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聖天教討伐

ジレン達が馬車で一日過ごし、近辺の村に休憩を繰り返した後についた場所は本部ミトガルドがあるヴシュブ山より離れたアヴァルロリア東部のバンシュタイン領に位置するとある廃村の教会だ。



ゴッドスレイヤーの仕事は主に『転移者』の保護だけではない。上にある領主などに依頼をされギルド同様に依頼をこなすのも仕事の一環だ。その内容は高ランクのモンスター討伐といった並みの冒険者では相手にはならないような雑務をもサブに依頼をこなして生計を立てているのだ。




そこで仕事の説明があるのでジレンは静かにその教会に向かい目の前にある仕事の関係者に声をかけ、中に入る。するとその内部にはジレンだけではなく様々な職をもった冒険者がすでに出そろっていた。そしてジレン達が入るとその責任者らしい男がジレン達に目を向ける。






「お前達は何者だ」

「はい。私達は、特殊組織オルトロスのスス ブランガーとジレン ウェナトールです」

「オルトロス・・・・・・・聞いたこともない名前だな。それにその身なりだとまだ若いじゃないか・・・・本当に大丈夫なのか・・・・」

その責任者の男は歴戦の猛者のように屈強な体格と体中にある傷がありそれは見かけと雰囲気で二人を見るのだが、彼から見るとどうも経験不足と思える程迫力がないような蔑んだ目をしている。



それもその筈、ゴッドスレイヤー・・・・・・つまりジンに適合した選ばれし人間は副作用としていかなる経験をしようともレベルが上がらないという仕組みになっているのだ。

現にジレンはこれまで幾多の『転移者』などの敵と戦い経験を積んでも決して経験値は上がらず常にレベル5。それがジレンの格だ。





この異世界の人間は言うならばレベルと能力値がものを言う世界だ。レベルが高い人間は職を自由に選べ、地位も名誉も身分も自分の思うように得られるのだが、逆にレベルが低ければ選べる職も少なく、得られる収入も極めて少なく自分よりレベルの高い人間に見下されるようになっているのだ。


だからこの世界にチート機能がある転移者は、この世界よりも平均的に能力が高くレベルも上がりやすくなっており、瞬時に成り上がることができるからだ。



ちなみにここではゴッドスレイヤーを名乗らないのはあくまでこの組織はあくまで秘密類に隠されているからだ。いつでも元凶を倒せる為に常に身を隠し来るときが来るまで正体を限界まで隠しているのだ。



「とりあえずお前達の実力が知りたいから、念のためにステータスを見せろ」

「はい・・・・・・・どうぞ」

「はぁ・・・・・・・・・そらよ」

「・・・・・・・・・ススブランガーレベル27に、ジレンウェナトールレベル5か・・・・・・・駄目だ駄目だ。これじゃ相手にならんさっさと帰れ」

「あ?何言ってんだ?このオッサン」

ジレン達は言われるがままにステータスを公開するが男はそれを一蹴した。





「そうですよ。こっちにはここの領主さんからの紹介状があるんですよ。それでここに入ってきたのに・・・・・」

「駄目だって言うのは駄目だ。ここの仕事ランクは最低でもレベル50以内じゃなきゃいけないんだ。いくら紹介所があったとしても認められないよ。たく・・・・・・なにがオルトロスだよ。こんな低レベルの人間しか差し出せない無名の集団がよ・・・・・」

「(たく・・・・・・たまにいるんだよな。こうもレベル至上主義という馬鹿が・・・・・)」

「(ジレンさんどうします?このままじゃ受けれませんよ)」

「(しゃーーーーーーーねか。依頼内容はこの紹介状に書いてあるから、いつも通りこっちはこっちで勝手にやるよ。依頼さえこなせば、この馬鹿がいくら文句言っても領主が報酬として金出してくれるんならそれでいいだろ)」

「(ですね。こっちとしてはさらなる情報が聞きたかったですけど仕方ありません。一度出ましょう)」

追い出されそうになったジレンは、こっそりと相談した後、独断で参加をしようと一度引き返そうとするが、とある人物が仲裁に入った。それは、先にミトガルドに出て単独行動をしていたハヤトの仲間のエルフのアウラだった。




「あの~~~~~~少し待ってくれませんか。この人はわたくしの連れなんで一緒に話を聞いてくれてもいいでしょうか・・・・」

「アウラさんですが・・・・・この者はレベルが・・・・・・・」

「前線には出しませんよ。代わりに我らのサポートに回すくらいならいいじゃないですか?確かに見るからにレベルは低いですけど、回復や強化に優れていますから少しは有利になれますよ」

