表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/1

プロローグ

初投稿です。数年間読み専だったのに何を血迷ったんですかね・・・よろしくお願いします。

ビーッビーッビーッ!


 テーブルの上に置いてある端末がうるさく鳴り響く。


「・・・んっ・・・うるさいな・・・い、今何時だ?」


 時計を見ると朝の6時でまだ外は暗かった。


「・・・誰だよこんな時間に連絡するやつは。まだ寝ていたいのに・・・」


 昨日は仕事が忙しかったせいで寝たのも遅く、まだ疲れが取れてないでいた俺はそう愚痴りながら端末に表示されている名前を確認する。

 するとそこには部下の名前が出ていた。

 うっ・・・出たくない・・・

 俺は少し悩んだ末、端末を取った。


「アテウス様、適合者がまた現れました。約1時間後にこちらの方に来ると思われますので、すぐ準備をしてください。」


 そう部下が淡々と告げ、端末を切った。


「・・・はぁ、なんでこんな時に来るのかね。もう少し休ませてほしいものだ。でもまぁ、これから来るやつもまさか()()いうことが自分に起こるとは夢にも思わないから仕方ないか」


 俺は少しため息をし、すぐに着替えて部屋を出た。





 仕事場の部屋の前に着くと、そこには俺の部下である女性が扉の前で待っていた。

 彼女の名はアルテマ。

 淡い青色の長髪は腰辺りまで伸びていて、先端の方に行くほど少しづつウェーブがかかっている。

 スラっとして出る所はちゃんと出てて、所謂モデル体型のその背丈は167cmと高めだ。

 彼女の青い目は若干吊り目で睨まれると少し怖い。

 まぁ、全体的に言うとクール系美女といやつだ。


「おはようございます、アテウス様。こちらが適合者のデータです。名前は天野広明(あまのひろあき)、22歳独身でまだ大学生のようです」


 そう言いながらアルテマは資料を渡す。


「その名前から察するにまた日本人かな?本当に日本人は適合者になりやすい傾向があるようだな。これで何人目だ?俺の感覚からすると7割ぐらいは日本人だと思うが?」


 俺は資料を斜め読みしながら彼女に話す。


「正確に言うなら、73.658%の割合で日本人ですね。他の国の適合者だと第2に・・・」


「いや、そんな細かい情報はいらない。詳しいやつはアルテマが把握していれば問題ない」


 言葉を遮る俺にジト目を向けるアルテマを無視し扉の前に立つ。


「・・・よし、そろそろかな。じゃあ、俺は部屋の中で待機している。アルテマはいつものように別室で記録を取ってくれ。今回のやつはどんな反応を見せてくれるかな?」


 そう言って俺は扉を開けて部屋に入った。





 部屋の中は殺風景だが以外と広く、これから来る日本人的に言うと50畳以上だ。

 これはたまに適合者が同時に複数現れる時があるからそのための対策だ。

 四方に白い壁で囲まれたその部屋にはほとんど何もなく、白い椅子が一つポツンと真ん中辺りにあるだけだ。

 全部白く、さらにある特殊な効果があるせいで来た者たちには意外と部屋というより何もない空間と錯覚する。


 「・・・よし、これから仕事だから口調とか気を付けないとな」


 そうやって俺は自分に喝を入れ、雰囲気を出す。


 そして少し待つと、天井から光が差しそこから粒子が漂う。

 その粒子は次第に集まりだし、最終的には一人の男性が現れる。

 容姿はというと、ごく普通に見かける黒髪黒目の日本人男性だ。

 ただ、若干体が細い気がする。


 「・・・あれ?・・・ここは?なんでこんな所に居るんだ?は?何がどうなってるんだ?」


 男性は酷く戸惑ってるようだ。

 まぁ、いきなりこんな空間に来たら誰でも混乱するだろうな。


 「ようこそ天野広明、選ばれし者よ」


 俺はいつもより若干威厳を出して彼に話す。


「・・・わっ!びっくりした!・・・なんでこんな所に人が?・・・そ、それにえ、選ばれし者って何?・・・な、何が目的でこんなことを?・・・え?これって・・・誘拐?」


 おうおうおう・・・誘拐だなんて・・・これはそんな小さい事じゃないんだがな・・・


「まぁ、待て・・・私の事を話す前に君はここに来る前の事を覚えているか?」


 ここに来るやつでたまに記憶喪失になってるのがいるから確認しないと後々の説明が面倒になる。


「・・・そういえば俺は大学帰りだったはず。・・・帰る前に秋葉でお気に入りのタペストリーを買って家の近くの交差点で待ってたら子供が急に出てきて・・・しかもトラックが走ってるのに・・・それで俺は彼女を助けようと突き飛ばし・・・て・・・え?・・・轢かれて・・・死んだ?」


