12 混乱、と私。
初めて二回つ続けて投稿しました。
腕を組んで眉間にしわを寄せ考える。
しかし、出てきた答えは答えではなく結論だったように思う。
「やっぱり謝るだけじゃ無理そうね~」
「やっぱりエレガ先輩もそう思いますか。」
「ん~。単純で素直だけど気難しそうだもの彼ら。」
その様子に寮長が苦笑し呆れたように声をかける。
「・・・そう言えるのはエレガだけだね。そして間違ってる。」
「ああ、・・・彼女たち、ね。」
え?と聞き返そうとすれば「なんでもない、こっちの話」とやや強引に話を切り上げられた。
今の話題は私のルームメイトをどうするか、である。
いつも帰宅がそんなに遅くならない私が夕食に時間にさえ帰ってこないのはおかしい、そう思い最初は寮の近辺を三人で探してみたらしい。いそうな所を手分けして探すも見つからずその間、リューネがとりあえず寮長にも連絡をしたらしい。
私は携帯を持ってない。そのため、連絡手段は無く3人はかなり困って焦っていたらしい。
「・・・最終的には学園の生徒全員に協力という名の脅迫をし、自分らの家の力を最大に使い探し出そうとしていたぞ。今椎菜が戻ってなかったら私も同じことをしそうだけどね」
(・・・戻ってよかった)
・・・心底、そう思う。
そりゃそうだろう。
心配をかけた事は確かに悪いとは思うけれど、どんな事件だ、それ。
そもそものスケールが違う。
図書室の階段下にいる間にそんな大げさな事になっていたとは。・・・まあ好きでいた訳ではないけれど。
「見つかりました。けれど恐らく怒られたくないのか逃げ出しかねない様子でした。とりあえず話を聞く為に私の部屋に来るように言ったので、少しだけ待ってて下さい。と先ほど伝えたはいいが・・・これで彼女たちがどこまで聞くと思う椎菜」
「「・・・どこまでも正直に伝えたんですね」」
「隠し事なんて無駄だよ」
怒られるのは覚悟の上で彼女たちを落ち着かせに、早く部屋に戻ったほうが良さそうだ。
鉢合わせするかもしれないが、それを聞いて待ってなどいないだろうから。
はぁ。
最近ため息が多いな。気を付けよう、あまり関係のないことを考えながら腰を上げた時である。
『・・・ため息をつきたいのはこっちの方だよ。シーナ。』
「確かにそうです。すいませ・・・」
(・・・?)
あ、あれ?
咄嗟に普通に受けて答えを返してしまったが、どこか違うその声の響き方は最近よく経験していたものであり、もしかしてまた?恐る恐る、顔を上げてみて、椎菜は固まった。
光景にではなく、いや、光景にだが。
椎名の目の前にいたのは二人の男女。
一人は青年。凛々しさを感じるその青年はゆったりとした衣を着て腕を組み困ったように頭をかいた。横に流すように結っていた黒髪がその時にさらりと落ちる。
その青年の様子に苦笑しながらも笑を絶やさない女性。歳は青年と同じくらいだろうか。とても優しい目をしたその女性は青年をなだめているのか肩に手を起き撫でている。薄茶色のロングスカートに腰には白い大きな布を巻いている、シーナとどこか似た格好である。
二人は一見すれば主人と侍女。しかし雰囲気にはそれ以上のものを感じた。
しかし、それよりもーーーーー似ている。
『シーナ?どうかしたの?顔色が良くないけれど・・・』
女性が心配そうに問いかける。鼻先にはそばかす。髪色は金髪。・・・エレガ先輩である。後ろで束ねてお団子にしている所は違うが間違いなくエレガ先輩である。
『聞いてるのかな、シーナは。・・・何だかボーとしてるけど、具合でもよくない?』
青年も心配気に顔を寄せる。凛々しい顔立ちが目の前に・・・体格は男であるが。寮長に似ている。
(ふ、ふたごの弟?寮長の双子の弟の幽霊?)
寮長の家族に関して何一つ知らないが。
そして服装はおかしいが。
じゃあ、隣のエレガ先輩に似たこれまた服装のおかしい女性は何だ。
「「椎菜?どうかした?」」
寮長の言葉ではっと目が覚めるが目の前の彼らはそのままで。
椎菜は余計に混乱した。
「「あ、別に、えっと、その。ちょっといやかなり混乱していて。そのえっと、あああ」」
横歩き、別名カニ歩きで彼らを避けながら二人を見れば挙動不審な椎菜に寮長、エレガまでも眉を寄せていた。ちなみに避けている彼らも椎菜の動きを追って見ている。ように見える。
(えええ、なにこれ。怖いな!)
見えてるのは私だけか!
「椎菜?」『シーナ?』
だから二人から同時に呼ばれた時にパニクったのだ。
「私、部屋、戻ります。、ね、眠い、かも?」
「・・・は?どうかしたの?」
「いえいえいえ!お二人は恋人同士のように仲がいいと思っただけです!!」
今まで無い無駄に大きな声で無駄にハッキリと言って急いで部屋を飛び出した。
部屋を飛び出してすぐ猫たち、リューネと鉢合わせした。
怒り心頭という感じの彼女らと鉢合わせた時「げ、やばい」と思ったがそんなもの一瞬 して吹き飛んだ。
彼女たちの後ろ銀髪美少年の幽霊が見えたのである。
椎菜はこれまでに無いくらい混乱の末絶叫し部屋までの道のりを全速力で走って戻って行ったのである。
もちろん猫たちはそんな椎菜に怒りを忘れ困惑し、とりあえず急いで後を追いかけたのである。
だから、その後の寮長とエレガがどんな表情をしていたのかは知らない。
・・・実際はそれどころでは無かったのだから。
まだ混乱している椎菜サンと作者です。
立ち直るかしら。しかし、混乱して悩まないと進めないから仕方ないですね 。
見てくださってありがとうございます。