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大恋愛計画

作者: 風矢

 あなたの願い事はなぁに?


 そういきなり聞かれて答えられる人はどれだけいるんだろう。


 そして言ってみた願い事は本当に願っていたことなんだろうか。




「私こと山岸やまぎし 文子あやこは今日こそ歴史に残る大恋愛をします!」


 朝、人通りの少ない路地裏でそう小声で叫ぶ。


 え?なんで小声かって?


 だって恥ずかしいじゃないですか。


 こほん。


 ともかく、これまでの私は灰色の世界にいたんです。


 男の子と付き合ったこともなければ、告白したこともありません。


 今も特に好きな人もいないんですが、このままじゃいけないって思いました。


 たった一度きりの人生なんだから、もっと楽しまないと損ですよね?


 まずは生贄、もとい私の恋愛に相応しい相手を見定めないとだめですね。


 そう思い、私は校門からぐるっと見回してみました。


 そして結構背の高い素敵な人を見つけたんです。


 これだっ!


 けど、彼の傍には友達らしい人が何人かいて彼に話しかけています。


 周りに怪しまれない程度にこっそり後をつけ、一人になるのを待つことにしました。


 とはいえ、朝の時間はそんなに長くありません。


 結局チャンスは訪れないまま、授業が始まってしまいます。


 でも、そんな失敗程度じゃ私はめげません。


 次にいつチャンスが訪れてもいいように計画を練っておかないと。


 授業?なんですかそれ。


 お昼休みにもアタックをかけるべく彼を待ち伏せです。


 こんなこともあろうかと今朝早起きしてお弁当を作っておいたんです。


 さあ、準備は万端。


 いつでも来て下さい!


 授業が終わり、大量の人が廊下に溢れてきました。


 私は彼の姿を必死に探しました。


 そして、彼の姿を人ごみの真ん中辺りでみつけたんです。


 けれど、私は焦っていたんでしょう。


 無理に走りぬけようとした私は周りの人に押されてお弁当を落としてしまいました。


 なんということでしょう。


 正直、しばらく呆然としましたね。


 仕方ないのでその場は諦めましたが、まだ終わったわけではありません。


 とうとうやって来ました放課後が。


 なにせ時間はたっぷりあるんです。


 朝のようにチャンスを掴めないまま終わることも、


 お昼のようにチャンスを潰してしまうようなこともありません。


 そしてとうとう待ち望んでいた彼が校門から出てきました。


 しかも都合の良いことに一人だけです。


 私はもう少し人通りが少ない所で告白しようと、こっそり後をつけることにしました。


 天は私に味方しているのか、彼はどんどん人気のないところへ行っています。


 まさにこれは天命。


 これでやっと私にも薔薇色の人生が巡ってくるんです。


 ふと彼の足が止まりました。


「鈴木さん、お待たせ。」


 よく見ると彼の前にいつのまにか女の子が立っていました。


「ううん、私も今来たところだから。」


 ベタな台詞を言ってますが、頭に葉っぱがついているのを見逃しはしません。


 でも、あれ?


 こういう台詞ってなんだか漫画とかで見たことがあるような・・・


 悩んでいる間にも彼は女の子と手を取り合って去っていきます。


 あ、あるぇ~?


 気がついたらそろそろ日が暮れそうです。


 泣いてなんかいませんよ?


 ただ、夕日が目に入って眩しいだけなんです。


 ところでちょっと叫んでもいいですか?


「なんじゃそりゃ~~~~~~っ!!!」




 今日の願い事と明日の願い事は一緒なんでしょうか。


 もし今日の願い事が叶ったとして、それは幸せなことなんでしょうか。


 あなたの幸せはなんですか?


 それは願い事が叶えば達成されますか?


 私はずっと願い続ける。


 明日の私の願い事が叶いますように。


END

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