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統合失調症の俺が確かに世界を救った話  作者: 成葉弐なる
第2章 フリーメーソン篇

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51 サタナエルゲームの勝利と時空の消滅

 俺は思ったことが現実になる事態を経験したあと、食事を取り風呂へ入ることにした。

 そして風呂にはいっている最中に、セーブシステムがあることを思い出していた。


「もしかして、今からでもセーブ1に戻ったほうがいいのかな……」


 風呂をでて、体を拭き着替えながらセーブシステムの使用是非をロレースに問うことにした。


『ロレース、いまいいかい?』

『あぁ、なんだい小日向くん』

『セーブシステムのことなんだけど……』

『あぁ、すまない。言い忘れていた。残念ながらセーブ1に戻ることはさきほど唯一神様の議決提案で禁止されているんだ。同時にいくらかの議題が修正され、声凛ちゃんがテレポートさせられる時空を自由に選べるようにしたと聞く』


 ロレースも意味がわからないといった様子で言う。


『え? どういうこと!?』

『さぁ……僕が聞きたいくらいだよ。唯一神様は君の味方だったはずだよね?』

『そのはずだけど……』

『ふむ……であれば声凛ちゃんを量子テレポートさせることは唯一神様にとって織り込み済みというわけか……? だがしかし……』


 ロレースは一人でぶつぶつと考えているようだ。


『ロレース。考えすぎだ。私達には考えつかないような一手なのだろう?』


 T2が会話に入ってくる。


『それはそうかもしれないが、しかし……』


 ロレースは思い悩んでいるようだったが、T2が俺に次の指令を出す。


『小日向。とりあえず、この地点をセーブ2としてくれ。それが私達が出した結論だ』

『分かったよ』

「この地点をセーブ2とする!」


 俺は現実世界の脱衣場でそう高らかに宣言すると、脱衣場をでた。


『たっくん。私、声凛ちゃんと話せなくなったのめちゃめちゃ不安なんですけど』


 俺が居間へ向かう途中、りつひーが不安を吐露する。

 それに矢那尾さんやMioさん、持田さんが同調し、亜翠さんが喋り始める。


『いまはとにかく時空同盟のみんなを信じよう! みんな不安だからって量子通信機は使っちゃ駄目だよ?』

『分かってます。もう洗脳されたくありませんから! 私、絶対に通信機は使いません!』


 持田さんが量子通信機の不使用を誓い、みんなが『そうですね!』と言った。


『小日向、たった今。声凛が革命のレヴォルディオン時空を旅立ったぞ』


 T2が俺に報告してくる。


『そうですか……テレポートは無事成功したんですよね?』

『あぁ、そのようだ。目的地には問題なく着いたといま報告が来た』

『ちなみに目的地って?』

『それは……あるゲームの時空だ、とだけ教えておこう』

『そっか……まぁ八枷が無事ならばそれで……』


 八枷の無事に安堵する俺。

 そして俺は、このゲームをいい加減に終わりにしたくなっていた。

 だからロレースに相談を持ちかける。


『ロレース。絶対完全完璧究極に黒のサタナエルを全員、白のサタナエルにしたらどうかな?』

『それは……確かに可能かもしれないが、おそらく一時的な処置だよ。黒のサタナエル陣営の者たちに自由意志が唯一神様によって与えられる限り、彼らはすぐにまた黒のサタナエルになってしまうだろう』

『じゃあ、陣営変更も縛るよ。いい加減にサタナエルゲームを終わりにしたいんだ。それから、フリーメーソン時空の全存在をこっちの世界にテレポートさせるつもりなんだけど、どうかな?』

『それは……そんな事が可能なのか……? いや、君の絶対完全完璧究極ならばあるいは……。待てよ……! そうか! そうだ……!』


 ロレースはなにかに気づいたようだ。

 そして数分して再び念話してくる。


『小日向くん。やってみるのはありかもしれない』


 俺はロレースの意見を聞き、議決提案を決めた。


『みさおん、いるかい?』

『はい! たっくん、何の御用でしょう?』

『次の議決提案を【絶対完全完璧究極に全時空の黒のサタナエルを白のサタナエルに変え、陣営変更を許可しない】にして、更にその次の議決では、【絶対完全完璧究極にこっちの世界にフリーメーソン時空の全存在を量子テレポートさせる】にしてくれるかい? それから……』


