禁じ手?
その後、上級騎士でもふもふ熊の獣人クレオンと神官騎士でもふもふ犬の獣人ライラプスとドワーフ村の鍛冶屋でドワーフのボルトスは自分の馬に乗り、魔法騎士でもふもふ猫の獣人タバサの馬にはタバサと魔法騎士見習でもふもふうさぎの獣人キラが乗り、キラの馬にはレイモーン王国のプリンスにして上級戦士の俺とダソス王国のプリンセスにして上級魔法使いのリノが乗り、頑丈極まりない、たらこ馬にはゴーレムのレムレムが乗り、俺たちはドワーフのボルトスの案内でドワーフ村に向かうことにしたのであった⋯⋯
馬が揺れるたび、俺の手綱を取る両腕の中にいるリノの柔らかな身体は俺の身体の中にある全ての細胞を興奮の坩堝へと誘い、リノの柔らかに流れる長い髪と甘い香りは俺の魂を揺さぶった。
「ねぇ、ルキ」
ふいにそう言って振り向いたリノに、心の隅にある邪な気持ちを悟られたかのような気がして俺は少しドギマギしながらも務めて平静を装った。
「えっ、な、何?」
だが聡明で勘のいいリノには通用しないらしい。
「ん?⋯⋯ルキ、今エッチなこと考えてたでしょ」
「な、な、何言ってんだよ、そんなこと考えてないって!⋯⋯そ、それよりほら、あれ見て! ロングパスタが絡み合ったような回転草が、レムレムが乗っている、たらこ馬を追いかけるように転がってるけど、あれ何かな?」
「話を逸らさないで。でもその慌てようなら、どうやら図星のようね」
「いいだろ、少しぐらいエッチなこと考えたって⋯⋯俺たち付き合ってんだし」
「急に開き直ったわね、まぁ、いいけど」
完全にマウントを取ったような顔をしているリノにカチンときた俺は少し揺さぶりをかけてみた。
「リノだって、一回くらいエッチなこと考えたことあるんだろ?」
「は? ちょっと! 一国のプリンセスに向かって何てこと聞いてんのよ!」
俺は手綱から右手を離し、完全に動揺しながらそう言って前を向いたリノを右手でギューっと後ろから抱きしめながら耳元で意地悪く囁いた。
「それで俺の可愛いプリンセスさん、早く俺の質問に答えてよ」
「う~っ」
ふくれっ面をして俯いていたリノだが急に思いついたように顔を上げ振り向いた。
「あっ! ルキ、ルキの質問って、なんでロングパスタが絡み合ったような回転草が、レムレムが乗った、たらこ馬を追いかけるように転がっているかっていうことだったわね」
リノは再び完全にマウントを取ったような顔をしている。
「えっ、いや、違う⋯⋯」
俺が次の一手が思いつかず口ごもっていると、リノは勝ち誇ったような表情で口を開いた。
「そんなことも分からな⋯⋯」
俺は咄嗟に言葉を塞ぐようにリノの口を自分の口で塞いだ。
一瞬リノの体の力が抜けたように感じた。
(禁じ手だったかな⋯⋯)
俺がそう思いながらリノとキスしていると馬に乗ったもふもふ犬ライラプスが近寄ってきた。
「ルキ様、また公衆の面前でそのようなことを⋯⋯もっと王子らしく振る舞われませんと」
俺はその言葉に、リノの口を自分の口で塞ぐのをやめ、もふもふ犬ライラプスを見た。
その時、前方のゴーレムのレムレムのさらに前方、集団の一番前にいるドワーフのボルトスの大声が聞こえた。
「着いたぞ! ここがドワーフ村だ!」
その声に俺はドワーフのボルトスの前方に続く道の先を見たがそこには村どころか依然として切り立った山があるだけであった⋯⋯。




