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もふもふうさぎのキラ豹変

「は? なんだよ、この店、獣人がたむろってんじゃん」


「そうね、やーねー、獣臭くって」


大きな四角い窓からクレオンたちを見ながら軽蔑の眼差しで嘲笑しているダークエルフのカップルに、俺はイスから立ち上がると叫んだ。


「おい、お前ら、何言ってんだ!! みんなにあやまれよ!!!!」


ダークエルフの男は俺をまじまじと見ている。


「なんだお前!! 人族のくせに獣人なんかとつるみやがって!!」


俺は大きな四角い窓のそばまで行くとダークエルフの男に詰め寄った。


「は? 何、時代錯誤じだいさくごなこと言ってんだよ!! 人族とか獣人とか関係ないだろ!! 早くみんなに謝れよ!!」


その時、もふもふ熊の獣人クレオンがイスから立ち上がり俺のそばまで来た。


「ルキ様、もうよいのです、こんな連中ほっときましょう⋯⋯世の中にはまだまだ我々獣人のことを、よく思わない者も多いのです」


「で、でもさ、悔しいじゃん!! 悲しいじゃん!!」


「ルキ様⋯⋯我々獣人のために怒っていただきありがとうございます⋯⋯」


するとダークエルフの男がイライラした口調で言った。


「何ごちゃごちゃ言ってんだよ、やってやんぞコラ!!」


そしてダークエルフの男が俺の頭を叩こうとした。


だがその瞬間クレオンがダークエルフの男の腕をつかみ叫んだ。


「くぅおぅらぁー!!!!!!!! ルキ様に何をしようとしとるのだー!!!!!!!!」


「い、痛いだろ、離せよ、熊!!」


「おい! ダークエルフの男、よく聞け、 このお方はなー!!!!」


「やめろ、クレオン、それは言わなくていい⋯⋯腕を離してやれ」


「えっ? はぁ⋯⋯ですが⋯⋯」


すると後方から、もふもふ犬の獣人ライラプスの声がした。


「そうですぞ、クレオン、騎士はいついかなる時も冷静に⋯⋯」


その時、もふもふ猫の獣人タバサがライラプスの声をかき消すような大きな声を出した。


「あのー!!!! リノ様ー!!!! もう、こいつら殺してさしあげたらいかがでしょう!!!!」


慌てて、ライラプスがタバサに言った。


「これ、タバサ、今、冷静にと私が言ったばかりなのに⋯⋯しかもリノ様がそんな誘いにのるわけが⋯⋯」


リノはライラプスの言葉を手でさえぎりタバサの方を向いた。


「そうね、タバサ⋯⋯でもちゃんと、ごちそうさましないと⋯⋯そのあとで殺してさしあげなさい」


それを聞いた俺は思った。

(いや、ごちそうさましたあとでも殺しちゃダメだろ⋯⋯)


「でも、リノ様、よく考えたら、あんなやつら、弟子のキラだけで十分ですわ」


すると、タバサの弟子で、もふもふうさぎの獣人キラがタバサの方を向いた。


「えー、タバサちゃん⋯⋯私一人じゃ無理だよー、怖いしー⋯⋯」


その途端ダークエルフの男の怒りに満ちた声が聞こえた。


「は? そんな弱そうなうさぎが俺たちの相手? 俺たちも見くびられたもんだな! そう思うだろ? フフネヘリポルフククラクウクラ!!」


「そうね、そのうさぎなら、私でも勝てると思うわ」


どうやらダークエルフの女の名前は、フフネヘリポルフククラクウクラらしい⋯⋯。

俺はダークエルフの女の名前が呪文のようだなと思いつつ言った。


「おい! おまえら、キラにまでそんなこと言いやがって! やっぱこいつらは許せな⋯⋯えっ?」


俺がもう一度ダークエルフの男に詰め寄ろうと一歩前へ出た時、もうすでにダークエルフの男の目の前にはキラがいて、キラが男の胸ぐらをつかんでいたのだった。


俺は驚いてキラの顔を見たが、あきらかに表情が豹変しているように見えた。

キラは、ダークエルフの男に言った。


「今なんつったよ、てめえ!! うちが弱い? 勝てそう? てめえこそ、うちを見くびるんじゃないでぇ!!!!!!!!」


俺は表情どころか態度も変わってしまったキラに驚いた。


「お、おい、どしたキラ?」


するとめっちゃ怖い顔でゆっくりこちらを向いたキラは言った。


「は? うるせーぞルキ、少し黙ってろ!!!!」


「お、おう⋯⋯」

(えっ? キラこえー、なんかこえー⋯⋯)


俺は師匠であるタバサに聞いた。


「タバサ! キラ、どうしちゃったんだよ!」


するとタバサがため息をつきながら俺を見た。


「ルキ様、キラはキレるとあんな風に表情、態度、性格が豹変するのですわ」


「えっ、そうなの? リノは知ってた?」


「い、いえ、知らなかったわ⋯⋯」


突然キラが叫んだ。


箸二本チョップスティックス!!!!!!!!」


するとキラの背中に巨大な二本の箸が現れたかと思うと、その巨大な箸は大きな四角い窓の外へと飛び出していった。

だが次の瞬間、何かに突き刺さる音と共にダークエルフのカップルが悲鳴をあげた。


グサッ!!!!


「ギャー!!!! 何かが尻に突き刺さったー!!!!」


「キャー!!!! いやー!!!!」


キラは苦しむ2人の顔を見ると満足そうに言った。


「このまま、滅多刺しにしちゃおっかなー、あはははは」


俺は混乱しキラに質問した。


「おい、キラその巨大な箸は何だよ⋯⋯ていうか急に凶暴になっちゃってさ⋯⋯」


すると振り返ったキラの表情や目つきは一変していた。


「えー、ルキちゃん、これは私の武器だよー⋯⋯ていうかルキちゃん、凶暴な私に興奮したの? ねぇ、ルキちゃん、もふもふなお姉さんと、もふもふなことする?」


「し、しねーよ!!!!!!!!」


それを見たリノが冷ややかな目で俺を見たあとタバサに言った。


「タバサ、またキラの性格変わったみたいだけど何なの? 」


「はい、リノ様、キラはおそらく少し怒りが収まってきたために怒りの人格に代わりセクシーバニーの人格が出てきたのだと思われますわ」


「そ、そうなのね⋯⋯」


その時突然、どこからか白い鳥 と黒い鳥が飛んできて、大きな四角い窓の下側の部分に止まった。

よく見ると俺が店に入る前、木の廊下の太い木の手すりの上に止まっていた鳥だと分かった。


すると突然その白い鳥の方が喋り始めたのであった⋯⋯。



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