11 女子寮長、と私。
う〜投稿できんかった。
時々、見にきて下さってる方に本当に感謝してます(。-_-。)!
女子寮長、保河花楓、椎名と同じ日本人であり学年で言えば、大学3年生。女子寮の寮長であり、あの学園の生徒会メンバーのひとりである。
腰まである艶やかで真っ直ぐな黒髪を編みこんで一つに束ね横に垂らしている。
見た目、性格も他の生徒に聞けば「大和撫子」「穏やかな女性」、「いつも笑顔な美人」、「清楚で純真」などという椎菜に言わせれば”間違った情報”がすぐにでも聞けるだろう。
・・・彼女が純真無垢でただの穏やかな女性ではないこと、椎菜はよく知っていた。
彼女は今、椎菜の目の前に腕を組んで座っている。
椎菜はその彼女を見上げながら正座をし座っていた。
そして、ニッコリと笑いかけながら何度目かの質問を投げかけた。
「「さて?そろそろ納得のいく説明をしてくれるかな。」」
表情は笑顔である。満面の笑みである。
しかし。
(・・・目、全く笑ってない)
この笑顔をアカシアあたりが見ていれば「うわぁ、関わりたくないねぇ」とか言いながら一目散に逃げているであろう。
猫たちは逃げ足だけは早いのである。
・・・どうしようか。
この笑顔はどんな説明をしようが、おそらく納得などしない。
このあときっと椎菜が今回どれだけ迷惑心配をかけたか、ネチネチと言い続けるのである。
そして、やっとのこと解放されたあと今度は猫たちからのお説教が始まる。
(うわ最悪)
遅くなり心配をかけた自分のせいではあるが、すごく面倒な流れだ。
(やっぱ逃げようかな・・・)
最近は本当いい事がない。
そもそも今回のことは私自身が悪いのであろうか?
あの変態の生徒会長に合わなければ遅くに本を返しに行く必要もなかったわけである。
・・・しかしたとえ合ったとしてもそこまで嫌がる必要も無かった気がしてくる。
ここ最近よく見る、あの変な映像もまだよく分からない。
登場人物は毎回少しずつ違うが、あの少女だけは必ず出てくる。
シーナ。ーーー椎菜とよく似たあの少女。
それから変態生徒会長によく似たお姫様・・・サーシャ?そう呼んでいたのはおそらく確かそのお姫様の兄だとかいう王子様。
それから寮の廊下にて急に現れた、猫たちによく似た銀髪美少年の幽霊。
しかし、銀髪美少年の幽霊、消えるのも急だった。正確には椎菜がパンを食べているうちに消えていたのでその瞬間は見ていない。
・・・もしかして、食べるのに集中しすぎた?
遅すぎる椎菜を心配し降りてきた寮長が目の前にいた事にすら気がつかなかったのだから、相当である。
「「椎菜。何、現実逃避してるんだい」」
呆れたような声色。とりあえず反論しておく。
「「・・・別に逃避してません。考えをまとめてるんです。」」
「「・・・往生際が悪いね~。そもそもまとめなければならないくらいの事があったの?」」
「「色々」」
「「いろいろ、ね。・・・一応聞こうか。その考えってやつを。」」
一応って。それもどうかと思う。真剣に聞け。
寮長との会話は楽だがなぜかどこか疲れる。
・・・そもそもこの寮に入っている人全員にこんなことしてるのかこの人。
「花楓。・・・落ち着いて聞いたらどう?」
とても落ち着いた声色。その人は寮長の肩に手を置き問いかけるように声をかけた。
椎菜と目が合うとニッコリと微笑む。
寮長は少し驚いたように振り向いた。
「エレガ。聞いてたの。」
「聞こえてたの。みんなヒヤヒヤしながら聞いてるわよ。」
目を向ければ確かに、ほか二人の寮長のルームメイトもお茶を飲む手も止まりこちらをひどく気にしているように見えた。そのお茶もきっと冷めている気がする。
「・・・別に落ち着いてはいるから」
ルームメイトに向かって少し気まずそうに笑いかける寮長。
「それまでが落ち着かなかったのよね。どこにいるかも分からないし音信不通っぽくなっちゃて焦ったのよね。・・・ましてやそれが椎菜ちゃんだったから尚更ね。」
「・・・」
(・・・どういう意味?)
本当にどういう意味だろうか。
たまによく分からない。
だってここに来たのはつい最近で、ここの人達にあったのもつい最近である。
ルームメイトの猫たちやリューネ、寮長。そしてディーノ教授
そんなに広くない交友関係。そうなるようにしてきたのだが。
そういう人たちなのかな、と思いつつも
どこかで不思議に思ってた事がある。
みんな合って間もない椎菜に過保護すぎやしないかと。
・・・まるで前から知ってるみたい。
寮長と話していたエレガが椎菜に目を向けたので考え事をやめ椎菜も顔を上げた。
「椎菜ちゃんも、何があったとしても心配をかけたのは事実。謝るのが先だよ?」
エレガ・シャルトネ、寮長のルームメイトで副寮長。・・・生徒会のメンバーである。
ブラウンの瞳を優しげに細めニッコリと微笑む。鼻先に見えるそばかすがまたチャーミングである。
(・・・確かに)
「・・・ごめんなさい。」
すとんと落ちた素直な言葉にエレガはニッコリと微笑む。そしてなでなでと、エレガに頭を撫でられる。
(子供扱いか!)
むぅと口を尖らせればクスクス笑いながらますます撫でられる。
「・・・エレガには素直だね。」
しかしその様子を見て何故か寮長の機嫌は下降していった。