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無理しないペースで、あんまり感覚を空けないで投稿できればいいなって思っています。

2個のお話を書きながら、どちらも無理をしないように・・・

城門で冒険者カードを見せて、あたしはそのまま王都の外へと出ました。

実は、王都から外へと出たのはこれが初めてだったりします。


なんかワクワクしてきますね。これから胸沸き踊る冒険の日々が始まるんですから。


わたしは、そう感動に打ち震えながらも手にした依頼の紙を確認します。


・依頼ランクE 薬草の採取 個数20個 報酬銅貨1枚


改めて依頼の紙を見たとたん、わたしは感動が萎んでいくのを感じました。


採取はいいんです。薬草も大事だって教えてもらいました。問題は・・・・報酬の銅貨1枚。

銅貨1枚だと何も買えません。食堂でご飯を食べるのにも銅貨10枚はいります。銅貨1枚では、どこかで飲み物を一杯飲んだら終わりです。


はぁ、この年になって子供のお小遣いみたいな報酬で働くのかぁ。


ため息だって出てきます。

それでも、気を取り直して、早くランクDを目指して頑張ろうと心を切り替えます。

そして、近くの林に向かうか、それとも湖の方を目指してみようか、そんな事を考えていると、自然に心が軽くなりました。


うん、がんばろう!


そう思った時、城壁の隅に生えている草に気を取られました。


あれ?


そう思って近づいてみると、あれ?薬草です。

目の前に薬草が生えています。


「えっと・・・どうしよう?」


そう思いながらも、短剣を取り出して薬草を丁寧に根元付近から切り取りました。

そして、まさかと思いながらも城壁沿いを見ると、所々に薬草が生えています。


「えっと、こんなのでいいのかなぁ?」


そう思いながらもひとつずつ薬草を刈り取っていきます。

そして、20個の薬草をあっという間に集めてしまいました。


「こんなに簡単でいいのかなぁ?」


そんな事を思っていると、背後から突然声を掛けられました。


「あ!そこの姉ちゃん!勝手に他人様のテリトリーを荒らすなよ!」


吃驚して後ろを振り返ると、まだ10歳になるかならないかくらいの男の子が立っていました。

そして、その後ろには8歳くらいの男の子と、6歳くらいの女の子が最初の子の後ろに隠れるようにしています。


「えっと、テリトリー?」


「おう、ここは俺達が薬草を採る為のテリトリーなんだよ。勝手に採るな!」


良くわからないですけど、わたしが薬草を採った事に対して怒っているようです。


「貴方達みたいな小さい子が薬草を採ってるの?まだ冒険者の依頼は請けれないでしょ?」


なんでこんなに小さな子達が薬草採りをしてるのでしょう?そもそも依頼なんか請けれないでしょうし。

服装からしても、それ程貧しい感じはしません。今のイグリアは比較的治安もよく、また福祉関係も安定しているのでスラムなんかは無いですしね。


「薬草を20枚集めると、道具屋が銅貨2枚で買い取ってくれるんだよ。俺達孤児だしな、自分達の小遣いは自分達で稼がないと。だからみんなでキチンとテリトリーを分けてるんだ。ここの薬草だって枯れたりしないように面倒を見てるんだぞ!」


あ、ちゃんと世話をしてるんだ!どうりで城壁周りに薬草がこんなに生えてるんだね。それにしても、道具屋では銅貨2枚!もしかして冒険者省は道具屋に倍の値段で転売?


「ねえちゃん、その薬草20枚あるんだろ?銅貨2枚で買ってくれよ。どうせ採集依頼なんだろ?」


う・・・ここで買い取ったら依頼達成しても銅貨1枚の損失です。

このまま全部渡してしまおうかと思ったのですが、どのみち依頼をもう少し別の物に変えに戻ろうと思ったので手間も考えてそのまま銅貨2枚を払って買い取りました。


「まいどあり~」


男の子達はお金を受け取ると、すぐに自分達も城壁に沿って薬草を刈り始めました。


う~ん、やっぱり薬草採取は地味すぎますよね?子供じゃないんだから。


改めてそう思います。

わたしは、薬草を持って再度冒険者省へと向かいました。

ちなみに、出てすぐ帰ってきたわたしに、城門の衛兵の方に呆れた顔をされました。


きっと、忘れ物を取りに戻ってきたとでも思われたんでしょう。失礼ですね!


「すいません、依頼達成しました」


わたしは、受付で採取した薬草と合わせて依頼表を手渡しました。


「あら、はい確認しました。銅貨1枚ですね」


わたしは、手渡された銅貨を見ながら、受付の女性に聞きます。


「あの、このまま薬草採取してるとDランクにはいつ頃成れますか?」


「そうねぇ、薬草採取だけだと、まぁ量にもよるけど4~5年はかかるんじゃないかしら?」


「4、5年!あの、早くDランクになるにはどうすればいいですか?」


あまりの長さに、わたしは早々に薬草採取を放棄しました。


「そうねぇ、簡単に言うと、Eランクの依頼の中で一番報酬の高いものを選んで数をこなすのが一番最短かな?」


「一番報酬の高いのですか、見てみます!」


わたしは、急いで掲示板を見直しました。


採集系で一番報酬が高いのはっと、あ、これかな?


・騎士団での荷物の積み下ろし ランクE 時間5:00~7:00 報酬銅貨50枚


う~ん、報酬は良さそうだけど、時間がもう終わってます。それに、本当に美味しい依頼ならこんな風に残っていないような気がする。


わたしは素直に受付に戻って話を聞いてみました。


「あぁ、それはね、冒険者省は8時には門が開くのよね。それで、美味しい依頼は早々に無くなるの。この時間だと残っているのは高ランク向け、採算があわないなどの物が多いかな?」


薄々感じてたんですけど、此処に残ってる依頼って、やっぱり残り物ばっかりだったんですね。

わたしは、恨めしそうに依頼ボードを眺めました。


「あとは、あんまりお薦めしないのだけど、魔物や獣なんかを狩って実績を出す事かしら?」


「え?でも討伐依頼はまだ請けれないって」


「ええ、だから依頼ではなく勝手に狩るの。すべては自己責任ってことね。何かあっても全て自己責任、冒険者省は責任を負いませんって事です」


「でも、それだと冒険者省のランクは上がらないんじゃ?」


「ある程度実績が安定していると判断されれば、冒険者省で昇格クエストが請けれるの。そこで合格すればランクはあがります。でも、率直に言ってこの方法を選んだ人が一番死亡率が高いわ。だから、明日の朝依頼を見てから判断しても遅くないと思うし、その方が貴方には良いと思うわね」


「あの、もしですけど、自分のランク以上の依頼の素材を持っていた場合、その素材を持って依頼達成は可能ですか?」


「はい、それは可能です。ただ、もしその素材が不正に手にしたものなどだった場合は罰則があります。又、時々購入した素材で依頼を達成される方がいますが、その場合も問題にはなりません」


「え?そうなんですか?


「はい、冒険者ランクは試験に合格しないと上がりませんから。試験資格は出来ても、実力がなければ試験は失敗されますからね」


「あ、はぁ」


でも、これでランクを早く上げる方法は見つかった!まずは魔物や害獣を倒さないと!


「ありがとうございます!」


「あ、ちょっと!」


わたしは、特に依頼を請ける事をせずに冒険者省を飛び出しました。

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