オープニング
かつてこの異世界の地、アヴァルロリヤという大陸は闇の者の手によって混沌に落とされた。
それは下界からやってきた魔族によってここに住まいし様々な人種は惨殺され、住まう領土奪われ人類の存亡は危うくなった。
そんな中平和を祈る聖職者または神を信じる者の強く祈った。それはそうとう長い年月多くの民が祈りに祈り続いた。
そんなある日、民の強い願いが聞いたか神様はある事を提案した。それはこことは別の世界に住まう人間にこの世界を救って見てはどうかと考えたのだ。
試しに神様は適当に異世界に転移できる人物を探しだした。
そして選ばれたのは、とある学校のある生徒の強い願いによって呼ばれた四十人もするクラスメイト全員をこの異世界に転移させたのだ。それもこの異界の地にうまく生き残る為に、この世界の人種を超えた力・・・・・チートを宿したのだ。
そのおかげであってか、驚異的な力を得たクラスメイト全員は新星の如くこの地を駆け巡り、この世界の人間がなかなか倒せなかった魔物を次々と薙ぎ払い領土を取り戻し、とうとう魔族の親玉である魔王を打ち倒し世界は再び平穏を取り戻した・・・・・・・のだが、
その数か月後ある異変が起こる・・・・・・・
ここはアヴァルロリヤ南東の地、かつて魔物の領地とされたとある村・・・・・・・
「うっうっうっ・・・・・・・・・どうして・・・・・・・・どうして・・・・・・・・こうなってしまうんだ・・・・・・・」
「ダレカーーーーーーーーーダレカーーーーーー助けてくれーーーーーーーーーー」
「ママーーーーーーーー!!!!!ママーーーーーーーー!!!」
「お願いしますこの子だけは・・・・・・・・この子だ・・・・・・・ァァァァァァ」
「助けてくれーーーーーーーーーオレは死にたくな・・・・・・・・・」
少年はこの燃え盛る村に悔しがり泣きじゃくりながら、目の前で燃えている人間の悲痛な悲鳴を聞きながら
地面に伏していた。彼は助けようとしても助けなかったなぜなら彼には炎を消化する水魔法どころか傷を癒す治癒魔法をまともに使えない中途半端な人間だ。
少年の名前はジレン。茶髪でブラウン色の瞳をした少年だ。
そもそも彼・・・・・・・・いやこの村の人間はまともに魔法が使えない人種だった。なぜならこの地は魔族よって管理された村だったからだ。魔族の方針によって村を侵略させない代わりに村人全員のある一定量の血と村人の食料そして村内での魔法の使用を禁止されていた。
このジレンも生まれて物心がついてからは実の妹共に村の掟を守りながら静かに生きていた。
それが突如ジレンが妹と共に近くの川で釣りをした後村に煙が経ちこむのをみて村に戻ってた時は、村は日の海に包まれた。村の中では逃げ惑う人が大勢おり、それが原因で妹とはぐれてしまう。
妹とはぐれたジレンは、この大火の中必死に探すが見つからずさらに上空には追い打ちをかけるかのように火の矢が降ってきた。激しい雨に中、少年は全速力で走りなんとか火が経ちこまない村の外まで逃げ出した。
だが、逃げ遅れた村人のほとんどは火だるまになって出て来たのだ。
その叫びは悲痛なもので少年はあまりの恐怖で身が動けなかった・・・・・・・
そして、村の大火からすでに三日が経ちようやく村の火は収まったのだが、焼け焦げた村はすっかり灰色の薄汚い世界になって周囲から硝煙に匂いが経ちこみ息苦しくなった。
この村に住む生存者は少年を含んでの僅か数人、他のみんなは逃げ遅れて灰に変わり果てていた。
「おい、やっと助けが来たぞーーーーーーーー」
鎮火してから数時間後ようやく助けの馬車が来て生存者はすべて保護をされた。それでもジレンは、助けを求めず、一人、ボロボロの服装で村内を徘徊し回った。
彼は探していた。自分の父と母と親しい幼馴染に大切な妹、生きてる可能性が限りなく低くても探し出した。
それが自分の茶髪の髪と茶色い眼が絶望の淵に立たされ白髪になり瞳の色が赤く変化するほど充血して変わり果ててもそれでも三日三晩さまよった。
空腹で満たされ、意識が朦朧としてもそれでも景色が変わらない狭き世界を歩く。
そしてさまよう事数日後ジレンはとうとう力尽き前に倒れる。そして目の前には、黒く輝く蝶が複数舞い上がる。その蝶はジレンの意識を伺うようにかれの周囲に寄せ就ついた。
