ダークヒーローは静かにリンゴを投げる
「おい、てめぇどこ見ていやがんだ!!!!」
「・・・・・・・・・すみません」(ボソッ)
「ああん!!!!聞こえねえな!!!!!ナヨナヨしたクソガキが顔も似合わずに女なんて連れているんじゃねぇ!!!!」
とある街の一角いかにも悪そうな三人のチンピラが種別がバラバラな女性を連れたやせ細っていたメガネの陰気臭い少年にわざとぶつかり男は倒れた。それは傍から見るとわざとぶつかったように見えていた。
「ご主人様、大丈夫ですかーーーーーーーー?」
「ハヤト様、あたしがサスサスするなのーーーーーーーー」
「いいよ、二人ともこれくらい平気だから・・・・・・」
「ん~~~~~~~なにがどうなってんのてしょうか?~~~~~~」
「なんだお前達、これわざとだろ?」
「さぁね知らねえな?」
男の周りには、黒い猫耳を生やした双子の獣人が少年を手当ておし、胸が大きなエルフは予想外な出来事でアタフタし、胸が小さい黒髪の剣士はその剣士はチンピラに向かって睨んでいた。
「それより姉ちゃん、こんな冴えない奴といるより俺と遊んでいかね?」
「その方が楽しいぜーーーーーーーー」
「なぜお前達みたいな下郎と遊ばなければならないんだ・・・・・・」
「ああん?おめえのようなひんにゅーには興味ねぇんだよ。俺はそっちの胸の大きいエルフちゃんを貰うんだよ」
「え?わたくしですか?」
中央にいるチンピラのボスは、舌を舐めいやらしい目つきでエルフの胸を食い入るように凝視した。対するエルフは状況がまだ分からないような感じでとぼけた顔をしていた。
「兄貴なら向こうのロリ双子はあっし達が貰ってもいいですか?」
「おう、ついでにひんにゅーーーーの女剣士お前もおまけに貰ってやるよ。ゲハハハハハハハハハハハハハハハ」
「くっ下郎が・・・・・・・」
チンピラの下品なような笑い声が町中に響き渡る。それを気に食わないか女剣士は、腰に指している剣を抜こうとするが・・・・・・・その中心にいたメガネの少年は、女剣士の動きを止めるように前に出て右手を広げた。その表情はチンピラに絡まれたのも関わらずに余裕な感じをしていた。
「いいよ、これくらいの雑魚は俺一人で充分だ」
「ああん?なんだクソガキ・・・・・・・勇者様気取りかよ」
「そだぜ。兄貴のステータスを見ろってんだ」
部下の言われるがままチンピラのボスは、男を威嚇するように裾からカードのようなものを取り出しそれを上に向かって投げたすると、目の前にいる男の能力値が出て来た。
名前 チン
男
レベル35
AT 278
DF 153
MAT 67
MDF 99
スキル
威嚇、強奪、部下への信頼
「へへっどうだこれが俺のステータスだ」
「ビビったか。兄貴はこの街唯一のレベル30越えだぞ。このまえだって複数のリザードマンをたった一人で倒したんだぞ。ザマーミローーーーーー」
「・・・・・・・・・」
「おい、どうしたなんだ。この静けさは・・・・・・」
男のステータスを見た途端に男を始め連れの女性も呆れているような顔をしていた。
「え?もしかしておにーさん達たかがそれくらいのレベルで威張ったわけですかーーーー?」
「そんな経験値の倍くらいあたしは取っているよーーーーーーー」
「なに?ハッタリこくんじゃねえ。兄貴がこれくらいのレベルを上げるのに何年経ったと思うんだ」
「はっ。それくらいのレベルでお山の大将気取りかよ。いいぜ格の違いを見せてやんよ・・・・・」
男はチンピラをウジ虫のように見下し前にでる。それを見たチンピラはたじろいてしまうがそれでも前に突っ込んだ。
「くっ調子にのるんじゃねぇぇぇぇ」
戦いが始まって僅か一分弱すでに勝負を決した。チンピラは見るも不様に倒れ、少年はチンピラのボスを雑巾のように踏みにじった。
「くっ兄貴・・・・・・・・・・・・」
「くそゆるしてくれぇぇぇぇぇぇぇ」
さっきまで威張ってた男は、泣きべそをかき最高のふるい立ちをした少年に許しをこいた。
「はっ。こんなもんかよ。どうしたレベル35?お前の力はそんなもんかよ」