 なるほど、一応最後の瞬間までは覚えているらしい。


「そうだ、君はトラックに轢かれて死んだ。まぁここは死後の世界みたいなところだ。そして自己紹介が遅れたな。私の名はアテウス。君たちの言う神だ。」


「・・・そ、そんな。・・・本当に、俺は死んでしまったのか?・・・う、うそだ。それじゃあ・・・もう」


ほとんどのやつは自分の起きたことを信じられない。死んだのだからそれを否定したいのだろう。だが、事実だから仕方がない。誰でも急に死んだら未練がある。こいつは何が諦められないんだ?


「それじゃあもうお気に入りのゆいちゃんのタペストリーが見れないじゃないか!せっかく発売日当日に買ってきたのに!部屋に飾って彼女を鑑賞したかったのに!こんなのあんまりだ!」


 ・・・それが未練なのか。確かに資料の中で天野広明という人物はかなりのオタクであり、ゆいというキャラクターが大好きなで色々なグッズを買ってるがために金欠になり、もやし生活をよくしてると書いてあったが・・・まさかこれほどとは・・・人間というものは面白いな。


「だが、事実だ。君が死んだという事は変わらない。悲しい事だが受け入れてほしい。じゃないと本題に入れないんだ。」


 俺は出来るだけ彼が平常心に戻れるように優しく対応する。


「うっ・・・ゆいちゃん・・・死んじゃったなら仕方ないのかな・・・それに、ゆいちゃんを凄く想ってたんだ!きっとたとえ近くに居なくても心の中でゆいちゃんが生きていれば大丈夫だよね!それにいつまでもくよくよしてたら、ゆいちゃんに失望されちゃう!・・・よし!神様!早くその本題というやつを聞かせて!」


 急に立ち直ったやつに俺は少し反応が遅れた。


「お、おう。・・・おほん。では改めて天野広明。君は一度死んでしまった身。でも、もう一回だけチャンスを与えよう。これから君を異世界に転生させてそこで第二の人生を歩んで貰う。そう、君は選ばれたのだ」


「い、異世界・・・?え?異世界ってあの異世界ですか?よく小説とかで読む異世界転生?!」


 彼がここに来た理由を述べると少し間があったもののすぐ理解をしたようだ。

 やっぱり日本人はこういう文化が流通してるせいか理解が早くて助かる。


「そうだ、その異世界転生の権利を君は得たのだ。まぁ、転生する世界は私の方で決めてしまうのだけれどね」


「そうなんですか・・・ちなみに、どんな世界なんですか?やっぱり剣と魔法の世界とかそういう感じですかね?」


「ふむ・・・説明すると長くなるのだが異世界というものは星の数ほどある。中には科学が凄く発達した世界、勿論君の言う剣と魔法の世界というのも存在する。だがここである問題が発生する。君が今住んでる世界に戦争があるように他の異世界にも似たような事が起きてる。そして、中にはそのせいで世界自身がかなりダメージを受けて危険な状態にある。この危険な状態が続くと最悪の場合、その世界は消滅してしまう。それは神として見過ごせないので、救済するためにその異世界を任されている女神たちが私の所に救援要請を出す。私はその要請を受け入れ、手助けする人を派遣する。そう、君がその派遣員だ」

 

「えっと・・・つまり俺がその世界を救うってことなんですか?でも、その世界って危険な状態なんですよね?そんな世界に行って俺大丈夫なんですか?せっかく第二の人生なのに転生した瞬間絶体絶命とか嫌ですよ?」


 彼の質問はもっともだ。誰がわざわざ危険地帯に足を踏み入れたがる。


「君の言う通りだ。なので異世界転生に承諾した際には保険として君には特殊能力、君に分かる言葉だとチート能力を与えることになっている。このチートさえあれば生存確率がかなり上がるはずだ」


「え?!やっぱりチート貰えるですか?!どんなやつですか?!もしかしてめちゃくちゃモテたりとか触手能力とかそういう系もあったりするんですか?!」


「・・・君はエロい事しか興味がないのかね?ちなみにどんなチート能力を得られるかは私には分からない。その能力は転生した先の女神が君に授ける予定なのでね」


 若干呆れつつも説明を続ける。

 なんで日本人男性はエロい事ばかりを考えるのかね?

