プロローグ
初めての投稿です。
木々が月光を遮り、視界を確保するのが困難な森の中の獣道、その先に石を積みあげた石積壇が佇んでいた。
そこは祝い事をする場所ではない。宴を上げる場所ではない。ましてや祭具を設置して祭祀を行う場所では決してなかった。
其処はナニカに対して供物を供進する場所であることは明白であった。
其処は鉄の臭いが充満していた。
其処には腐敗した物が転がっていた。
其処はあまりに不潔であった。
生きた物を供物として供進している場所であるのだろう。
つまり其処は、神的存在に供物を供進する場所であった。
神的存在、とはいいえて妙であった。たとえ其れが人外であったとしても。恐怖の対象でしかなかったとしても、人間は神として称えるしかないのである。
そして今も供物を供進しよう人だかりが松明を掲げながら向かってきている。
近くに住んでいる村人・・・だろうか?
その疑問を抱くのも仕方がないと思ってほしい。
その人々はあまりに異常であった。
松明の明かりでみえる服装はあまりに質素であった。
頬は痩せこけ。
目は血走り、隈があった。
神に供物を供進にいくというのに会話は一切なく、これが村人の意思として供進いくのではなく。強制的に供進しにいく。というほうがしっくりとする。
そんな10人ほどいる村人の真ん中あたりにこれから供物として供進されるであろう物が縄で縛られていた。
それは物ではなく者。人であった。
人である者もまた異常であった。
あまりに現実味の無いほどに、人形のように整い過ぎていた。
くすんだ銀ではなく、白く透き通った銀髪。
瞳は大きく、まつげは長く、鼻は高く、それらすべてのバランスをとる様に頬などが存在し、顔、頭を形成していた。
たとえ其れが少女であったとしても、これから将来その美貌だけで婿の貰い手には苦労することはないことは明白であった。その少女が供物として供進されるのであろうか?あまりにもったいない。
しかし、その少女は自分のこれからの運命を認識していないのであろうか。
反抗することも無く、激昂することもなく、ただ淡々と村人に連れられている。
その後景は異質で
儚げで
少女の美しさを余計にきわだだせているのが不憫でならなかった。
石積壇につき、そんな彼女を村人が縄を繋ぎ獣道を引き返すとき。
一人の村人が一度だけ振り返り、一瞬。
一瞬であるが悲しい瞳をしていた。
その瞳を向けられても少女は何も言わない。
いや、その瞳には何も写してはいなかった。
村人のほうを向いてはいるが、見てはいなかった。
ただ淡々と成り行きに身を任せている。
この少女は心がないのだろうか?
それとも自分の運命に挫折し、生きることを諦めてしまったのだろうか。
少女は美しい、触れたら壊れてしまいそうなほどに美しい。
しかし、少女は人であるのか?という疑問を抱いてしまう。
ふれたら本当に壊れてしまうのではないか、という感情を抱いてしまう。
その少女の心を知るものはこの世界にいるのだろうか。
その少女が瞳に写すものとはいったいどのようなものであるのだろうか。
思えばこのときにはもう彼は決めたのかもしれない。
この少女と自分の運命を受け入れることにしたのかもしれない。
これから見守って生きたいと思う。
この二人の物語を・・
こんな具合でいいのでしょうか・・
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