甘い生活
あなたの細い指と甘い声は僕の枷だ
白い腕に絡めとられて
僕はもうどこへも行けない
あなたの部屋はいつも少し暖房が効きすぎで
外に木枯しが吹いていても雪が降っていても
身につけているものは軽い部屋着一枚
あなたはいつも少しだけ酔っていて
低くブルースを口ずさむ
古いメロディ
――彼が好きだった歌を覚えてしまった
それが本当のことなのか
あなたの好きな嘘なのか
囁くくちびるからは何もわからない溜息
雪の降り出した夜
途方に暮れて悲しく歩いた道で
――ひとりなら一緒にいらっしゃい
やわらかな声を僕に寄越した
――好きなだけ一緒に居ていいわ
あなたの長い髪や赤いくちびるを
幾度となく確認する
――出て行きたくなったら行っていいのよ
僕はここにずっと
あなたに囚われたままずっと
あなたの白い指先が触れるたびに
僕は喜びの溜息を漏らす
にゃああああん!