「しかしだな・・・・・・」

「心配しなくても戦場を荒らすような野暮なことはしません。それにこのものはわたくしの所有物ですからどう使おうと私の勝手ですわ」

「・・・・・・・・分かりましたよ。貴方がいうなら好きにしてください。やれやれ、そろそろ揃ったころだから打ち合わせを始めるぞ」

「ありがとうございます」

そうお礼を言った後に大きな胸を揺らしながらジレン達の方に向かった。







「これで、仕事を受けれますよ。良かったですね」

「ありがとうございます」

「アンタ誰だ?」

「あらあら・・・・・・忘れたんですか。ハヤト様と一緒にいたエルフのアウラディーテ クラウンですよ」

「知らん。『転移者』といたやつには眼中がない」

「ジレンさん失礼ですよ」

「あらあらそう思われてるなんて心外ですわ。わたくしも一応相当腕があるというのに・・・・・・」

「それはレベルの問題だろ。悪いが俺らにはそういう概念は最初はなからねぇよ。それはあの『転移者』と戦いを見たアンタには分かるだろ」

「そうですわね。しかし今回の相手は神の力を得た『転移者』ではなくただの人間です。神特性があったとしてもそのレベルでは話にはならないと思いますわよ」

「じゃあなんでここに入れてくれるのを受け入れたんだ?」

「見たいのですよ。貴方達ゴッドスレイヤーがこのレベルの差を埋める答えが・・・・・・」

「お前・・・・・・」

アウラはクスリと笑い興味津々の眼差しを見せるがジレンにとってはこの女の真意が分からなく警戒をしていた。

だがその話もこの依頼を指揮する男が壇上に立ち依頼の説明をすることに中断された。







「ではお前達に依頼の内容を説明する。それは、最近勢力を上げこの国を震撼させる邪教『

聖天教』の討伐だ。知っての通り奴等は、『転移者』を深く崇拝しそれを異端と思う人間に殺戮の限りを尽くし回る集団だ」




『聖天教』・・・・・・それはここ最近に結成された反組織・・・・・・目印として白いローブに手持ちのスカーフを自分の血で赤く染めそれを右手に巻いていて、首謀者、所属人数、目的はすべて不明。

それらの暗躍によって幾多の人間が被害にあい犠牲になったのは事実であり結成当初では無名のごろつき集団とされていたが、勢力は徐々に拡大しいつしか領をも揺るがす集団になっていたのだ。





「そいつらがとうとうこの領地に侵入してきたのだ。我らの目的は、領主ヴァンシュタイン卿の命により侵入してきた『聖天教』の拘束それが無理なら止む無く殲滅をして構わないということだ。これより作戦を説明するする」







男はその『聖天教』の行動ルート、住処と向かってきたルートについての作戦を説明するが、ジレンはその話を半分聞いたところで途中で退出する。

外はすでに暗くなりジレンはその夜を徘徊する。

その光景をちらりと見たアウラも気になったか後から退出し後をついていくがジレンは非常に気配が敏感な為にすぐに後ろに振り返った。






「おい、なんだついてきて」

「あらあら殿方にこっそりついていくのは野暮でしたか?それより今打ち合わせをしてるのですけど最後まで聞かなくていいのですか?」

「そっちはススに任せている。まっ俺は頭使うなんて症に会わないから話を聞こうが聞かまいが同じことだ」

「同感ですわね」

「いや、お前確か『転移者』の女じゃなかったのか?それが他の男のけつを追いかけるなんてロクな女じゃないな」

「あらあら勘違いしてるようですけど、わたくしはシズクさんやランランさんやフウフウさんと違い好意の為についてきたんじゃありません。ただ純粋に絶対的な強さだけに興味を示しついてきただけですわ」

「ってことは次の興味はそいつを倒した俺達に興味があるってことか・・・・・・」

「そうですわ。っといってもわたくしの半分の目的はその副団長さんですけどね・・・・・」

その一言でジレンはピクリと反応し周囲は風が怪しく吹き荒れていた。




「アジム ニルヴァーチ・・・・・・通称『常闇の魔術師』若くして闇属性の魔術をほぼマスターし、7年前王都『ブルックリン』の名門校でわずか16歳で魔術講師として就任。その卓越した知識によって、名のある魔術師をも凌駕し魔術は勿論のこと剣術もさながら右に出ることがなかった間違いなく歴史に残る人物だったが、魔族襲撃と同時期に行方を暗ました謎の多き人物・・・・・わたくしが憧れる魔術師の一人がまさかこんな所にいると思いませんでしたわ」

「よくもまぁここまで調べるとはな・・・・・それでアンタは師匠に何を求めてるんだ。サインか弟子か?それとも禁呪か・・・・・・・・神を殺す力か・・・・・」

「それはご想像にお任せします」

「お前・・・・・・前から思ったがただ者じゃないな。なんせここで会った時からずっと・・・・・・パンツ履いてなかったぞ」

ジレンの言う通り彼女は風が吹き荒れ短いスカートが揺れる中明らかに履いてるはずのものが入ってなかったのだ。

彼も何度かそれを言おうとしたが、無理にシリアスな話になってるためどう話を切り崩すか分からなかった。



「あらあら恥ずかしいですわ!!」

「もしかして今まで気づいてなかったのか?」

「どうして履いてなかったでしょうか?もしかして作戦が始まる前に水浴びする時にうっかり履くの忘れたのでしょうか?」

「知らねぇよ」

アウラはワタワタと上品に慌てながらポーチに入っていたパンツを履き仕切り直す。





「で、話は戻しますけど、ジレン様は、どうやって『聖天教』を攻略するのですか。彼らは双頭の手練れで今まで経験がある冒険者を何人も犠牲にあったのを聞いております。たったレベル5の神を殺すだけのその力でなにができるか見せてくださいな」

「ここまで調べられたら本来は殺すのだが師匠に興味を示してるのなら話は別だ。いいだろう。特等席で俺の殺戮ショーを見せてやるよ」






そして時間が過ぎ本来動くはずだった『聖天教』討伐は夜明けの6時に向かうはずだったがジレン達はそれより一時間早めに動きを見せようとしていた。



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