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王女様と兄王子

「えー・・・ほんとに行くんですかぁ?」

「あったりまえだよー!」

ミュンヘル家の前に立つエリルと、そんなエリルを見やりながら玄関のドアに手を掛けるライ。そんな二人を見て足を止め出す者もいた。

それもそのはず、何でも屋で有名なトーマとその一家はよく知られているのだがそれに加え小奇麗な格好をした少女が十分も同じ問答を繰り返していれば足を止めてしまうのは仕方がない。

「ほんとのほんとのほんとに行くんですか?」

「もーだからほんとのほんとのほんとに行くよ!」

何度も同じ問いをするライの手はドアノブを握ったまま動く気配がない。表情はどこまでいってもためらいしか感じられない。

(一体何がそんなに怖いんだろ?)

エリルがそんなことを思いつつもいい加減雨が降り出しそうな天気を見て自然と焦りを感じ、ライを押しのけて自分でドアを開けようと行動しようとした途端・・・

「玄関先でごちゃごちゃうっせーんだよ!くそったれ!!!」

勢いよくドアが開いた。

そのドアは、当然ドアの前に立っていたライの顔にもヒットし、ライがその場に蹲る。

「ぐぉぉ・・・」

痛さをこらえているらしい呻き声が聞こえるとさらに追い打ちを掛けるようにドアがライの体にぶつけられる。

「てめーさっき城に出勤していったんじゃねーのかよ、何のこのこ帰ってきてんだ。マジ働く気がねーなら家追いだすぞこの体力バカ」

ただひたすらにライを罵りながらドアを開けるトーマは腰に工具が入った道具袋を提げ、片手には金槌を持っていた。

流石のエリルも押し黙って見つめていると、ライが声を絞り出す。

「姫様が・・・お前に・・・」

トーマはドアをライにぶつけるのをやめエリルを見る。本当に今気付いた様に驚いた顔をしていた。

「あ?なんでここにいるんだ?」

城に行く時間は九時過ぎのはずだろ?と問いかけるトーマに、エリルはようやく言葉を発した。

「トーマって・・・人格破綻者・・・?」

「・・・疑問に答えずそれか、おい」

「あ、ごめんごめん。つい思ったことがぽろっと」

エリルが気を取り直して本題を言おうと口を開く。・・・がタイムリミットのようだ。

濁った雲に覆われた空から、一粒、また一粒と雨が降ってきた。最初はポツ・・・ポツ・・・という速さで雨は降ってきたが、それは次第に間隔が狭まりしまいにはザァァァ・・・と本降りになった。

とりあえず、手招きをするトーマに従いエリルはミュンヘル家へと足を踏み入れた。ドアの前で蹲っていたライもようやくトーマの攻撃から解放され同じくミュンヘル家に入った。

ドアが閉められると雨の音は少し小さくなる。エリルは心底落胆し、言葉を出す元気するない。

「で?エリルは何の用で来たんだ?」

トーマが家の中からタオルを持ってくると服に就いた水滴を拭けとばかりにエリルとライに渡す。なんだかんだでライも気に掛けるあたりトーマは優しい。

「あのね・・・」

エリルは元気をなくした顔でここに来た理由を話した。それを聞くとトーマは不思議がって言う。

「なら今からでも街見て行きゃいーじゃん」

「え」

面喰った顔でエリルが声を発するとトーマは玄関の靴箱を漁る。

そしてそこから少し光沢を放つ長靴を出した。

続いて靴箱とは逆の方にある傘立てから傘を一本出す。

「雨が降ってるなら、雨具使えば普通に外出れるだろ?」

ほらとそれらをエリルに渡す。そしてドアを開け外の様子を伺うとふむと行ってから、再びドアをしてライに声を掛ける。

「ライ、エリルに茶くらい出せよ。エリルもちょっと靴脱いでそこで待っとけ」

そう言って居間に案内する。

「いいか?じっとしとけよ?」

そう言って姿を消す。

言われた通りじっとしていると、ライがティーカップに紅茶を淹れてくれた。

「姫様、トーマの態度に驚きましたか?」

不意に声を掛けられ、エリルは一瞬言葉に詰まったが迷うことなく言う。

「んー驚いたと言えば驚いたけどトーマらしいよね」

あのね、という。

「ユーナがね、本当に愛おしそうに話してるの。ライもそうだしもう一人の息子さんや、この間あったラルフおじさんとか、本当に大切そうに話すの。宝物なんだって。絶対私が好きになれる人たちだって言ってたの」

そしてニコッと微笑むとほんとに好きになれたと言っている。

「私と対等に接してくれるトーマも、必要以上に畏まらないライも、ちょっと挙動不審だったけど笑顔を向けてくれたラルフおじさんも好きだから」

それを聞いたライは安心したように息をつく。

「それは良かった、あいつ、さっきも見たと思いますが、結構裏表激しいんですよ」

「裏表っていうか、天邪鬼だよねぇ」

二人してくすくすと笑っていた。

そこにトーマが戻ってくる。

「?何笑ってんだ?」

「なんでもなーい」

「ふーん?あ、エリルこれに着替えろ、ライ、部屋出るぞ」

エリルに服を投げライに声を掛ける。部屋を出るときにエリルに着替え終わったら声掛けろと言い残す。

ハーイと答え、エリルは服を着替え始めた。

はい、結構このコンビ好きですってことでこの流れにしてみた(

私の自己満でしたw

それではいつになるかわかりませんが次話にお会いしましょうー

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