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06 閉館時間、と私。

まさか。彼は王子様だ。

黄金に輝くサラリと揺れる髪にビー玉のように綺麗なスカイブルーの瞳。誰が見てもかっこいいと評されるであろう、その整った顔立ちに非の打ち所は無い。間近で見れば見るほどそう、感じる。

綺麗な顔をしているが、紛れもなく男である彼を王子様と呼ぶ人がいても、ましてや、彼をお姫様など呼ぶ人はいないであろう。

しかし、椎菜の口から出たのは間違いなくその名だった。彼の瞳を見た瞬間、呼んだその呼び名に自身でさえ驚いた。

(・・・ひめ、さま・・・?)

「何を考えているのかな」

その声に多少の不機嫌さを感じたのを不思議に思いながら、上から掛けられた声に顔を上げる。

長身な体を椎菜の目線に合わせて話をしてきた為、距離が近い。驚きつつも見れば見るほど引き込まれそ

うなその瞳につい言葉を失う。間近で見れば、本当に綺麗な人。

「・・・本、ありがとうございます」

本のお礼を言いつつ、とりあえず一歩下がる。

その行動が何故か彼の機嫌の悪さをさらに増した。綺麗な眉をほんの少しひそめ、何故か彼は一歩近づく。

(・・・え?)

意味が、わからない。

仕方なくもう一歩下がろうとすれば、今度は何かに阻まれ下がることは出来ない。

腰に感じた違和感に目線を下げれば、抱くように彼の手がまわされている。阻んだ張本人であろう彼は椎菜の視線を感じれれるとニッコリと微笑んだ。

本当に意味がわからない。しかもその笑は無駄に心臓に悪いのですが。

「・・・離して下さい。生徒会長。」

「姫様、そう呼んでも構わないのにね。」

「離して下さい。」

何の話だと無視してピシャリと訴えるようにはっきりと言えば何故か落ち込んだように項垂れて答えた。

「・・・離せば逃げてしまうじゃないか。」

腰周りにまわる手にほんの少し力が入ったのを感じ、余計に混乱してきた。

何だ、この状況。

必死にフル回転させて考えてもサッパリわからない。そもそも、ここには本を返しに来たわけであって、しかもこの抱きつき王子(生徒会長)に合わないようにわざわざ閉館間際の図書館を狙って来たのであり、なのに何故に抱きつかれて傍から見ればまるで秘密の逢瀬の如き状況に陥っているのだろうか。

そもそも直に合ったのは今、この時間が初めてのはずで・・・

そこまで考えてハタと気づく。

(閉館間際・・・?)

「逃がさない」

いや、何の話。

図書館内にある大時計を見ようと身じろぎすれば何を勘違いしたのか、まわされた手にさらに力が込めらられる。しかも若干痛い。どこか悪いところでも打ったんじゃないのかこの男。

ため息を堪えて、非難めいた視線を投げる。

「違います。・・・時間を見ようと」

「時間?まさか、誰かと待ち合わせでも?・・・今日は断りなさい。」

「何の話ですか!時間を」

「断りなさい。」

「はい」

(いやいやいや。何言ってるんだ私は。)

口が勝手に肯定を。

混乱しながらも口を開く。

「・・・離して下さい。時間、」

「まだ言う?その待ち合わせは、今日は無しにして欲しい。お願いだ。」

「違います!時間の確認を」

「今日は無しにしなさい。」

「はい」

(あああ。だから何言ってるんだ。私!)

この抱きつき王子が命令口調で言った瞬間、口が勝手に!

口が勝手に肯定している!なんだこれ、どんな現象なんだ。

「時間を見たいです。今何時ですか!?」

その問はさらに彼の不機嫌さを増したようだった。綺麗な瞳を細め手にさらに力を込める。

ぐっとの身体を寄せられ彼の体温を直接感じ、耳に彼の声が入り込む。

その直前。

椎菜は叫んだ。それも彼の耳元に向け、思いっきり。


「「時間が見たいんだよ!もうすぐ図書館が締まるんだよ!あんたと閉じ込められるのは嫌だ!絶対御免だ!っていうか手を離せ!この変態くっつきエロ王子ーーーー!!!」」


はあはあ、と息を整える間彼が至極彼が嬉しそうに笑を浮かべて彼女を見つめていた事を、のちの椎菜が知れば彼女の中の彼の変態度がさらに上がったのは間違いないであろう。

しかし今の椎菜がそんなことを気にする余裕は無かった。


「・・・閉館時間はとうに過ぎてるよ」

また彼のその発言にさらに絶叫するのはもう少しあとのこと。




早めに投稿出来んかったっ(*゜▽゜*)!

おかしい。

最近忙しく脳内が壊れ気味な作者です。

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