第3章:ミャウコ新能力開眼!? 世界がズレ始めるニャ!
第3章:ミャウコ新能力開眼!? 世界がズレ始めるニャ!
ふにゃぁ~!魚10トン、ゲットするニャ!
ガロ村の広場は朝の喧騒に包まれていた。木造の家々の間を、商人や農夫が忙しく行き交い、広場の中央には「勇者ミャウコ公式ポスター(非公式)」がデカデカと貼られている。…胸揺れ強調のイラスト、誰だこれ作ったの!? 私の猫耳カチューシャ、こんなデカくないニャ!
元・三毛猫のミャウコ、つまりあたし。魚市場でトラックにドーン!されて転生したはずが、今は超ボンッキュッボンなグラマラスボディの勇者(レベル1)。猫耳カチューシャピコピコ、尻尾フリフリで、村人から「ミャウコ様!」と熱い視線を浴びる。……ニャ、なんか恥ずかしいんだけど?
村長が木製の台にドンと地図を広げ、太い声で説明を始めた。
「ミャウコ様、魔王軍の前哨基地が南の森の奥に。ゴブリン、オーク、トロールの混成部隊が潜んでおる。討伐報酬は……魚10トン分相当!」
「ニャッハー! 魚!?行く行くニャ!ツナ缶も付けてニャ!」
私の猫魂、燃え上がる!魚10トンなら、100階キャットタワーで毎日寝っ転がって食べ放題だニャ!でも、村長の後ろで村人たちがボソボソ。
「報酬の9割、王都に税金で持ってかれるんだよね……」「魔王軍の襲撃、最近やたらタイミングいいよな……」「まるで、誰かが戦争を仕組んでるみたい……」
ニャ?変な空気?猫の勘が「何かおかしいニャ」とビンビン。でも、魚のためなら後で考えるニャ!
ガレンが剣を研ぎながらキリッと告げる。「敵は十数体。油断するな。陣形を組んで進むぞ」
ルナが腕組みでフンッ。「ふん、雑魚でしょ? 私の炎魔術で一掃よ! ……でも、あんたのその体、戦場で邪魔じゃない?」 私のボディをチラ見、嫉妬の目がギラギラ。ニャ、ルナ、顔赤いよ?
テオは聖典(自作ノート)にスケッチしながら、「ミャウコ様の初陣……! 聖なる輝き、永久に刻む!」とメガネをキラーン。……やばい奴、増量中ニャ!
パーティ揃って、森へゴーだニャ!
■森の奥、カオスな戦闘開始!
南の森林地帯、鬱蒼とした木々の奥。ドクロの旗が風に揺れる魔王軍の前哨基地は、木製の柵と監視塔に囲まれた要塞。ゴブリン10体が槍を振り、オーク5体が斧を構え、巨大トロール1体が「グオオ!」と咆哮。普通の勇者ならビビる雰囲気だけど、私は三毛猫界の女王だったニャ。怖いものなし!
実はこのモンスターたち、森の少し離れた陰で潜む魔王軍中枢の上位幹部が設立した秘密組織の精鋭偵察部隊が仕込んだもの。敢えて多めのモンスターを配することで、グラビア勇者ミャウコの実力と能力の全貌を測ろうとしていたのだ。
ガレンが剣を抜き、低く叫ぶ。「陣形を! 俺が前衛、ルナは後方支援、テオは回復! ミャウコ、適当に……いや、指示に従え!」
ルナが炎の魔法陣を展開。「雑魚なら私の《烈火連弾》で終わりよ!」 でも、オークの高速斧が予想以上に早く、ルナの魔法詠唱が完了する前に斬撃が飛んできた。
「うわっ!」ルナの叫びとともに、体勢が崩れ、制服の上着がはだける。胸元がわずかに覗き、思わずガレンの顔が真っ赤に。
「おい!ルナ!だいじょ……て、え?あれ?思ったより……でか……」
と、声にならない声を漏らすガレン。
「どこ見てるの!敵に集中して!」
ルナは慌てて突っ込みながらも、体勢を立て直そうとする。
それを見たあたしは、尻尾のアクセサリーをピンと立てて目を輝かせる。
(ニャハ、なるほどニャ!ルナは隠れ巨乳だったにゃ!これは戦闘どころじゃなく……テンションアゲアゲだにゃ!)