そして彼にまだ意識があるのを確認すると闇夜の空間から黒髪でこの場には場違いな漆黒のドレスと十字のピアスをした美しい女性が、突如出現し少年の前に立ち止まった。
「・・・・・・・・・・少年、生きてる?」
「・・・・・・・・・・なんだ?アンタは?」
ジレンはぼんやりした視界で目の前の女性を見上げ枯れた声で反応する。
「この状態じゃまともに話せないわね。ここに食べ物と水があるわ。食べてから話しましょう」
「・・・・・・・・・・」ガツ
本当はこんな女性と話したくないようだが空腹のせいで目の前にある食料に吸い込まれるように手がいき、獣のようにむさぼった。
「こんなにがっついちゃって余程お腹が空いたのね・・・・・・」
「・・・・・・・・・」
食べる事数分が経ちジレンは空腹を満たし視界も良好になりようやく目の前にしゃがんでる女性に目を合わせ水を片手に口を開ける。
「・・・・・・・・・助かった・・・・・・・・感謝する」
「そんなお礼だなんて、私は当たり前の事をしただけよ」
「・・・・・・・・・・・」
ジレンは感謝してもそれでも目の前にいる得体の知れない女性を警戒していた。なぜなら彼女の服装はどう考えてもパーティに着てくるような高貴な服装をしておりこんな所に来てなお、腰を下ろしてしゃがんでいて、スカートが灰で汚れながらもジレン対等に向き合っているのだ。
いや、それ以前にジレンは、目の前の彼女が村や魔族達とは全く違う不吉な臭いを漂っていたので、警戒しながら質問する。
「アンタは何者だ?なぜ俺を助けた?」
「先も言ったでしょう。私は当たり前の事をしたって。私は貴方達の村を救助した団体の一人よ。村人の一人が貴方が今もこうして瓦礫の中をさまよってると聞いてから助けたまでよ」
「・・・・・・・・・・」
「村の事はごめんなさい。本当はもっと早く助けて消火に入りたかったけど、予想外の悪天候でここに来るのが遅れたのよ」
そう彼女が言う通り本当はもっと早い段階で村に向かいたかったのだが、村を襲った謎の者によって天候を操り中々この村んに向かう事が出来なかったらしい。
「そんな事はどうでもいい。俺はあいつらを許せない・・・・・・・・・・・『転移者』を・・・・・・・・・」
「話は聞いたわ。この村を焼き払ったのはやはりこの世界に転移した人間だったのね」
「ああ、俺の村が魔族と関りがあるってだけで、残党狩りの為にこの村を焼き払ったに決まってる。そうに違いない・・・・・」
魔王が転移者によって滅びる前にジレンの村は何度か『転移者』側と何度か抗争をしていた。向こう側もこの村と協力して魔族と立ち向かいたかったのだが村人は自分の国を守りたい為に何度も協力を拒否し終いには武力も行使していた。勿論ジレン達家族はこの運動に参加していないたただ平和を求める為の数少ない平和主義者だった。
「俺達家族は、ただ平和に過ごしたかった。この生まれた村で一生静かに過ごしたかった。それなのに・・・・・・・・・それなのに・・・・・・」
ジレンは悔しがり誰の遺体か分からない亡き骸の灰を掴み悔しく涙を流す・・・・・・・・
「そう・・・・・・・・残念だったわね」
「くそっ。あいつら・・・・・・・・・・あいつらを許せない・・・・・・・・・・この俺が一人残らず・・・・・・・・・・・・・皆殺しにしてやる」
「気持ちは分かるわ・・・・・・・・だけど貴方のような人間では人智を超える人間には勝てないわ。知ってるでしょ。彼ら全員はこの世界に住む人間には超えられない人智を超えた力を持っているのよ。その力はたった一人で千・・・・・・恐らく万近くの大隊でも勝てないと思うわよ・・・・・・・」
「それでも・・・・・・・・・・それでもこの残されたこの命ある限り最後まで戦いたい・・・・・・・」
「君・・・・・・・・え?」
彼女は、そんな無謀な思いを諦めさせようと口を開けた、その時女性の胸の空いたドレスの胸部から光り出した。彼女はその胸に締まっている虹色に光出すペンダントを取り出しジレンに見せた。
その女性はひどく険しい表情をしていた。
「そう・・・・・・・貴方も・・・・・・・彼と戦いたいのね・・・・・・・・・・・そうこれが運命なのね?」
「なんのことだ?さっきから一人でブツブツと訳が分からんぞ」
「良かったわね。貴方、『転移者』とまともに戦う事が出来るわ」
「????」
「貴方ゴッドスレイヤーになりなさい」
