受け継がれる意思
「スス・・・・・・・」
『了解、『珀船』継続。直ちに移動します・・・・・」
神代刹那との戦いが終え、双方に目立つ傷があり疲弊しながらもアジムは、すぐさまに天に手を挙げススを呼ぶ。なにせ先の戦いにより『珀船』の滞在時間は残り僅かの為に急がなけらばならないからだ。
アジムの一声により瞬時、『珀船』の白い扉を出現して帰る準備に入るが、ジレンは肝心なことに気づく。
「おい、師匠本筋を忘れてねぇか?」
「本筋って」
「俺達がここに来た理由は、この女を倒す以外にオロックのオッサンの救出だろ?一旦誰か神殺しの奴をここに置いて、探してる間に、拠点に戻ってこの女の口を割らした方がいいだろ」
「・・・・・・ふふふ」
「あ?何笑ってんだ。てめぇには落とし前をつける為に戻った後に情報を聞き出してやる。例えどんな拷問をしようと死ぬ直前にまで追いつめて知ってることを吐かしてもらうぜ」
「クス・・・・・ジレン。貴方にはそういうグロテスクな思考以外他になにかないのね?ほら、オロックこれでいいのね?」
神代刹那に続きアジムも釣られてクスリと笑いジレンは、首をかしげる。そしてアジムは、暗闇の茂みに向けて声をかけると、神代刹那に襲撃され行方を暗ましたオロックと彼が捕らえた気絶していたアイを初めとする三人の『転移者』の姿があった。オロックは襲撃があったにも関わらず目立った傷がなく静かに笑みを浮かべていた。
「いやぁ流石お嬢、いつお気づきになったのですか?」
「彼女と戦う途中からよ。年の為に周囲『黒蝶』を飛ばしてたら案の定貴方がいたわ。まったく隠れるのならもっと気配を隠すのに努力をした方がいいわよ」
「これは恐れ入りましたな・・・・」そう言うとアジムはオロックの背中についていた一匹の『黒蝶』を回収しそれを見たオロックは苦笑いをしながら脱帽し紙をクシャっとかいていた。
「それじゃ帰るわよ。私達の家に」
こうしてアジムを先頭に、白い扉に向かい『夜明大翼』は無事にだれ一人かけることなく帰還したのだ。
そしてその後の処理は保護した『転移者』の三人は、今日は真夜中でなにより三人ともグッスリと寝ていたため、一連の説明は翌朝にすることになった。そしてこの事件の当事者である神代刹那と、これに協力したオロックセルウィンとはいうと、ソファーに座らせアジムを初めとする先の戦いで退治したメンバーと秘書と坊主頭のお付きが雁首揃い、彼女をギラリと目を光らせる。ちなみにススは、さきの『珀船』を強制的に発動したため今現在病室で療養しているの不参加だ。
そして秘書がこの場にいる全員に紅茶を配り、戦犯の向かい側に、優雅に上品に座るアジムが最初に紅茶をすするところで尋問が始まる。
「さぁ、まずはオロック、いくら女たらしとはいえ我々を騙すために、わざと危機をさらすためにススを呼んだのかの説明よね。これはどういうこと?」
「お嬢その前に俺、紅茶は好きじゃねぇんだ。ここは一発ウォッカで・・・・・・」
ザシュ
軽い冗談を出した後、アジムは、瞬時に黒刀を出現しそれを伸ばし、オロックの頬をかすらせソファーを貫通させる。今のアジムは、目以外は笑っていて冗談をも通じないような殺伐とした雰囲気を漂よわせていた。
「オロック、私は今しがた機嫌が悪いのは見ただけで分かるでしょ?次、このような冗談を言ったらその安っぽい口事、頭を切り落とすわよ」
「はは・・・・・・またまた冗談を・・・・」
「あら?私が冗談をいう性格だと思う?」
オロックの右頬には血が滴り落ちており、目の前にあるアジムによる恐怖によって真実を口にする。
「ははっ・・・・流石お嬢だ。敵わないねぇ。とりあえずホンの事を言うぜ。確かに俺は、数時間前このお嬢さんに奇襲を受けた」
オロックは、ようやく真実を口にして、何が起こったか振り返る。それは神代刹那に太刀での攻撃を受けた直後の出来事だ。あの時刹那は『静寂神楽』の力を解放し、無数の斬撃を飛ばしたのだがそれはオロックに当たることなくその背後にある木々を切り落としたのだ。
刀を仕舞う音と同時に木が崩落する音がしオロックはそれを瞬時に振り向いた。
「今貴方死にましたよ」
「どういうことだい。お嬢さん見るからに『転移者』なのにゴッドスレイヤーの力を持ってる・・・・・何者だい?」
