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落ちぶれた勇者様

ハヤト達はアジムの護衛に殺気を放たれながらもミトガルド内を案内される。ハヤト達は、慣れないながらもとりあえず頭を入れているがどうしてもアジムの言葉が気になって覚える気にならないのだ。

その言葉は「転移者はもう自由に動かないでほしい」という言葉だ。



確かにハヤト達クラスメイト全員は神と名乗る人物にチートを与えられながらこの地に転移され、その力を使いシズク達異世界人と仲間と出会ったり魔物を数を数えきれないほど倒しこの世界の人達に認められたのに新たな敵がクラス内に出ると、もう不要だと言わんばかりかこの村に閉じこまれる始末だ。

ハヤト達がこの世界に来てもう二年も経ち充分にこの世界を楽しめた時間だと思うがハヤトにとってはこの世界の隅々を見てしまいたい気持ちで一杯なので全てが終わるまで閉じ込められるなんてやりきれない気分だった。



この村は山間ながらも武器屋やアイテム屋や教会など一応設備は充実されているがその外に出られることは許されない管理された村だ。

現にハヤトは案内が終わった後仲間を連れて村の入り口前にいるが、出ようとすると結界に触れられ出られない状況になっているのだ・・・・・・・






「やっぱり出られないか・・・・・・・」

「でも、あたしは通れるよーーーーーーー」

「フウフウもーーーーーーー」

「いやお前達が出てもしょうがないだろう。いやそれよりランラン、アウラの姿は見えないがどこに行ったんだ?」

「アウラさんなら用事があるから先ほどここから出て行ったのーーーーーーー」

「あいつ、また、単独行動を・・・・」

「まあいいじゃないか。あいつが黙って単独行動するなんて今に始まった事じゃないだろ」

「む・・・・・・・それもそうだが・・・・」

シズクは巨乳エルフのアウラが黙って出かけて出かけていることをムスッとした顔をする




「あのこれ、ご主人様の力で壊せないのですかーーーーーーーーー」

「あのなぁフウフウ、そんなことをしたらすぐに奴等が来るだろ」

「またあの気持ち悪い蝶が出てきたらゾッとするですーーーーーーー」

「なのーーーーーーーーー」

双子のランランとフウフウが考えただけでゾクゾクとしながらもハヤトは頭をクシャと掻きむしりながら引きかえす。






「おい、ハヤトどこに行くんだ?」

「ちょっと散歩」

「ならあたしも行くぞ」

「ありがとう、けど一人でいたい気分なんだ。すぐに戻るから心配しないでくれ・・・・・・」

「そうか・・・・・・・なら日が落ちるまで戻ってくれよ。それまでに美味しいものを作ってやるからな・・・・」

「勿論私も手伝うなのーーーーーーーー」

「フウフウもーーーーーー」

「ありがとう」

仲間に感謝しながらもハヤトは少し考えながら一人で歩き始めた。




~~~~~~~~~~~~~







ハヤトが向かった先は先ほど護衛の男に案内されたいろいろな店が並んでいる露店だった。

山間の村の小さな村だが、ここは、オルトロスの本部なのでその関係者が蔓延る街なのでとても賑わいを見せていた。オルトロスはゴッドスレイヤーの専属部隊なのだが、その適合者は10人も満たなく殆どはその組織の協力者だ。『転移者』という化け物とは対等に戦うことはできないが、ギルドでの依頼などの仕事での資金調達、物資補充、偵察、情報集め、保護した転移者の世話及び監視といったありとあらゆる仕事を受け持っている。


その人間がこの組織に協力するのはただ一つ、『転移者』の支配の解放だ。








「はあ、田舎なのに王都くらいに賑やかだな・・・・・・・ん?あいつは、同じクラスで料理研究部の斎藤じゃないか・・・・・・?」

「すみません、豚肉はありますか」

「おっ、お嬢ちゃんいらっしゃい。ほう~~~~~豚肉か・・・・・ならちょうどいいところに黒角豚が仕入れてきたところだ。こいつぁ脂身がプルプルしてておいしいんだよ。今回は何を作るんだい?」

「今日は、トンカツってものを作ろうと思います」

「とんかつ?なんでぇそれは、旨そうな名前じゃねぇか。俺にも今度食わせてくれよ」

「なら今日食べに行きます?今晩オルトロスの本部でそれを振る舞いますから招待しますよ。アジムさんだって喜ぶはずですよ」

「なら頼んでくれねぇかな」

ハヤトは、かつて同じクラスメイトだった。斎藤朱莉さいとうあかりと肉屋の親父の一連のやり取りを耳にした。

どうやらアジムの言う通りここには『転移者』と呼ばれるかつてのクラスメイトの何人かが保護されてるようだ。その時ハヤトは、安心と同時にかつて元の世界にいた時の暗い過去を思い出したようだ。





「なんか複雑な気分だな・・・・・とりあえず一度帰るか・・・・」

「あれれ~~~~~~あそこにいるの。南条じゃね?」

「あっ。間違いねぇな」

「(げっ楠!!!!あいつもここにいたのか・・・・・)」

ハヤトは、苦い顔を押し殺しながら目の前のガラの悪そうな男女四人を目にする。それはかつて現実世界でハヤト達弱者を見下していた不良連中である、野木一のぎはじめ、二ノ宮信司にのみやしんじに紅一点の若本わかもとノエルにその中心にいたのはそのグループのリーダー格の楠翔太くすのきしょうただった。