 やはり文化が多少影響してるのかな?

 この前の女性適合者なんかBL展開を引き寄せる能力がほしいとか訳の分からない事を言ってたな。


「なるほど・・・女神さまに会えるんですね!きっと美人なんだろうな・・・神様!ちなみに、どんな女神さまなのかご存知だったりしますか?」


 それを聞いた俺は、その結果次第で異世界転生行きが決まると判断して即座に端末を出して調べた。

 

ピッピッピッ


 そういえば、最近低層ランク帯の異世界からの救援要請が多いな・・・

 中にはもう数人転生者を送り込んでるのにいまだに要請が出てる所もある・・・

 まぁ、今回は低層じゃなくて中層ランクでいいかな・・・

 数多ある救援要請の中でまだ転生者を送りこんで居ない所は・・・

 ふむ・・・ランクLVTの1031はまだ誰も送ってないか・・・で、そこの担当女神はっと・・・


「今調べたところ、君が派遣される異世界担当の女神はエレナで金髪の女性だ」


「金髪!キタコレ!行きます!その異世界に転生させてください!お願いしますなんでもしますから!」


 女神の特徴を言った瞬間、異世界転生行きが決まった。

 やはり資料にあった金髪好きというのは本物のようだ。

 おかげで無事彼を説得し、異世界に送り届けられる。


「分かった。では、これから君をその世界に転生させよう。転生すればすぐ女神が会いにきてくれると思うので、その世界の事は彼女に聞いてくれ」


「やった!神様ありがとうございます!よーし、頑張るぞ!世界を救って金髪美少女ハーレムを作るぞ!」


そういう天野広明の足元に魔法陣が出現し、彼の足から徐々に粒子化が発生する。


「では天野広明、地球では突然人生が終わってしまって申し訳ないと思うがどうか今行くその新しい世界を救ってほしい」


 天野広明にそう言いかけると彼は笑顔を向けて消えていった。





「お疲れ様でした、アテウス様」


 そう言いながら部屋に入ってくるアルテマは俺に紅茶を渡す。


ズズズッ


「やっぱり仕事が終わった後の紅茶は美味しいな。いつもありがとうな、アルテマ」


「いえ、これが私の仕事ですから」


 いつも真面目だなこいつは。

 まぁ、小さいころから知ってるしあんまり気にしていない。


「お前からの連絡がなかってことは一応彼は合格という事だな?」


「はい、別室で天野広明を監視しながら色々検査していました異常は見つかりませんでした」


「そうか、なら良かった。こういうのは見た目や口調などからでは把握できないからな」


 そう、アルテマが別室でやっていたのは天野広明という人物の精神状態だ。

 実はたまに適合者の中には精神異常者が混ざってる時がある。

 ここでの精神異常者というのは異世界転生する時に得られるチート能力を悪用する可能性があるという事だ。

 チート能力はその異世界の住民にとっては強大な力で生半可な力ではほど太刀打ちできない。

 なので、可能なかぎり善良な人間が異世界転生してくれることを望んでいる。

 しかし、この精神状態は心の奥そこに潜んでいるもので中々外からでは発見できない。

 そこで、別室に居るアルテマにそれをある程度把握できる特殊な機械で天野広明を監視していたのだ。

 もし、彼が精神異常者なら俺の端末から合図が出てきて即座に彼をそのまま天国か地獄に輸送する事になっている。

 まぁ、仮に万が一能力を悪用しようとしても女神自身が強いので大事に至らないことがほとんどなのだが。


「よし、予定より少し早く終わったから朝ごはんにするか。アルテマもまだ食べてないんだろう?」


「いえ、私はアテウス様より早く起きてその時にもう済ませてきました」


「・・・そうか、なら一人で食べるかな・・・」


 アルテマの返事を聞いてガクッとする俺はトボトボと食堂の方に歩こうとする。


「た、食べないですけど、食べてる所を付き合ってもいいんですよ?」


「お?まじで?なら一緒に来てくれよ!一人飯なんて寂しいからさ!」


 顔を少し赤らめるアルテマに俺は一緒に食堂に行くことを勧める。

 さて、今日のメニューはなにかな?


 


 

 そう、俺は異世界転生を担当する神。

 だが、この時俺はまだ知らなかった。

 俺の人生の歯車が少しづつ狂っていってることに。

思いつきで書きました。更新は不定期ですが、週1で投稿出来たらなぁって思ってますので頑張ります。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