ルナは慌てつつも、トロールの一撃で後ろに吹き飛ばされる。倒れる瞬間、胸元の布がひらりと揺れ、私の興奮はさらに加速。
「よーし、これであたしの“猫パワー”もフル稼働ニャ!」
ガレンは赤面しつつも、「……ミャウコ、落ち着け! 戦略を……!」と必死に叫ぶ。
あたしは木陰から身を低くし、尻尾をフリフリ。「ニャハ、任せるニャ! 魚のために一気に片付けるニャ!」
」 でも、遅いニャ! あたしは地を蹴り、空中でクルリと回転。風が髪を揺らし、猫耳ピコピコ。自然と体が動く――
「なんか、ちょっと今日はセクシーな気分にゃ」
ミャウコがそう言うと、彼女の全身光に包まれた。「なんだにゃ?」
■ミャウコ変身?!ナイトモード発動!
光に包まれたミャウコをガレン達はじっと見ていた。
「な、何が起きているんだ?!」
そして、ゆっくりと光が消えてゆき、彼女の姿が少しずつ現れてきた。
一同、目を見張った。眼の前に居るのはミャウコではなく、黒いドレスに身を包み圧倒的な色香のオーラを放つ女性。胸元は大きく開き、ドレスのスリットから美脚が露わになっている。
「初めまして──本日はご指名いただき、誠にありがとうございます」
W それは、ミャウコの軽い声ではなかった。
耳に届いた瞬間、空気の密度が変わったように感じる。
目の前の女は、ゆっくりと顎を引き、深紅の唇をわずかに弧を描かせる。
長いまつげの影が頬をなぞり、その双眸は、夜の底からすくい上げたような艶を帯びていた。
黒いドレスが身体の曲線をなぞり、深く切れ込んだスリットからのぞく脚が、視線を絡め取って離さない。
香水の甘い香りが、呼吸のたびに胸奥をくすぐる。
まるで高級クラブのVIP席からそのまま抜け出してきたような、圧倒的な色香。
その存在感だけで、戦場の喧騒が一瞬遠のいた。
彼女の圧倒的なオーラに、ガレンたちはしばし言葉を失った。
森の陰に潜む偵察部隊の隊員たちは、思わず息を呑んだ。
「な、なんだ……この変化は……?」
「ただのグラビア勇者なのに……場の雰囲気まで変わってしまった……」
視線の先にいるのは、確かにさっきまでミャウコが立っていた場所。
だが──そこにいるのは別人。
髪の色も、目の輝きも、立ち振る舞いも、何もかもが違う。
今の彼女からは、いつもの気まぐれで間の抜けた雰囲気など欠片も感じられない。
誰かが、ごくりと唾を飲み込んだ。
「……え?ミャウコは?」
その女性は落ち着いた声で
「彼女は私です」
その時、ゴブリンとオーク、トロールが一斉に攻撃を仕掛けてきた。
「ヤバい!数が多い!みんな!態勢を整えろ!」
ガレンが他のメンバーに指示を出す。
ミャウコ?が、ほんの少し微笑を見せ
「そんなに急がなくても、もう少しごゆっくりしていってくださればいいのに。――では、本日のお会計は1600万ゴールドになります」
ミャウコ?がそう言うと敵が眼の前から消えた。
ガレン「な、何が起きた……?敵は……どこ行ったんだ?」
ルナ「"本日のお会計は"って言った直後に……消えた?!」
テオ「なんか……レシートっぽいのに巻かれてたけど……」
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ミャウコ(ナイトモード)が、“本日のお会計”を告げたその瞬間、敵は会計伝票の渦に巻かれ、次元の裂け目へと消えていった。そこには命の値段と行き先が書かれていた。
――命の値段1600万ゴールド。行き先 : 不明。
敵がいた場所には、大量に積み上がった金貨と、落ちた“彼女の名刺”だけが残された。
風が止み、静寂が訪れた。
会計伝票の渦が空に吸い込まれていった直後、黒いドレスの裾がふわりと舞い上がり、
「……ふぅん、1日の売上にも満たないわね」
金貨の山を前に、ガレンは目を見開く。「こ、これ……全部本物か?」
ルナが一枚拾い、光に透かしてみる。
「……間違いない、本物の王都金貨よ」
テオは目を輝かせて叫ぶ。
「すごいです!討伐と同時に換金できるなんて!」
ガレンは呆然と呟いた。
「こんな芸当、ギルドでも聞いたことがない……」