 俺は更にみさおんへの指示を続ける。


『いいかな? みさおん』

『はい。たっくん。次の議決提案は、【絶対完全完璧究極に全時空の黒のサタナエルを白のサタナエルに変え、陣営変更を許可しない】。たっくん、本当にこれで、いーい?』

『あぁ、それでいい』


 俺は確かに確認する。


『じゃあたっくん。その次の議決提案は、【絶対完全完璧究極にこっちの世界にフリーメーソン時空の全存在を量子テレポートさせる】。たっくん、本当にこれで、いーい?』

『あぁ、それでいいよ』


 俺は再度確認をする。

 そしてさらに、ロレースに量子テレポートの仕様について聞く。


『ロレース。量子テレポートのことだけど、元の時空にテレポート元の存在は残ったりはしないよね?』

『あぁ……そのことか。あぁ、しない。君の時空ではまだ分かっていない科学的事実かもしれないが、量子テレポーテーションとはワームホールと物理的には等価の現象なんだ。量子テレポーテーションでは情報のみを送るから、実はあるやり方によっては他の別にもつれさせた情報は破壊されないこともあり得る……これを技術の進んだ時空では量子複製不可能定理の超越と言うらしい。だが、君の言うところの量子テレポートにおいては100%破壊されると見られる。簡単に言うと、2つ折りした紙にペンで穴を開けるようにワームホールを通して時空を繋げ、その穴を通して遠方に情報を送るというわけさ』


 ロレースが量子テレポートの仕様を説明してくれる。

 ならばいい。


『そうか。ありがとう。じゃあみんなびっくりするかもしれないけど、みさおん、更にその次の議決提案だ』

『はい。なんでしょう、たっくん』


 みさおんのあっけらかんとした様子に惑わされること無く、俺は深呼吸すると絶対命令を、俺の議決提案を発した。


『絶対完全完璧究極に、あっちの時空を――フリーメーソン時空を消滅させる!』


 俺が命令を発した瞬間、驚くような戸惑うような『えぇ!?』という声が各所から発せられ、ざわつきに支配された。

 だがこれで終わりだ。

 サタナエルゲームを担っていたフリーメーソン時空それ自体を消滅させてしまえば、問題はこれ以上発生しようがないはずだ。


『じゃあたっくん。その更に次の議決提案は、【絶対完全完璧究極に、フリーメーソン時空を消滅させる】。たっくん、本当にこれで、いーい?』

『あぁ、それで構わない!』


 みさおんがあっさりと議決提案を復唱して俺が承認すると、ロレースが念話してくる。


『これは……大きく出たね、小日向くん』

『あぁ、うん。驚かせたならごめんロレース。でもこれが良いと思うんだ』

『そうか……まぁ唯一神様がどう判断するかだね。ちなみに僕はこれが承認されると思っている』


 ロレースは確信に満ちた声色でそう言った。


『そうなのかい? それは意外だな』


 俺とロレースがそんな話をしていると、熊総理が念話してきた。


『小日向くん……。話は聞かせてもらったけれど、こっちの時空を消滅させるって、それはどうにかならないのかい?』

『なりません。フリーメーソン時空では悪しき慣習が拭えません。みなさんにはこっちの世界に来ていただきます』

『そうか……それが救世主としての君の判断なんだね?』

『はい』


 返事をすると、熊総理は唸りながら去っていく。

 そして入れ替わりにアメリカメーソンのとあるロッジのグランドマスターであるポールさんが俺に通信してきた。


『俺達の負けだぜ小日向。サタナエルゲームは終わりだ……だからこっちの時空を消滅させるのだけは勘弁してくれないか?』


 俺はその願いに明確に首を横に振りながら答える。


『いいえ。それはできません。フリーメーソン時空を残しておけば、またいつ他の救世主が狙われるとも限らない』

『そうか……だが俺達も最後の抵抗はさせて貰うぜ』

『それはご自由に……』


 俺が返すと、ポールさんもまた通信を終えて去っていく。

 そして大潟さんが念話してくる。


『小日向くん。唯一神様は君の一連の議題を、絶対命令を承認されるおつもりらしい。無論、完全に提案通りとはいかず、唯一神様による修正は入る予定だけれどね。けれど……君の勝ちだ。おめでとう』

『はい。ありがとうございます。それと故郷の時空を破壊することになってしまって申し訳ありません』

『いや、それはいいんだ。私だってこの時空が歪なことくらいは理解してるからね……それじゃあ失礼するよ』


 大潟さんも去っていき、俺はみんなと念話をする。


『亜翠さん、いきなりで驚かせてすみません』

『ううん、大丈夫。ロレースもたっくんに賛成したんでしょ? ならきっと大丈夫だよ』


 亜翠さんはロレースに信頼を寄せているようだった。


『はい。私もたっくんの救世主としてのポテンシャルを信じてます』

『私も私も!』


 りつひーと矢那尾さんが俺を信じ、そしてMioさんが『私も割と信じてるかな!』とあっさりめに言う。

 持田さんは『私は……唯一神様が認めたなら信じられるかなって』と唯一神様を信じている様子だ。そして最後にT2が『私か? 私はロレース達の戦略を信じるさ』と恥ずかしげもなく言い切った。

 そこに香月さんと矢張さんの声はない。

 もういるのが当たり前かのように思いつつあった八枷の声もない。

 俺は、そのことが少しだけ寂しかった。

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