「ゴッドスレイヤー・・・・・・・・・」
突然のフレーズによりジレンは首を傾げていた。
「文字通り神を殺す力・・・・・・・聞くところによるとこの世界に転移した人間はこの世界に移動する前に神様と名乗る人物によって人智を超えた力を与えたらしいわ。その力はその神を殺すのよ」
「じゃあ・・・・・・・・・・その力を使えば『転移者』を殺すことが出来るのか」
「ええ。不運ながらこのペンダントが貴方を選んだのよ」
「俺をだと・・・・・・・・・」
「そうよ。ゴッドスレイヤーになる条件の一つは私が持つこのアイテムに100%適合されたて初めてなれるものなのよ」
「じゃあこれを使えば・・・・・・・・奴らを皆殺しに・・・・・・・」
ボロボロな体ながらジレンは、ようやく奴らを殺せる武器であるペンダントを手で掴もうとすると女性は何もない空間から黒い刀を出現させ無情にもジレンの首筋に刀の刃を食い込ませる。
ジレンは緊迫し首筋から血がゆっくりと滴り落ちる。
「動かないで・・・・・・・・それ以上近づいたら胴と首が離れ離れになるわよ」
「(う・・・・・・・・・こいついつの間に武器を・・・・・・)」
「まあ・・・・・・落ち着いて最後まで話を聞いてね。これを手にするには条件があるわ。まず最大の条件として『転移者』を殺さないで・・・・・」
「なん・・・・・だと」
突然の一言によりジレンは後ろによろめき落ちた。なんで殺すことができないんだとジレンは目で彼女を訴える。
「その目、どうやら納得いかないようね」
「当たり前だ。奴ら俺の村をこんな目にあわしたんだぞ。なぜその敵を討つことが許されないんだ?」
「貴方・・・・・・・まず勘違いしてるけど、私たちは人殺し集団ではなく世界のバランスを上手く調整する『調停者』なのよ・・・・・・」
「『調停者』・・・・・・・・」
「とりあえずその話については長いから後で説明するわ。それよりこの世界になにが起こってるか説明するわ」
「いい?これは極秘だけど今この世界にいる『転移者』はすべてとある元凶によって操られているわ」
「なに・・・・・・・っていうことは俺の村も・・・・・・」
女は静かに首を頷き話を続ける。
「目的は不明だけど恐らく魔族・・・・・・・または反乱分子の排除で自分だけの国を作るらしいわ」
「それは一体誰なんだ?」
「分からないわ・・・・・・・・ただはっきりしてることは、この世界の中にいる。転移者の中にいるらしく。その元凶を除く操られている『転移者』39人をすべて解放することで顔を表せるらしいわ。こればかりはいくら神殺しの力をもってしてもどうすることもできないわ・・・・・・・・・」
女の目的は予想以上に広大であった。この世界にいる転移者はこの地にバラバラに散られているので探すのに手間がかかるので文字通り気長にかかる作業であった。
「貴方の村を燃やしたのは操られた『転移者』の一人だけど本人の意思ではないと思うわ。だから私はそれを一人一人保護をすると思うわ・・・・・・・それが呑み込めないのならこれを渡さないわ・・・・・・」
「まるで偽善者だな・・・・・・・・」
「偽善で結構。私の目的は誰であろうと止めることはできないわ・・・・・・・それでも私達が所属する組織に入る」
「・・・・・・・・・・・・・・」
空はいつの間にか黒くなり小雨が降りだした。
ジレンは深く迷った。復讐できる唯一の手段がこんな偽善で溢れた集団の下で働くのかそれか独学で戦う方法を学び一人孤独で『転移者』を一人一人無謀な暗殺をするのか二択を決めなければならない。
無論どちらを選んでも地獄。恐らく自分の手は薄汚れてまともに生きることはできないであろう。
それでもこの曇天の中ジレンは決意する。
「ああ・・・・・・・・・決心した。文字通りアンタ達の犬になってやるよ」
「じゃあ彼らを殺すことを諦めるのね」
「いいや、諦めない。アンタ言ったよな。操られた『転移者』には罪はないって・・・・・・・・なら俺がその元凶をぶっ殺す。その為に俺は・・・・・・・・・・・・・・」
その時ジレンが言葉を発するのと同時に雷が落ちるのをシンクロする。雷の光によって彼の憎しみの表情と白髪と真紅の眼が不気味にマッチし彼女は彼をホンの一瞬だけジレンを神を殺す死神のように思わせ身震いした。
「ゴッドスレイヤーになってやる!!!!!!!!!!」