「これから何も言わず私に協力してくれませんか?」
「こんな美人に誘いを受けるのは嬉しいのだが、悪いがこっちは仕事中だ。でなければお嬢にどやされてしまうよ」
「ならこれを見れば気持ちが変わるでしょう」
そう言って、刹那は懐からなにやら手紙のようなものを取り出しそれをオロックに見せる。それを開封するとオロックは目をも疑うことが書かれており、しばらく手を震わせ無言を貫き唾を一気に飲み込む音がした。
「ここに書かれてるのは本当かい?」
「はい。全て事実です。ですから黙って私の言うことに従ってください。これは、新しい世界を変える為です」
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オロックはその一連の話をした後に、先ほど刹那が渡された手紙を提示をする。
「こここに書いてるものは、お嬢、アンタが読むべきにふさわしい。ぜひ読んで欲しい」
「分かったわ」
「ちょっと待てよ。オロックのオッサンいくらたらしとはいえ、敵に従うとは何を考えてるんだ?ここは双方処分した方がいいぜ」
「ジレンウェナトール貴方は、情報通り復讐ばかりで周りは見えないのですね」
「あ?なんか行ったか。和風女。さっきの戦いは状況が状況だったから結果的に俺が劣ってたかも知れねぇが俺の力はこんなもんじゃねぇ。今すぐにあの時の続きをしてやってもいいんだぜ」
「ジレン待ちなさい。彼女の処置をどう判断するか。これを読むことで分かるはずよ」
刹那の挑発的な態度でジレンは即座に虹の剣を彼女に向けるがアジムはそれを静止して目の前の書状を読み上げる。
「これは・・・・・・・・・、『アジム元気にしているか?今まで連絡が出来なくてすまなかった・・・・・なぜなら私と神殺しの力はすでに元凶に知れ渡っておりその抹殺を隠密に企てているらしい。その為に私は自分の組織に危害が及ばない為にこの身を隠してるのだ。そしてこの手紙が渡っている頃には既に私はこの世から去っているのだろう。だが悔いはない。私はもうおいぼれで未来はない。だから『夜明大翼』は本格的にお前に任せるとしよう。そしてその際にはぜひ逃避行の途中に出会った『転移者』の刹那を前線に出して参加してくれないか。知っての通り、彼女は『転移者』であり神殺しの力を持つ、最強の剣士だ。彼女はなんせ、元い世界ではクラス委員をやっており、『転移者』のいれば、情報がより正確にとれなおかつ戦力になるはずだ。
これが私の最後の願いだ。叶えてくれると嬉しい。後知ってると思うが元凶はまだ正体は掴めてないが高確率で王都の重役として『ブルックリン』全域を支配してるはずだ。恐らく最終決戦は王都との全面戦争は避けれれないだろう。そこでより効率に戦いを勝利する為に『転移者』及び王都の存在を遺憾とする民族の同盟をいくつか持ち見かけたらどうだ?そのリストはすでに作成しており、今刹那が持っているから後で見るといい。
それと最後にあの二人をを殺したのは元凶じゃなくて私だ。本当は面と向かって謝りたいが状況が私が動くと周囲に危害が及ぶからできなかったのでこの文で謝らしてもらう。すまなかった。お前ならきっとこの世界を変え『転移者』を無事に帰すことができるだろう。頼むぞ。我が可愛い孫よ』」
手紙に書かれたのはアジムの祖父であるニルヴァーチ団長だ。その証拠に、彼の独特な筆跡と『夜明大翼』の烙印が押されているのがなによりの証拠だ。
彼は一年前に同行者のゴッドスレイヤーと共に元凶を倒すためにに王都に向かったのだが、その戦いの結果は残酷的な結果で終息し二人は王都で無残にも死体をさらされ祖父は行方不明という形に終息したのだ。
「どうも胡散臭いな。おい、師匠、本当にこれが団長本人が書かれたもんなのか。この女が偽装しているんじゃないのか?」
「いえ、それはないわ。この筆跡はお爺様の筆記そのものだから手を加えられた形跡はないわ。そしてなにより彼女は既に元凶に操られていなく本人の意思で行動してるのよ。違う?刹那」
「ご名答です。私は数か月前に貴方の祖父と出会い戦いの果てにジンを振りかけ正気に戻りました。その後共に旅をし神殺しの力を覚醒しました。私は貴方達の味方です。その証拠にこれが団長が残した、同盟に参加してくれそうなリストを託されました。これは貴方が持つべきです」
