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09 寮の門限、と私

短いけれどキリがよかったので投稿しますね(*゜▽゜*)

もう一度言おう。

ここに通う生徒のほとんどは家柄、財力などが上流階級の者ばかり、である。


その為、生徒の安全に備えてなのか外出に対しては少し厳しい。簡単に外出は出来ず、するにしても外出する際には「外出届」なる書類を数枚かいた後何名かの先生に了解の印を貰い、実際の外出時にはSP的な護衛が何人か付く。


それを面倒がってか、よほどの事がない限りは、外出をする生徒はいないが、その外出をした際に、寮の門限に間に合わない生徒が多い。


寮の門限は男女ともに思ったよりも早い。


その為女子、男子に分けて生徒には寮の寮長と連絡が取れるように、とあるカードが配らている。

学校内にはいくつかの場所に設置されている小さな電話がある。番号など押すボタンが一つも付いていないその電話の横にある差し込み口に、そのカードを差し込めば、それぞれの寮長の部屋に繋がる、という仕組みである。


寮の玄関口にも、ひとつだけその電話がある。

門限はとうに過ぎて閉まっている。一応、ぐるりと回って裏口も確認してみたが、やはり閉まっている。


(はぁ。あの人に電話か・・・)


ちなみに、椎菜は一度もそのカードを使ったことがない。あまり使う機会がなかったせいもあるが、一番の理由を上げれば、あの人、女子寮長に会いたくなかったからである。別に嫌っているわけではない、苦手なだけである。はあ、と自然に出るため息にもう一ど溜息をつきながらカードを差し込んだ。


機械音がピピピと続く中、少し低いその声には若干苛立ちが込められていた。


「ーーーーーーはい?」

「すいません私、」

「椎菜だね?」

「・・・」


(・・・わかってても最後まで言わせてくれないか)

内心つっこみながらその問にはい、と答える。相手はその答えに苦笑したようだった。



「声で分かったんだから仕方ないだろう?開けてあげるから、いじけてないでとりあえず入って来な?」

「いじけてませ・・・」

「言い訳は後で。とりあえずあたしの部屋に来ること」

「え。嫌で」

「しぃ~な。・・・血眼になって探そうとしているあいつら、必死に抑えたのは誰だと思う」

「・・・」


(話を聞け、話を!)


何だか面倒そうな雰囲気がする。嫌だ。関わりたくない。無視して違う部屋に行こうかと思い、適当に返事をしようとしたが思わぬ先手を打たれる。


「・・・言っとくけど、あのシェナでさえ怒ってるからね」


(嘘だろ。あの天然娘なシェナが!次の授業に始まった事に気づかないあのシェナが!)


「失礼な事を考えてないで、とりあえず入って来なさいね。・・・言っておくけど、ディーノ教授に頼ってみようとか考えない方が懸命だからね。一応彼にも忠告しといたけどね。」


(でも、どうしてもといえば匿ってくれる気がするな)

何故か自分に少しだけ甘い教授の事だ。仕方ないですね、とか言いながら部屋に入れてくれる気がする。何より夜通し彼らに怒られるのは避けたい。


(よし、そうしよう)


受話器を起きかけた矢先である。

わざとらしいほど優しげな声にゾクリとする。


「・・・椎菜?一応言っとくけど、彼は研究室にはいないから。彼は今奥様と学園の外の実家にいる。・・・何故か彼は椎菜に甘いから先手を打っておいて正解かな。」

「・・・」

「諦めて入っておいで?」

「・・・」


(優しい声の方が余計怖いな!)


相手の方が一枚も二枚も上手である。

しかし、何故にこんな展開になってしまったのか。その原因であろう、あの男を思い浮かべ椎菜は心の中でこっそりと舌打ちをしたのだった。


(・・・でも、直接部屋に帰るよりはマシなのかもしれない)

そう思い直し、しかしこらえきれなかったため息を大きく吐いて、重い足取りで寮の入口に足を踏み入れた。


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