「おいおい、まさかお前もこんな所に連れて行かれたのか。お互い苦労するな、それにしても理不尽と思わねぇか。せっかくこっちはこの異世界で自由の限りを尽くしたのに。突然あのジレンというクソガキに刺されてよ。気が付くとこの有様ってやつだ」

「翔太くんよ。俺は、オッサンみたいなやつに連れていたぜ」

「そこはどっちでもいいだろ。俺はとにかくムカついてんだ。黙ってろ」

楠は現実世界では、下っ端Aの状態だったがここでは威張りつくしていた。その理由はこの世界に転移した時、この楠達のリーダー的の不良がいたのだが転移してわずかの時間で無残にも死んでしまったのでこの男が不良のリーダーのようなポジになってしまったのだ。






「時にハヤト君よ。風の噂に聞いたけどよ。お前元々パシリだった癖に随分調子に乗ってんじゃねぇか!!」

「なんでも現地の女引き連れて魔王討伐の前線に立ちやがって・・・・・」

「ホンとあの頃は私達のパシリなのにね・・・・」

「ぐっ!!!!」

楠達は、昔とは変わらずに無駄に威張り釣らしてハヤトを見下していた。ステータスは表示してないが、雰囲気的にハヤトの方が遥かに力量があるのだが、昔のトラウマをほじくり替えされて反論できなかった。





「頼みがあるんだけど俺らと手を組まねぇか?」

「勿論お前が連れてきた女も協力してな・・・・・」

「当然だろ?お前をここまでこの世界で活躍させたのは俺らの愛の鞭のお陰だろ」

「そうそう、お前の女を差し出・・・・・・いや協力したまた自由にこの世界を楽しめれるんだぜ」

「楠君本音いっちゃたね~~~~~~」

「うっせえよ!!!!で、勿論従うよな。パ・シ・リ君よぉ」

楠はハヤトの胸倉を掴み汚らしい笑いを市街に響きだした。





「断る!!!!」

「あ?」

「なんでお前達クズに協力しなきゃいけないんだ」

ハヤトは静かに怒りだし周囲を震わせていた。




「てめえ!!!!」

「まぁまぁ落ち着けってお前ら。おいおいいいのか南城君よ。そんなに怒んなよ。ここはゴットスレイヤーの本部だぜ。そんなとこで俺らが騒いでたらまずいんじゃねぇか?」

「くっ!!!!」

それを聞くとハヤトは怒りを収まった。彼が収まったのは自分の為ではない。もしかしたら自分が騒ぎを起こしたらシズク達仲間にも被害が及ぶ心配があるため自制していた。





「おいおいさっきの威勢はどうした。なっさけねぇな。かかって来いよホラホラギャハハ!!!!」

「たくっ甘ちゃんの南条君に教えてやるよ。ここはバレずに殴ればいいんだよ!!!」

楠は人込みを利用して殴ろうとする。


その時その拳はハヤトには届かなかった。なぜなら目の前にはハヤト達『転移者』を屠ったジレンがリンゴをむしゃりとかじり片方の手で静かに楠の拳を止めに入ったからであった。






「おいおい、随分と楽しそうなことをしてるじゃねぇか。俺にも混ぜろよ」

「ジレン・・・・・なんでこんなとこに・・・・・」

「決まってんだろ。てめぇらのような、クズの監視だよ」ググググググググ

「あっがっ止めろ。腕が折れる!!!!」

ジレンは、怪しい表情でゴッドスレイヤーの力を纏い掴んだ楠の右手を握り潰そうとしていた。






「おい、止めろって。翔太君の腕折れちゃうって」

「あ?別に折れてもいいじゃねぇか。お前らはどの道俺らの戦いが終わるまでここにはでれねぇ・・・・・いやすでに終わってる奴等がどうなろうと構わねぇだろ。腕の一本や二本が折れようとここでは最善の生活ができるじゃねえか!!!」

「お・・・・・・・・・お願いです・・・・・・・・ゆ・・・・・・るしてください・・・・・・」

「ちっ!!!!」

「い・・・・・・行こうぜ・・・・・」

楠の情けない涙目のせいかジレンは、情けなく感じてたか解放し、楠達はそそくさと逃げて行った。

そして場には数時間前に敵対していたジレンとハヤトが相まみえる。





「おい・・・・・・お前。呪いで勢い乗ってたあの頃と比べて活気がないな。それが本来のお前か?」

「・・・・・・・・・ありがと」

「おい、こっちが質問してんだ。答えろよ」

「別に・・・・・・・ゴッドスレイヤーはみんな俺らのことを見下してるんだろ?そいつらなんかとまともな話はしたくないよ」

「言われてみればそうだな・・・・・このまま話続けてたら無性に殺したくなる・・・・・」

ジレンは楠とは違う殺意的な目を輝かせていた。




「それじゃ・・・・・・・俺行くわ。大人しくしてろよ・・・・・・いや大人しくしなくていいぜ。好きに暴れろその時は、今度こそ殺してやる」

そう言い残しジレンは、持ってたリンゴを砕きながらくらい終え、村の外に向かう。






村の門は『転移者』以外は通れるのでジレンは悠々と通り目の前にある仕事の為に用意されていた馬車に乗ろうとする。その目の前には水色の短髪の少女がすでに乗っていた。

彼女の名はスス ブランガー。ゴッドスレイヤーの一人。かつてハヤトを殺そうとした時配慮をして救援した巨大なサイコロ状の物質の使い手だ。






「ジレンさんなにしてたんですか?また『転移者』に絡んでたんですか?」

「別に・・・・・・・」

「その顔はまたやりましたねぇ・・・・・・」

「関係ないだろ!!!おい、さっさと動かせ」

そういうと、馬車は静かに動かし、彼の・・・・・・ゴッドスレイヤーの仕事が始まろうとする。



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