刹那は懐から同盟者候補のリストをアジムに渡し、それをパラパラとページを飛ばし飛ばしで見た後にコクリと頷いた。
「刹那・・・・・・・最後に質問していい?この前ジレンが『聖天教』討伐の際に、私達の存在が露見しかけたのだけど、その件については、元凶・・・・・・王都に情報が入ってないといえる?」
「恐らく情報に入ってないと思います。ジレンウェナトールのあの号令は、大半が対『転移者』の戯言だと思っているから聞き流してると思います」
「そう・・・・・・・これでジレンを処分しなくていいのね・・・・・・分かったわ。貴方を『夜明大翼』の入隊及び前線に立たせることを許可するわ」
「副団長!!」
アジムはサラッと入隊を許可するがこの場にいるオロック以外のメンバーは強く反発する様子が見えていた。なぜなら神殺しの『転移者』というだけで警戒も必要な上に、ジンでの浄化がまだな上に実際にこの者が団長と関わってるいるのかなど不明な点が多く信憑性に欠けていたのだ。
「あら?文句あるの?」
「当たり前です。この者をいきなり前線に立つのはどうかと思いますが、普通ここに入る者は事前に経験者と共に作戦を同行し、そのサポートを任せるのがルールでしょう」
「悪いけど、この手紙に書いている通り、おじい様はすでに亡くなってるよね。だから私が次の団長よ。そしてただいまルールが変わったわ。このルールはただいまもって破棄するわ」
「無茶苦茶だ・・・・・・・」
「そんな・・・・・・団長がまだ死んでいるという確信がありません。すべてこの者の戯言だと思います」
「刹那?おじい様すでに病魔に侵されているよね」
「はい。団長は私と会うためにすでに肺に決して治らない不治の病を患っていました」
「ほら、これが証拠よ。おじい様は遠征に向かう前にすでに肺に不治の病を患っているのよ。この印鑑に筆跡そして肺の病これが、刹那がおじい様と関わってる証拠よ」
「ですが、念のためにジンを振りかけて対処して置いたらどうでしょうか?」
「必要ないわ。もういいわね。私はもう疲れたから部屋に帰るわ。彼女の案内はフェリスに任せる。それじゃ・・・・・」
アジムは先の戦闘もしくは手紙の内容の影響か妙に疲れた素振りを見せ後の事を秘書のフェリスに任し部屋に出る。当然その身勝手な行動にフェリスは追いかけて講義をするがアジムは聞く耳をもたず渋々刹那を案内することで、尋問は次の日が進む真夜中の時間をもって終結することになった。
ちなみにフェリスは反対派していたがリーダーであるアジムに強い忠誠心を持つ案内する相手の刹那は信用してないが仕事と私情を別に切り離して、今日は深夜の為に本部内を簡単に説明した後で刹那が住まう個室に案内したところで業務を終えた。
そして一方アジムはというと、休むというものの、本部より少し離れたミトガルドのとある公園のベンチにて夜中の街灯がチカリと輝く中でただ一人夜空の星を見上げる。彼女は疲労してベッドに飛び込めばすぐに寝れるほどの睡眠力があるのだがそれを紛らわせる為に、片手に赤ワインwを注いだグラスに輝く星を映しながら一気に飲みほしていた。
そんななかこの一人だけの公園にジレンがリンゴが入った紙袋を片手に近づいてくる。
「おい、師匠やっぱりここにいたのか・・・・」
「ジレン・・・・・何しに来たの?」
「なにって酔っ払いのアンタを連れ帰ることにしたんだ、ただでさえ酒が弱いアンタが飲み続けると、『夜明大翼』の新団長様のあらぬ姿がさらされちゃ困るからな・・・・・・」
「フフ、優しいのね。そういう男嫌いじゃないわ。とにかく横に座りなさい。一人で飲むのは寂しくてね・・・・」
ジレンは、少し酔っぱらっているアジムを付き合う為に、片手にある好物のリンゴを片手に、酔っ払いの相手を付き合うことにした。
「ジレン相変わらずリンゴばっか食べて飽きないのね・・・・」
「それはアンタが一番理由を知ってるだろ」
「ええ、リンゴは貴方の妹が好物であって、妹・・・・・・・家族の無念を忘れない為に食べているんでしょ?」
「ああ、そういうアンタだって、婚約者の事を忘れない為に、たまに夜空で星を見ながらワインを飲んでんだろ?」
「・・・・・・・・」
アジムの右手の薬指にチラリと赤い宝石を輝かせながら、赤ワインを一気に飲み干した。
