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魔法の小瓶の秘密

ガ、ガガ⋯⋯ガガガガガガ⋯⋯


鈍く低い音と共に神殿の入り口の石の扉が開くと外はすでに真っ暗闇であった。

俺は石の扉から一歩外へ出た。

辺りを見回すと真っ暗闇だと思っていた空間にはたくさんの明かりが揺れている。


「あれはドワーフ兵が持つランタンの明かりですぜ」


相変わらず勘のいいドワーフの鍛冶屋ボルトスは愛想笑いを浮かべながらそう言うと先頭を切って厩舎に向かった。


厩舎に入るとドワーフのボルトスがランタンを手に近寄ってきた。


「ルキさん、すまねぇが、今ドワーフ兵たちがランタンを使ってんで残りが二つしかねぇんだが」

「ああ、二つあれば大丈夫だ」


リノがランタンを見て口を開いた。


「じゃあ、そのランタンを私の使い魔たちに持ってもらうわね」


リノは魔法の杖を取り出すと素早く小さな魔法円を二つ描き、呪文を唱えながら魔法の杖を振った。

するとすぐに二つの魔法円からそれぞれ落雷と竜巻が起こり、小さな人影が浮かび上がってきた。


落雷が起こった魔法円からは20cm程の金属製の人形に宿った精霊ケラウノスが浮かび上がってきて、その体からは絶えず青白い光がパチパチと放電していた。


竜巻が起こった魔法円からは20cm程の透けるような七色のリボンが絡みあうリボンの羽付きドレスを着た半透明

の体を持つ風の精霊アイオロスが浮かび上がってきて、その半透明の体の中には無数の光の粒が舞っていた。


二体の精霊たちは、リノに礼を尽くしたあとリノの顔を見た。


「お呼びですか? リノ様」


雷の精霊ケラウノスがそう言うとすぐに風の精霊アイオロスも声を発した。


「リノ様、お呼びでしょうか?」


「二人ともランタンを持って私たちの馬の前を飛んで先導してくれるかしら」

「かしこまりました」


すぐに風の精霊アイオロスは返事をし泳ぐようにその場から空中へ浮かんだ。

それを見た雷の精霊ケラウノスがリノを見上げた。


「リノ様、私は飛べませんが」

「あっ、ごめんなさい」


リノは慌てて魔法の杖を振った。


すると雷の精霊ケラウノスの背中から金属製のプロペラが生えてきて回転を始めた。

雷の精霊ケラウノスは、ふわりと浮かんだ。


「これでいい?」

「はい、ありがとうございます」


ドワーフのボルトスが目を丸くした。


「すげーな! やっぱり魔法使いにはかなわねぇ⋯⋯」


俺たちは馬に乗ると、ランタンを持ったリノの使い魔二体を先頭にしてドワーフ村をあとにしたのだった。






小道を進み路傍に【ドワーフ村は左】と鉄の板に書かれた立て看板のある分かれ道まで来た俺たちは馬を下りた。


「さてと⋯⋯」


リノが魔法の小瓶を取りだした。

俺はリノの持つ魔法の小瓶をまじまじと見ながらドワーフのボルトスに聞いた。


「やっぱ、すごいな、これ! 一体どういう仕組みなんだよ、ほんと、こんなすごい魔道具を作るドワーフ族は優秀だよ」

「ああ、ルキさん⋯⋯実はここだけの話だが、ドワーフ族全てが優秀なわけではないんだよ⋯⋯あらゆる機械仕掛けの魔道具の基礎を開発した魔道具技師はたった一人の天才、キオナティなんだよ⋯⋯他のドワーフたちはただそれを応用してるにすぎないんだ」

「へぇー、すごいな、そのキオナティって言う人、今ドワーフ村に?」

「いや、キオナティは、もう随分前に火の国へ行ったまま行方不明になってんだ」

「そうなんだ⋯⋯」

「まっ、とにかく早く魔法の小瓶から巨大な猫の毛玉出さねぇと」

「あっ、そうだな、リノ頼む」


リノは俺の言葉に頷くと、魔法の小瓶の中央にぶら下がっているリノの指紋が刻まれた硬貨の上に指を押し付けた。

すると前と同じように、どこからか男の野太い声が聞こえてきた。


「認証完了、発動すっぞ!」


ガガ⋯⋯ガガガガ⋯⋯


機械的な音と共にドラゴンと騎士の複雑なカラクリが発動し始めた。


ポンッ⋯⋯


魔法の小瓶の蓋が開いた。

それと同時に魔法の小瓶の中に転がっていた毛玉が光り始め魔法の小瓶全体も振動し始めた。

魔法の小瓶を持つリノの手も揺れている。

次の瞬間、ものすごい勢いで光る毛玉からどんどん細い光の筋が出てきてそれは小瓶の外へとどんどん出ていった。


出ていった光の筋は、どんどんと大きくなって丸く大きな光の球体となり、全ての光が出尽くすと魔法の小瓶の蓋は閉じられたのだった。


丸く大きな光の球体はゆっくりと地面に下りると光は徐々に弱くなっていった。

そして全ての光が消えた時、ついに目の前に巨大な猫の毛玉馬車が現れたのだった。


リノは魔法の小瓶を収めると魔法の杖を巨大な猫の毛玉馬車に向けて振った。

すると巨大な猫の毛玉馬車の表面に無数に生えている毛が、どんどんと短くなっていき、あっという間に巨大な猫の毛玉馬車は、四頭立て大型四輪箱型もふもふ馬車になったのだった。


「本当に馬車だったんだな」


ドワーフのボルトスが、もふもふ馬車を見ながらブツブツ言ってるのをよそ目に俺たちは、もふもふ馬車に馬を繋いだ。


俺はミニチュアホースに跨っているドワーフのボルトスに近寄った。


「じゃあ出発するよ、いろいろありがとうボルトス、また会えたらいいな」

「おー、ルキさん、こちらこそありがとう、じゃあまた会おうぜ」


その後次々とドワーフのボルトスの周りに集まった俺の仲間たちは一人一人、ドワーフのボルトスに挨拶をして、もふもふ馬車に乗り込んだ。

そして俺たちは、もふもふ馬車の窓の外で、一人佇むドワーフのボルトスに向かって手を振りながらドワーフ領をあとにしたのであった⋯⋯。



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