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20 長い話、と私。

遅いでしょうかΣ(*゜∀゜*)

しかし明けましておめでとうございます。今年もいい年でありますように・・・

「こんにちわ。皆さん。歴史ある我が校にもまたひとつの季節が過ぎようとしていますね。そういえば、最近は雨が続いていますがどのようにお過ごしでーーーーーー」


・・・かれこれ一時間は話してるぞ。学園長・・・


(・・・まあ、足が痛いとか貧血だとかは起こらなそうだけどね)


なぜなら皆椅子に座っているからだ。しかもただの椅子じゃない。ソファーである。

腰も痛くならないほど柔らかな素材だし、足が伸ばせるくらい大きいし。

周りを見渡せば、優雅にお茶とか菓子とか食べて聞く人も。


・・・なにこれ?なんだこれ!!全校朝礼だったよね!?


・・・あ、生徒会やら風紀の方々の座るソファーは何だか高そうですね。

飲んでるお茶もどこ産のモノなんだか。


大体、学園長の話は、大半が自身のライフスタイルについてじゃないか。興味ないっての。

少しヤケになってきた椎菜に気づいたのか隣に座るリューネが苦笑いで見てくる。


「椎菜~・・・あからさまに不機嫌だね。もしかして疲れた?」

「疲れる要素はありませんが」

「身体的にはね。・・・まあ私も若干疲れたけどさ。」

「・・・よくあんなに話がありますね。」

「1ヶ月の出来事でしょあれは。毎日が驚きの連続だね、学園長は。」


もしかして大体30日分をまとめて聞かされてるのか・・・今は何日分話し終えたのかな・・・


ため息が出たあと後ろの席から唐突に声をかけられる。


「みんな聞いてないわ。寝ちゃえばいいんじゃない?」


少し尖った感じのきつめの声。振り向けばその印象のまんまの彼女がニコリと笑う。

深めの青い色の目が印象的。きつめに巻いたパーマを結って横に垂らし、細長い足を優雅に組んで笑う、彼女。

・・・なんだか。

(オッホホホ~とか高笑いが似合いそうだね)


なんて若干失礼なことを考えてるのが分かったのだろうか、彼女が訝しげに椎菜を見る。


「面白いこと考えるわね。・・・シーナ、さん?」

「は?椎菜ですが。」

「あなた少し気をつけたほうが良いわよ。二度あることは三度あるって言うじゃない。」

「はい?」


あなたの国の言葉でわざわざ言ったのに、とか聞こえてくるが何のことか。

この目の前の少しキツそうな美人は誰ですか。


「・・・リヤ・・何とか。名前は。フルネームはちょっと・・・」


隣に座ってたリューネが思い出すようにつぶやく。それに少し挑戦的な笑をこぼす。


「良いわね、リヤって呼んで。フルネームは長すぎるもの。それに名前覚えるの苦手だったじゃない、あなた。」

「ええ、まあ・・・」


えへへ、と照れたように笑うが、そうだったのかリューネさん。

それにしては私や猫たちのことは結構すんなり覚えてた気がしますが。


「意外ですね。リューネ。」

「アカシアとアリスはしつこかったの~それにさ間違えると怖そうでしょ?」

「確かにそうですね。」


怖そう、というよりは煩そうだ。


「椎菜は・・・・・。」

「え?」


後半がちょっと。


「内緒~・・・かな!」

「はい?」

「それもそうね。しいな、ね。私もそう呼んでいいかしら?」

「え?あ。どうぞ・・・・・・」


リヤはとても嬉しそうに微笑んだ。

見た目キツそうな美人の彼女は笑うと印象が変わるようだ。


(もし男だったら惚れちゃうって・・・)


「あら嬉しい。いいわよ惚れて。大歓迎よ。」


・・・・・・?


若干の思考停止は許して欲しい。この人はなんですか。


ニコニコと微笑んでいるこの人は。少し楽しそうなこの雰囲気はちょっと猫達に似ている気もするけど。隣に座るリューネはあまり気にした様子もなくお茶を飲み始め、後ろに座ってたはずの彼女も椎菜の横に座った。つまり挟まれた。


「でも本当に気をつけてね。詳しく知る術はないけれど。」

「いったい何の話ですか?」

「物事って言うのは繰り返すものでしょう。私も怖いのよ。」

「はい?」

聞き覚えのあるその言葉。

(同じこと、言われたな。そういえば)


”物事というは、繰り返すものですよ。でもね、信じたいんですよ。あなたを。”

そういったのは誰だったか。



ああ、そうだ。

・・・ディーノ教授と椎菜のおばにあたるあの人。

やはり、よく意味は分からなかったのだが。

しかし、少し悲しそうにつぶやいた言葉をなぜ今思い出したのか。


「やっと話終わったみたいだね」


若干呆れたようなリューネの声でハッとし前を見る。

ちらほら拍手する音を聞きながら、学園長と入れ替わるように話し始めたのは、壮年の男性だった。


肩幅があり筋肉質な体型で、堂々とした出で立ちに佇まい、身長も高そうなその男性。

その人は・・・初めて見る人のはずで。



「ーーー・・・お久しぶりだね、諸君」




にこりと顔に笑みを浮かべながらゆっくりと、ゆっくりと喋りだす。その声すら。





ーーーこんなにも。


ーーーこの場から速く逃げたい



(・・・怖い)


何故、そう感じるのだろうか。











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