そう言い終わるより早く、光の粒が彼女の身体を包み始めた。
柔らかな白い光が瞬くと、姿がじわじわと崩れていき──
ぽんっ、と小さな音がして、ミャウコが元の姿に戻っていた。
「ん……にゃ?あれ、アタシ……寝てた……?」
地面にぺたんと座り込んだまま、きょとんとした顔で周囲を見渡す。両手を見つめ、目をかく。
意識がはっきりしていないようだ。
「なんか香水の匂いがする。……しかも、めっちゃ疲れてるんだけど……。え、なに?なんかピカピカの丸いのいっぱい落ちてるにゃ!」
テオがこっそりルナに耳打ちする。「……記憶、ないのか?」
ルナは名刺を拾い上げて、小さくため息をつく。「どうやら、本気で覚えてないみたいね……これ、彼女が落としてったやつだけど……"CLUB夢幻・麗華"って書いてある……」
ミャウコは立ち上がり、身体を伸ばすと、のんきな声で言った。
「ねえねえ、なんかいい匂いしない?……あー、お腹すいたニャー。ごはんにしよ、ごはん」
その顔には、ついさっきまでゴブリン軍団を“会計処理”していた面影は、微塵もなかった。
■基地の秘密と世界の違和感
まだ、誰もさっきの出来事を消化しきれていなかった。
……ついさっきまでのミャウコと、あの黒ドレスの“麗華”が同一人物だなんて。
そんな空気のまま、崩れた基地を漁っていると──
「……王都納品済?勇者グッズ製造用?」
物資の木箱に刻まれた文字に、思わず二度見する。
ニャ!?魔王軍が王都に物資を売ってる!?
何この内通感!?
恐る恐る蓋を開けると、中から現れたのは──
「ミャウコ公式フィギュア(※非公式)」の試作品。
しかも胸揺れ機能付き。……誰だよ、こんな無駄に技術を使ったやつ!
ガレンは額に手を当て、「これは……報告書に書けないな。魔王軍と王都が繋がってるなんて……」
ルナは地図に印をつけながら眉をひそめる。「何か変よ。この戦争、まるで仕組まれた芝居みたい……」
テオはフィギュアを大事そうに掲げ、「ミャウコ様の雌豹ポーズが、真実を暴く!この輝き──“銀河雌豹スタイル”と命名します!」
私は魚の匂いを探して箱をガサガサ。「ニャ?魚はどこ?……てか、この戦争、なんかズレてるニャ」
胸の奥がざわつく。猫の勘、ビンビンに反応中だ。
──この戦争の裏、絶対に何かあるニャ。
■夜、ゼノスの警告と謎の影
ガロ村に帰還すると、村人たちが拍手喝采。「ミャウコ様、5秒で基地壊滅!?」「でも、報酬の9割、王都に持ってかれるんだよね……」「魔王軍の物資、王都の貴族が買い取ってるって噂だぞ……」「戦争、なんか予定調和っぽいよね……」
ニャ!?また変に情報が錯綜してるにゃ! 魚10トンはどこニャ!?村の子供が「ミャウコ様のポーズ、SNSでバズってるよ!」とスマホ(魔法通信機)を見せる。#雌豹ポーズチャレンジ、トレンド1位!……ニャ!?私がバズってる!?
宿屋のベッドで寝る私の夢に、ラノベの神ゼノスが再登場。背景に「売上ランキング1位」の幻影がキラキラ、胡散臭さマックス!
「ミャウコ、今日の能力発動あれは凄まじかった。だが、汝の力は物語を乱す。敵も味方も、ルールすら破壊する力…魔王すら超える脅威だ。が、それが必要かもしれぬ」
「ニャ?何それ、めんどくさいニャ!キャットタワーとツナ缶、ちゃんとくれるよね!?」
「報酬は必ず。だが、気をつけろ。この世界、誰かが“予定調和”を操り、利益を得ている。魔王は……単なる駒かもしれぬ。そして、CODE : ZEROが動き始めた……」
「CODE: ZERO?ニャ?魚に関係ある?」
ゼノス、意味深に消える。私は目覚めて、「なんか面倒くさいニャ……でも、魚のためならやるニャ!」と尻尾をフリフリ。
その夜、森の奥。黒いローブの集団が囁く。「ミャウコ……物語のバグ……多元宇宙の秩序を乱す……排除せねば」
謎の勢力、CODE: ZEROの影がちらつく……。
何故か、このふざけた勇者に希望をもつ者達がいた。
目標:1000億ゴールドと100階キャットタワー!
方法:雌豹ポーズで全部解決!
でも、この世界、めっちゃズレてるニャ……?
➡第4章へつづく




