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ゴブリン・ビーウイング

(これは神殿そのものだ⋯⋯)


ドワーフたちが住む居住区の入り口は崖の岩壁を浮き彫りによって造られたまさしく神殿と呼んでも遜色のないものであった。

その神殿は目の前で見ると圧倒的に大きく古代文字や幾何学模様が細部まで掘られているその様は芸術的でさえもあった。


俺たちはチラチラと岩壁の神殿を見ながらドワーフの鍛冶屋ボルトスのあとについて、その岩壁の神殿のそばにあるちょうど馬に乗ったまま入れるくらいの穴に入るとそこは厩舎だった。


俺たちが馬から下り、馬を繋いでいると厩舎の奥にある柵のさらに向こうのカーブの先から何やら音が近づいてくるのが聞こえた。


(何の音だろう⋯⋯)


そう思った次の瞬間、カーブの先からたくさんの家畜が一斉に走ってくるのが見えた。

たくさんの家畜はあっという間に柵の前までやって来てこちらの様子を伺っている。


「あれは⋯⋯」


俺は目の前にいるドワーフのボルトスの背中越しにそこまで言って慌てて口を閉じた。

ドワーフのボルトスは振り向くと俺に一瞥いちべつをくれたあと静かに口を開いた。


「この先は家畜の寝床だ。さらにその先から家畜が外に出られるようになってるんだ」


皆が納得する中、もふもふうさぎキラが急にドワーフのボルトスの頭を撫でた。


「ボルちゃん、ルキちゃんに優しいね~、エラいよ~」

「よせっ! そんなんじゃねぇ!」


ドワーフのボルトスはもふもふうさぎキラの手を振り払うと続けて言った。


「さぁ、とっとと行くぞ!」






俺たちは再び神殿の前に戻り、今度はさらに神殿に近づいた。

入り口らしき石の扉がある。


(ん?⋯⋯)


俺は一番最初に石の扉に近寄った。

なぜならその石の扉の真横に直径2、30cm程の丸い穴が縦に均等に並んでいて光の反射で光っていたからだ。

俺はちょうど顔の高さにあるその丸い穴の一つを覗いた。

すぐ奥に自分の顔が映っている。ただの鏡のようだ。

その時背後からドワーフのボルトスの声がした。


「あんた、ちょっと、どいてくれ」


俺は振り向きその場から一歩脇へどくとドワーフのボルトスは自分のちょうど顔の高さにある丸い穴の一つを覗き込んだ。


その次の瞬間⋯⋯


ガ、ガガ⋯⋯ガガガガガガガガ⋯⋯


石の扉は鈍い音を立てゆっくりとスライドし開いたのだった。


「さぁ、入るぞ」


ドワーフのボルトスがそう言って石の扉から入ろうとしたその時、突然背後からものすごい鳴き声が聞こえてきた。


コケーーッ!!!!!!!!


俺たちが一斉に振り返ると、メガニワトリのぴーちゃんが空中に浮かんでいる。


「あれっ? ぴーちゃんって飛べるんだ」


俺がそう言うとすぐにドワーフのボルトスが叫んだ。


「ぴーちゃんは飛べねーよ! よく見てみろ! ゴブリン・ビーウイングだ!」


「ゴブリン・ビーウイング?」


そう言われよく見るとメガニワトリのぴーちゃんの体の下からは無数の小さな足が出ていた。

俺が驚く間もなくゴブリン・ビーウイングの顔が飛び出した。

ゴブリン・ビーウイングたちの顔はぴーちゃんを下から持ち上げていた為、羽毛に埋もれて見えなかったのだ。

ゴブリン・ビーウイングの背中には、その名の通り蜂のように羽ばたく羽が生えていた。


「助けに行くぞ!!」


ドワーフのボルトスが背中に背負っていた大きなシャベルを手に走り出した。


「ああ」


俺がそう言って走り出そうとした時、俺の袖が引っ張られた。


「ルキちゃん! 」


振り返るともふもふうさぎキラだった。


「どうした!」

「私のニンジンが!!」


もふもふうさぎキラの視線の先を見るとたくさんのゴブリン・ビーウイングが畑からニンジンを引き抜いている所だった。


「いや、キラのニンジンではないけどな」

箸二本チョップスティックス!!」


俺をガン無視しもふもふうさぎキラは背中に巨大な二本の箸を浮かべ走り出した。


「ルキ様!」


振り返るともふもふ猫タバサだった。


「どうした!」

「私の夜ご飯が!!」


もふもふ猫タバサの視線の先を見るといつの間にかたくさんのゴブリン・ビーウイングたちが持ち上げていたメガニワトリのぴーちゃんは逆さまになり飛んでいた。

ゴブリン・ビーウイングたちはぴーちゃんを持ち上げるのをやめ、ぴーちゃんを逆さまにして両足を持って飛んでいるのだった。


「いや、タバサの夜ご飯ではないけどな」


その時、もふもふ熊クレオンの急かすような声がした。


「ルキ様!」

「分かってるって!」


俺はリノの方を向き続けて言った。


「リノはタバサを連れて畑の方を頼む」

「ええ、分かったわ」

「じゃあ、クレオン、ライラプス行くぞ!」


俺はそう言うと走り出した。






俺ともふもふ熊クレオンともふもふ犬ライラプスはドワーフのボルトスを追い抜くと武器と防具を一瞬で装備した。


あと少しでメガニワトリのぴーちゃんに追いつくと思ったその時突然ぴーちゃんが急上昇を始めた。


(あのまま山を超える気か!)


俺は瞬時にもふもふ犬ライラプスにアイコンタクトをしたあともふもふ熊クレオンに向かって叫んだ。


「クレオン、ぴーちゃんを受け止めるんだ!!」


それから数歩目ののち俺ともふもふ犬ライラプスは高く高くジャンプしたのだった。


「水平斬撃!!」


俺は空中でぴーちゃんの右足を持っているゴブリン・ビーウイングたちの首を一撃で切り落とし着地した。

もふもふ犬ライラプスも空中でぴーちゃんの左足を持っているゴブリン・ビーウイングたちを、契約の魔槍アキレウスを使い一撃で倒したらしい。


メガニワトリのぴーちゃんは地面に向かって落ちていく。

だが真下にはもふもふ熊クレオンが待ち構えていた。


「よいしょー!!!!!!!!」


もふもふ熊クレオンが両手を上にあげ逆さまのメガニワトリのぴーちゃんを受け止めた。


ズシーーーーン!!!!


逆さまのぴーちゃんを両手と肩で支えているもふもふ熊クレオンの足が地面にめり込んでいる。

すぐさま俺ともふもふ犬ライラプスがもふもふ熊クレオンを手伝いメガニワトリのぴーちゃんは無事に地面に降り立つことが出来た。


コケーーッ!!!!!!!!


「ぴーちゃん!!」


ドワーフのボルトスがぴーちゃんに駆け寄り抱きついた。


(良かった⋯⋯)


俺がホッと胸を撫で下ろしたその時突然大きな洞窟から低い唸り声が聞こえてきた。


グォーー!!!!


そしてその低い唸り声と共に徐々に重たい足音が近づいてくるのが俺たちの耳を捉えたのであった⋯⋯。

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