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「美少女配信者・星羽ミハル」について

スマートフォンを横向きにして、俺は動画を再生した。


動画のタイトルは――

『謎の男に助けられた星羽ミハル【星羽ミハル】【切り抜き】』



----------------------------------

動画はドローンのカメラから撮影された視点となっている。


目をグルグルにして倒れたグリーンドラゴンの前で――

桃色髪の少女(?)がキャピッ☆と横ピースをした。


「きゃはははっ、大勝利―っ! みんな、見てた? 見てたよねーっ!? なんと、いきなり現れたイケメンお兄さんと協力したおかげで、めちゃ強のA級モンスターをぶっ倒しちゃいました! HPギリギリだけど、大・逆・転・勝利だよっ!」


「イ、イケメンって……」


「ほらほら、お兄さんもこっちに来て来て♪

 ミハルと一緒に、ポーズを取ってネ!」


カメラに映ってるのは、黒衣の忍者装束を着た俺である。

星羽ミハル――母さんは、カップルのように俺と密着すると、腕を組んでカメラに微笑んだ。(このとき、ムニュっと、腕に触れる柔らかい胸の感触があって……俺の顔が真っ赤になっている様子がカメラにしっかりと映ってしまっている!)



「ミハミハ~☆ 今日もミハルは大絶好調っ!

 星羽ミハルが、みんなの空を明るくするよ♪」



満面の笑顔でカメラにスマイルする星羽ミハルと――

ぎこちなく口元を上げた俺の変顔のところで、切り抜き動画は終了した。

----------------------------------



戦いを終えてからのこと。

星羽ミハルと名乗る女は、すぐさま逃げるように去っていった。


俺もグリーンドラゴンとの死闘を終えたばかりで、それどころでは無かったのだが……今度は、逃がさないぞ。


スマートフォンの画面を母さんに向ける。


「……これ、母さんだよな?」


「リョウちゃん」


母さんは「ふふっ」と穏やかに笑った。


ベランダの方に目を向ける。今日の空は快晴である。

青一色の空を眺めながら――母さんは震え出した。


「リョウちゃんが、何を言ってるのか。

 私には――ワ、ワカラナイワ……」


いやいやいや。苦し紛れにも程がある!


「どうみても母さんじゃないかっ……!

 俺が母親の顔を見間違えるわけないだろ……っ!」


「ど……」と母さんは観念したように声を絞り出す。


「ど、どうしてぇ!? どうしてリョウちゃんには、私の正体がわかっちゃったのよぉ!? 完璧に素顔を隠してるのにぃ!」


「完璧だって?」


「私のユニークスキルよ――!」


母さんは立ち上がると、片手で顔の半分を隠してポーズをキメた。



「【一念化粧ダブルフェイク】ッ!

 触れた物体表面の質感を変化させるスキル――これを使えば、お肌のハリもJKレベルにピチピチにッ! シワにもサヨナラ! 潤いタップリ! それにそれに、髪の色だってウィッグじゃなくて、このスキルでピンクにしてるのよ? 目の色や、瞳の中の☆もカラーコンタクトじゃなくてこのスキル、ハートマークのタトゥーだってこれのおかげってわけ……!」



「それは……すごい便利なスキルだな」


「そうかしら?

 私はメイク代わりにしか使ったことないけれど」


「ともかくだな。そんなもので俺が母さんに気づかないわけがあるかよ」


俺はため息をつく。


「母さんが美人なのは元からだし、肌だって綺麗だよ。まぁ……あの、アニメみたいな目や髪の色にはビックリしたけどさ」


「……そ、そう?」


なぜか嬉しそうな様子の母さんが気になるけど、話を進めよう。



「つまり、俺やアキに隠してた母さんの「仕事」っていうのは――ダンジョン配信者だった、ってことなんだよな」

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