なぜなら前団長が連れて行った神殺しの仲間の一人はその婚約者だった。元凶によって無残な殺し方をまじかで見たアジムはそれ以来嫌なこと悲しいことがあると慣れない酒を無理に飲むことで嫌な気分を無理に忘れ、愛する人の思いだけを残すようにしてるのだ。
「思えば私達って結構似てるのね。普段は冷静で冷酷さがウリなのに一定な事にと熱くなり、周りの事が見えなくなる巨突猛進さで、大切な人を思い続ける心があるってことも・・・・・」
「俺の取っては似たくないな。俺はアンタみたいに仲間を踏み台にしてさらに上にいくゲスさは持ってない」
「そういう貴方だって、抵抗する相手を笑いながら殺し回ってるじゃない。まったくここまでの残酷さは教えてないのに・・・・・」
「それも全て師匠の教えの賜物だ」
「はぁ・・・・・今思えば貴方のような弟子を受けるんじゃなかったわ・・・・」
アジムは後々後悔しながら頭をクシャと掻いて夜空に指輪をした右手を向けた。
「ジレン、さっき貴方は仲間を踏み台をしてるっていったわよね。あれは勘違いしてるけど本人の意思よ。確かに私は資金集めの為に神殺しのない団員を無茶な依頼を受けさせたり『転移者』の情報偵察の為に幾多の仲間を犠牲にしたけどそれは本人の意思よ出なければ役目を放棄して逃げていたわ」
「・・・・・・・・・」
この『夜明大翼』はよく他方から依頼を受けているのだがその多数は『転移者』派の暴動の鎮圧や世界に害をなすモンスターの討伐だ。この組織の所属理由は、金稼ぎやジレン達神殺しの適合した者やこの村の出身など多数だがその半分は、弱気を助け、強気を挫き世界の平和の為に戦う偽善者の集まりと言えばいいだろう。その者はアジムのような冷酷だが少数を犠牲にすることで世界そのものを救済することを願い続け世界の為なら自分などは犠牲になってもいいとお人好しの集団だ。
「なんて馬鹿な奴等だ・・・・・だけどそういうのも悪くないな。どのみちリスクなしじゃ世界は救えない。犠牲なしで世界なんて救えるなんて理想もいいところだ。そんな奇跡が出来るのは神様ぐらいだろ」
「だけど神は、『転移者』を呼び寄せ世界を再び混沌に変えた元凶を生み出した・・・・・・・」
「だから俺達がいる・・・・・俺達で世界を創りかえれば」いいんだろ?」
「ええ」
二人はそうお互いに目を合わしながら決心する。
「ところでジレン気になったんだけどどうして、私達の存在を公にしたか本当の理由が聞きたかったわね」
「むう・・・・・」
痛いところをついてきてジレンは頬を膨らませていた。なぜなら元凶の目的が自分の組織だったのを知り、ジレンは、組織を害する戦犯の一人として頭を抱えていた。
「はぁ・・・・・・大したことはねぇよ。俺はただ普通に同士が欲しかっただけだ。だってそうだろ。俺達じゃどう考えてもやる範囲が狭い。しかも相手は予想より大きい相手だから協力はしなければいけないだろ」
「珍しい単独行動のジレンが仲間と協力するなんて・・・・・矛盾してるわね・・・・」
「俺だって自分が言ってることが矛盾してることだって分かってる。どうせこのまま活躍してもうちの組織の存在がバレるのなら明白だろ。なら目的を早急にこなすために邪魔する周囲の敵を仲間を使い終わらせるのが手だろ?」
「確かに今振り返れば神殺しの力って目立ちすぎるのよね・・・・・」
アジムは横を向き目を逸らしながら軽く呟いた。そしてため息をした後にジレンが持ってる紙袋からリンゴを取り出し食べる。
「まぁいいいわ。とりあえず貴方の処分はなしにするわ」
「本当か?」
「ただし条件があるわ。まず今まで以上に周囲を警戒し私達の命令を必ず従うこと、そしてもう一つは私が酔いつぶれるまでそばにいることそれが条件よ」
「いいのかそんな簡単なことで・・・・・」
「私を誰だと思ってるの。今から私は団長よ。何をしようと私の勝手よ」
「結局やってることは前と変わらないな・・・・・」
ジレンはそう言いながら空になったグラスを瓶で注ぎベロベロに酔ったアジムが潰れるまでにそばによった。
結局はそれは日が明けるまでに続きジレンは明ける日の出、アジムを抱えながら本部に向かう為に困憊した体を動かしながら長かった一日を終えようとする。




