こんにちわ、笑顔
「あ、あのフェリさん・・・ダンクさんがいるので・・・・・」
「え?いいのよそんなのほうっておきましょう。はい、あ~ん」
ベキ
「ひぃっ」
「どうしたのほら、あ~ん?」
「あ、あ~ん」
ビキビキ
「ガタガタガタガタ」
「うん?どうしたの震えちゃって?もうお腹いっぱい?」
「い、いえ。そうゆうわけでは・・・」
「寒い?熱でもあるのかな・・・?」
そういってフェリさんか自分のおでこと健のおでこをくっつけた。
ブツン
ガン
ガン
ガンガンガンガンガンガンガンガンガンガン
生きている心地がしなかった。正直スープの味も覚えることができなかった。よく「彼女の両親とゴハン食べにいったら、緊張して味が全然わからなかった」という話をきいたことがあるが、そうゆう次元の問題ではなかった。最初は殺されてしまうと本気で思っていた。しかし、一向に直接的になにかをしてくるということはなかった。が、それが余計に怖かった。いっそのこと直接的に攻撃をしかけてくるなり、なんとかしてほしかった。視界にいれる勇気はないので見てはいないが。向こうの世界では恐ろしいことが起きている。おそろしい音がしている。肉体的な苦痛はないが、精神的な苦痛が計り知れなかった。
そう考えていると途端に気になってきた。怖いもの見たさ、というやつだろうか。すごく気になってきた。向こうの世界ではいったいなのが起きているのだろうか?
一瞬だ
一瞬見るだけなら大丈夫なはずだ。
いいやだめだ、かつてそういって消えていった先人たちがいるはずだ。気をしっかりもつんだ健!見てはいけない!あれは見てはいけないものなんだ!
いいや、見ていいぞ。だって見たいのだろう?なら見ればいいじゃないか。どうして見たいものを見てはいけないんだい?いつからそんなおりこうさんになってしまったんだい?見たいならみればいいじゃないか。さぁみるんだ!刮目するんだ!
脳裏で天使と悪魔が鬩ぎ合いだした。どうする、どうすればいい。正直みたい、見てしまいたい。一回気にしてしまうと見たい、という思いが強くなってくる。
決めた
決めたぞ
僕は見る。
そっと目を向けると・・・・
向こうの部屋はいたって普通だった。てっきり暴れて物でも壊しているのかと思い、少し拍子抜けだった。しかし、まだだ、まだ音の原因は見てはいない。
居た。
こちらを見ていた
もうこれ以上見開くことはできない、と眼球が飛び出んばかりに見開かれている。しかも血走っている。いや、実際に血が出ている。目から血の涙が出ている。血涙である。始めて見ました、本当に目から血が出るのですね。一体貴方はどれ程の悲しみに襲われ、それに耐えているのですか?と聞いてみたくなった。しかし、それよりも血涙より目を引くものがあった。座った状態で手には何かをもっている。なんだあれは・・・板・・?鉄の板・・?
なんだろうあれは、と見ていると。
「じゃぁ包帯取り替えましょうね~」
「あ、お願いします」
腕を上げながらフェリさんに視線を戻したときに、不可抗力、不可抗力であるがフェリさんの胸に腕が当たってしまった。
「ア・・・・」
「あ・・・・・」
ガンガンガンガンガンガンガンガン
な、なんだ?!なんの音だ?!慌ててダンクさんに目を向けると・・
鉄板を自分の顔面に打ち付けていた。
衝撃だった。それ痛くないのですか?と聞きたい。いや、痛くないわけがなかった。現に鼻血が出ている。とても痛そうだ。しかも、殴るたびに一瞬その凶器の顔が消え、勢いをつけるために顔面から離すときには凶器の顔が見える。
ガン(見えない)ガン(見える)ガン(見えない)ガン(見える)ガン(見えない)ガン(見える)ガン(見えない)ガン(見える)
ガン、という音も漢字にしてみよう。
顔(見えない)顔(見える)顔(見えない)顔(見える)顔(見えない)顔(見える)顔(見えない)顔(見える)顔(見えない)顔(見える)
「ぶっあっはははははははははははははははは」
無理だった。笑わないでいるなんて無理だった。
「腹筋が!腹筋が攣ってしまう!やめて!もうやめて!」
「なに!どうしたのツヨシ君!頭でもぶつけたの?!」
「ち、ちがうの!フェリさんみて!後ろ!後ろを見て!」
「うん・・・・?」
フェリさんも背後を向き、自分のお父さんへと視線を向けた。
「あっはっはははははは」
「あははははははははは!」
二人して大声を上げて笑うのだった。
感想、ご意見お願いします。