少年はさっきまでの弱腰は消え弱者を踏みにじるような雰囲気を漂っている。
「全く、なにも知らない馬鹿はこまりますねーーーーーーお姉ちゃん?」
「本当だねーーーーー不様だねーーーーーー」
「あらあら?ハヤト様ったらいつまでこのようなゴミを踏んでいるのですか?このままではハヤト様の靴が汚れますよ」
「全く、ハヤトに喧嘩を売るからこういうことになるのだ。身の程をわきまえろクズ共が・・・・・」
少年だけではなく取り巻きの女性たちまで変わり果てたチンピラをゴミのような眼で見下し汚い言葉を放っていた。その姿は綺麗な美貌とは裏腹に悪魔のようだだとチンピラ達は見えた。
「一応、お前達に見せてやるよ。この凡人の男のステータスをな」
「なっなんだこのステータスは!!!」
少年はさっきの男と同じようにステータスを天高く上げ周囲に自分のステータス見せる。それを見たチンピラは尋常じゃないステータス値を見て驚愕する。
名前 ナンジョウ ハヤト
男
レベル94
AT 8372
BF 3796
MAF 7815
MDF 2821
スキル
先制攻撃、積極守備、4属性特攻、自動防御、毒の加護、麻痺の加護、眠りの加護、迷彩、魅了の魔眼、千里眼、調合、暗記MAX、解読MAX、料理MAX、釣りMAX、etc・・・・・・
「っとこんな感じにスキルは表記されてないがざっと100以上はある・・・・・・」
「・・・・・・・・まさかお前『転移者』か・・・・・」
「はっ!!!バカの癖にそれくらいは分かるのかよ。そうだぜ俺が転生者のハヤト様だぜ」
そう言いながらハヤトはボスに向かってサッカーボールの如く頭を蹴り上げ、本物のボールが如く遠くに飛び向かい側の壁にめり込まれていた。
「がはっ!!!!」
「兄貴・・・・・・・」
「ハヤト様、なにを遊んでいるんですかーーーーーーさっさとご飯食べたいですーーーーーー」
「おいハヤトさっさとしろ」
「待ってよ。すぐ終わるからさ・・・・・・」
「やれやれ・・・・・・」
お付きの女性の誘いを断りハヤトはボロボロのボスの腹にめがけて再び蹴り上げる。
蹴り上げるたびにボスは不細工な声を上げながらピクンと跳ねた。
「やめ・・・・・・・・・て」
「止めないよ。なんで止めると思うんだこんなにいいサッカーボールがあるのに?」
「ゆ・・・・・・・ゆる・・・・・・・し・・・・・・・て」
「俺にぶつかったのは別にいいよ。それは完全に俺の不注意だからさ。だけどそれ以上に俺が許せないのは俺の女の子をちょっかいかけたからだよ。お前ら見たいなゴミが誘っていい資格なんてないんだよ」
以前ハヤトの蹴りは止まず周囲に蹴り音が不様に響いた。周囲の人間は手を加えている少年よりやられているチンピラを自業自得だと思っていた。
この蹴りはハヤトの欲が満たされるまでに続くのだと思ったのだが・・・・・・・
その時、ハヤトの背後から頭部に向かって何かが投げられた。
それは赤く熟したリンゴが投げた相手に向かってコロコロと転がっていて、投げた白髪の男は目の前にあるリンゴを再び手に取った。
「なに・・・・・お前?もしかしてここにいるゴミを助けようとしてんの?」
ハヤトはぶつけられたことより自分の欲を満たされないせいか、酷く苛立って投げた男に向かって睨みつけた。
「いや・・・・・・・それよりも重要な事を耳にしたんだけど確認していいか?」
「あ?」
「お前。『転移者』か?」
「ああ、そうだよ。かつてこの世界を魔王から世界を救った勇者の一人ですよ。その勇者に向かってりんごを投げるなんてどういう頭してんの?」
「・・・・・・・・・そうかお前が『転移者』か」
男は目の前に持っているリンゴが入った袋を静かに隅に置き手をかざす・・・・・・
「君臨せよ『虹霞剣」
その時男のかざした腕は妙な紋章が浮き出てそれと同時に、虹色におびた光線状の剣を握り周囲に振りかざし、砂ぼこりを立ちこませる。
そして獲物を狙う狩人の如くニヤリと笑い・・・・・・・
「狩るぜ・・・・・・・・・『転移者』・・・・・・・・・・・」