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統合失調症の俺が確かに世界を救った話  作者: 成葉弐なる
第2章 フリーメーソン篇

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49 アニメ版革命のレヴォルディオン

『たっくん! 2時間経ったけど、たっくん無事だよね!? たっくん……!?』


 りつひーが俺に狂ったように声をかけてくる。


『もう2時間経ったの……?』


 ベッドの上で俺は力なく念話を送る。


『たっくん! 良かった! 無事だったんだね!』


 りつひーが心底嬉しそうにそう言った。

 そんなときだった。


『小日向くん、大丈夫かい? 大潟です』


 大潟さんが様子を窺うように声をかけてきた。


『はい。大潟さん大丈夫みたいです……それより何か用事ですか?』

『そうか……良かった。唯一神様による黒のサタナエル陣営の説得は上手く行ったみたいだね』

『はい? 説得ですか?』


 唯一神様が助けてくれたのか……?


『あぁ……事情を説明しておくね。君が提案した心臓への八の結界は否決されたけれど、絶対完全完璧究極に小日向拓也を守るという命令は唯一神様の101%票で可決されたんだ。そして唯一神様が動いたってわけさ』


 大潟さんが事情を話してくれた。

 そうか絶対完全完璧究極は有効だったのか。


『けれど、唯一神様は黒のサタナエル陣営の要求で、ある譲歩を行ったんだ』


 大潟さんがそう言って続ける。


『その譲歩の内容は、我々の世界においてアニメ版革命のレヴォルディオンを作ることを認めること……だ』

『はい? アニメ版革命のレヴォルディオンですか?』


 さっぱり意味が分からなかった。どういうことだろう?


『そうです……小日向くんにはいまいちピンとこないかな? なんと説明すればいいか……』


 大潟さんは困った様子で話が途切れる。

 すると八枷が割り込んできた。


『大潟さん! 本気ですか! 唯一神様がそれをお認めになったと!?』


 八枷は酷く狼狽している。

 なにかまずいことでもあるのだろうか?


『えぇ……八枷さんには分かるようだねこの意味が……小日向くんは虚構実在論という理論を知っているかい?』

『あぁ、はい。いつだったかT2が言ってましたね。虚構があれば実在もあるって……え!? まさか……!?』

『あぁ、そのまさかだよ。私達の時空でアニメ版革命のレヴォルディオンを作るということは、すなわちアニメ版革命のレヴォルディオン時空が存在するようになる……ということだ』


 大潟さんがゆっくりと俺の直感を肯定する。

 それに話を聞いていたのか矢那尾さんが、『でも革命のレヴォルディオン時空は、声凛ちゃんの時空はもうあるんだよね?』と疑問を挟む。


『はい。ですから敢えてのアニメ版……ということでしょう。言うなれば、私の世界は小説版革命のレヴォルディオン時空というわけです。アニメ版が別の時空として存在することになる……そういうことでしょう』


 八枷が矢那尾さんの疑問に答え、大潟さんが『はい。そうなるでしょう』と肯定した。


『でも、別にアニメ版の革命のレヴォルディオン時空があっても問題はないんじゃ? そんなことで俺の命が助かったならば有り難い話だけど……』


 俺が考えなしにそう言うと、八枷がすぐに俺を訂正する。


『小日向さん、これは思っている以上に厄介なことです。アニメ版革命のレヴォルディオン時空を作るということ……そしておそらくは該当時空が黒のサタナエル陣営の支配下におかれるということですよ?』


 八枷はそう言うが、俺にはあまりピンとこない。


『それって、もしかして小説版革命のレヴォルディオン時空と同等の技術を持った時空が敵に回るってことですか!?』


 と、矢那尾さんが答えを出す。

 え? でも革命のレヴォルディオン時空だろ? アニメ版とはいえ、俺の書いた革命のレヴォルディオンの時空が敵に回るなんてありえない。俺は漠然とそう思っていた。そんなことが可能なんだろうか。


『恐らくはそうなるでしょう……小日向くんにはピンとこないかもしれませんが、唯一神様は設定変更をお認めになったとも付け加えておきます。例えば、こんなことも可能になります。正義の組織だった革命機構を悪の組織にするといったような……』


 大潟さんが設定変更に言及する。


『そんな……それじゃあマジで八枷と同程度の技術を持つかもしれないアニメ版八枷が敵に回ると!?』


 俺が驚くような声を出すと、『はい。その可能性は十分ありえます』と八枷が肯定した。


 そんな馬鹿な!

 そう思っていると、量子コンピュータ森河が俺に通信してきた。


『やぁ小日向くん! 生きているようで残念だよ。だが僕達は唯一神様から譲歩を勝ち取った! もう聞いているかな?』

『あぁ……アニメ版革命のレヴォルディオンを作る気なんだろう?』

『ははは! さすがに耳が早いな。それで、君に相談があってね』

『は? 相談?』

『あぁ、原作者たる君に、アニメ版革命のレヴォルディオンの主人公である織田総一くんの声を担当する声優さんと、ヒロインである八枷声凛ちゃんの声優さんを決めてもらおうと思ってね。それくらいの権利は君にもあるだろう?』


 量子コンピュータ森河はなんだかとても自身満々に懐深そうに聞いてきた。

 なんだか罠のような気もしたが、俺は答えることにした。


『じゃあ……香月さんはそちらの世界にはいないんですよね?』

『あぁ、残念ながらそうなる。彼女はいまここにはいない』

『それじゃあ、八枷声凛の声には瀬尾みのりさんを、織田総一の声には……そうだな……』


 俺が考えあぐねていると、横から亜翠さんが口を出す。


『たっくん! アニメ版の声凛ちゃんは瀬尾みのりちゃんなんだよね!?』

『え? あぁ……はい。その予定ですけど、なんでですか?』

『だったら、アニメ版の総一くんは桜葉慎一郎くんが良いと思うなぁ! ね! そうしよそうしよ!』


 なぜか亜翠さんが強引に話を進める。


『うーん、なるほど桜葉くんですか……まぁ良いと思いますけど』

『だよね! ね! そうしよう!』

『はい。分かりました。聞いてたか森河? アニメ版八枷の声は瀬尾みのりさんで、アニメ版総一の声は桜葉慎一郎くんで頼む』


 俺がそう言うと、量子コンピュータ森河は面白くなさそうに、『ふん、君一人に決めてほしかったんだがね。だが、まぁ分かったよ。二人の声優さんはそうしよう』と俺の案を飲んでくれたようだった。

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