫感が際立っていた。その時先頭を経っている信仰者は目の前にある人らしき人物に向けて明かりを灯した。それは同じくローブを着ていたのだが、『聖天教』が着ていた白いローブではなく茶色い薄汚いローブというよりマントのようなものを多いかぶさりもう一つの印である右手に純血のスカーフはマントで包まれており見えなかった。
マントで覆いかぶさった者は突然の光で体が反応しビクついていた。
「ん?なんだ。そこの者こっちを見ろ」
「・・・・・・・」
「失礼。質問していいか。主は『転移者』を神と思うものか・・・・・・・」
それが『聖天教』の口癖のようなものだ。相まみえたものに先の質問し判断次第で歓迎もしくは処分を行うのだ。その質問に対してその者は口を開かなかった。
「もう一度言うぞ。主は『転移者』を神と思うものか・・・・・」
「・・・・・・・・・・」
今度は脅すようにローブから剣を取り出し同じ質問するが依然無言のままだった。
「そうか・・・・・・無言を通すのか。なら異端者でいいんだな」
「ああ・・・・・・・・異端者はお前達だ・・・・・」
その静かなる一声と同時にジレンはマントを下げ頭を見せマント内で仕込んでいた虹色の剣を抜き出し即座に相手に向かって足を踏み込んだ。
そして・・・・・・
「ぎゃっ」
信仰者の断末魔の声が響き先頭の数人の信仰者の首が宙に舞い散り首元から混血の血が噴水の如く吹き出した同時に殺戮が始まった。
「異端者だ。殺せ!!!!殺せ!!!!」
「お前らがな・・・・・・『螺旋一式瞬景』
信仰者は敵と判断したジレンに攻撃の行動をとるがその前にジレンは横真っ二つに叩き斬り落としていた。
まるで自分が今まさに死ぬとは気づかない程の超高速に移動し斬りつけたのだ。それがジレンの技の一つだ。
「『螺旋三式光杖光牢』・・・・・・・」
「なんだこれは動けねぇ・・・・・」
続きジレンは、周囲に囲まれてる信仰者を光の牢で数人ほど捕らえると何かがキレたかのように目の前にいる敵をただ斬って斬って斬り捨てた。
「ぐわっ」
「な・・・・・・・!!!!」
「くっ・・・・・・・・・」
「なんだこっこいつは・・・・・・・退けーーーーーーー」
「逃がさねぇよ・・・・・」
斬りつけるたびに信仰者の悲惨な声が響き逃げ惑うとするがジレンは容赦なく斬り捨てその信仰者が例え女や老人であろうとも、ジレンにとっては目の前にいるものを全て敵とみなし進んでいた。
その猛威はもはや低レベルとは思えないほどの風格があるが彼のレベルはステータスに記載した通りレベル5なのだがなぜそれで、彼よりレベルが高いであろう信仰者が無残に斬られるというと、ゴッドスレイヤーの武器とは、ステータスには記載不明の存在であり、それ故に威力や能力、態勢といった固定概念はすべて皆無でありしいては目の前にいる敵がレベル5であろうとレベルがマックスの100であろうと例え防御が9999ある鉄壁の城塞であろうと関わらずダメージが受けるようになるのだ。
それが例え相手に神殺しの力があろうとなかろうと神殺しを持つ者には必須されてる能力なのだ。
だがそれでもジレンの『虹霞剣』は、対神属性には爆発的に性能は上がるが、それ以外は他の名のある剣とは対して力が高くない代物だがそれでも相手を瞬殺出来るほどの大きなダメージを持つのとは言うと、ジレンは戦うスタイルはいくつかありまず近距離相手の戦闘では人が脆い部分の首筋や心臓といた急所を先に狙い絶命を優先し、間合いがあるなど中距離の相手は『瞬景』を使い一気に踏み込んでそれと同時に剣の力を一時的に攻撃力を飛躍的にじょう上昇して相手に向かって真っ二つ出来るほどの力量が加わるのだ。
これも全て復讐の為たったそれだけの理由で、一年間アジムの鍛錬に付き合いその技術を手に入れたのだ。
彼にはもう引き返すことはできず止まることもできない。ただ進むことしかできないのだ。
そして、時間はいつの間にか進み朝靄は晴れ対『聖天教』討伐の為にようやく平原に向かった冒険者達は驚愕する。
目の前には死体と血でできたカーペットに包まれ、カラスが集団で群れ死肉をむさぼっていた。
「なんだこの光景は・・・・・・」
「うっ・・・・・・・・」
その姿はまるでこの世とは思えないほどの地獄と化しておりあまりにも悲惨さで地に伏せ嘔吐する者もいた。
この『聖天教』との戦いでジレンはただ一人挑み生き残った信仰者といえば序盤で虹の檻で捕らえたものしかしかいなくそれ以外は全滅していた。
カラスの響きまくる鳴き声と生き残った信仰者の悲痛な声が響く中ジレンは全身返り血を受け虹の剣を不気味に輝かせ、先の戦いでの疲れのせいか疲労しながらも死体の山を踏みながら進み続け、そして虹の剣を宙に向け木霊する。
「よく聞け!!!!!生まれついてからのアヴァルロリアの民よ!!!!!ここにいるのは、偽りの最強を誇る『転移者』ではなくただ一人の小さな人間だ。その人間がたった一人で今までの熟練の冒険者を葬ってきた『聖天教』の一部を殲滅したぞ。俺は、ここで断言する。神はいないと・・・・・・・いやいてたまるか。もしいるとしたら今すぐに出てこい。その時は四肢をぶった斬って地に叩き伏せ豚以下に愛でてやる。
いつまでもこの遥か大空で下界の光景をほくそ笑みながら最強ぶってろ。その余裕がじりじりとお前達に近づきその喉笛を噛み切る勢いで王手まで近づいてやろう。
これからは魔族でも『転移者』が支配ではなく俺達アヴァルロリヤの民がこの世界の未来を創る。この意見に賛同するものは着いてこい!剣を抜いて進め!!歯向かうものは薙ぎ払え!!!俺達は・・・・・・・神を打ち崩す小人だ!!!!!」
「・・・・・・・・・オオ」
「オーーーーーーーーーですわ!!!!ほら皆さん高らかに叫んでくださいな」
「・・・・・・・・・オオオオオオオオオ!!!!!!」
「こんなに公にして、まったく、本当に知りませんよ!!!!」
冒険者は最初は、お互いの顔を見てどうしたらいいか分からなかったが、背景が殺伐しながら場違いなウキウキなアウラの一声で訳も分からぬ状態ながらも剣を抜き天に向ける。
それが一時の歓声で、それが終えると何事もなかったような関係になりはけ口を言われようが必ず協力するものはいる。そう思いながらもジレンは祈り叫ぶ・・・・・・・
そしてこの平原から少し離れた大樹も上、とあるものが自分より大きな太刀を背後に背負いその光景を意味深に見つめる。
「『夜明大翼』・・・・・・・・・私と同じ力を持つのなら歯ごたえがありそうですね・・・・・・・・決戦が楽しみです」
その者はそう呟きながら背中の太刀を少しだけ抜き、ニヤリと笑った後その後は闇のように消えた。