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なろうラジオ大賞4

大好きな先輩をどうしてもチェックメイトしたい

掲載日:2022/12/18

 私には好きな人がいる。


 真面目で、芯が強くて、華奢きゃしゃな見た目とは裏腹に意外とたくましくて。

 初めて彼に出会った時、倒れてきた看板から守ってくれた。


 彼には下心なんてなくて。

 怪我がないことを確認すると、さっさと行ってしまった。


 その去り際があまりにクールで。

 私は一瞬で恋に落ちた。


 先輩は部員が一人もいない同好会で部長を務めていた。

 それを知った私は速攻で入部届を提出。


「あっ、君か。よろしく」


 あっさりと入部届を受け取る先輩。

 もうちょっと何か反応してよ。


 部活は退屈だった。

 調べものをしてレポートを書くだけ。

 それを延々と続ける。


 でも、先輩と一緒の部屋にいるだけで最高だった。

 ずっとこんな時間が続けばいいのにって、思うくらいには。


 先輩とは帰り道も一緒だけど、「じゃぁ」とか「また」とか言って別れるだけ。

 どうせまた明日会うよね、みたいな感じ。


 先輩にとって私は恋愛対象ではないのかもしれない。

 だとしても……ちょっとでもいいから意識させたい。


 だから先輩にチェックメイトすることにした。


「先輩、私ですねぇ……チェックメイトって言いたいんですよ」


 二人で歩く帰り道。

 勇気を出して言ってみた。

 先輩は「は? 言えばいいだろ」と冷めた反応。


「演劇部にでも行けばいいんじゃないか?」

「架空のお話ではなく、リアルで言いたいんです」


 会話をしながら胸が高鳴るのを感じる。

 心臓が破裂しそう。


 そうこうしているうちに、分かれ道に差し掛かった。

 右に曲がれば私の家の方向。

 左に曲がれば先輩の家の方向。


 ここでお別れ。

 やるなら今しかない。


「じゃぁ、今日はこれで――


 お別れの言葉を言おうとした先輩の顔に人差し指を突き立てる。

 そっと指先が鼻の頭に触れた頃合いに、思い切って言った。


「チェックメイト」


 困惑する先輩をしり目に、私は自分の家の方角へ向かって歩き出す。


 決して振り返らない。

 先輩の方を見たりはしない。


 もし振り向いたら……この顔を見られてしまうから。


 顔が熱くなるのを感じる。

 きっと耳まで真っ赤に染まっていることだろう。

 鏡を見なくても分かる。


 どきどき、どきどき。


 早鐘を打つ心臓の音。

 早まる歩調。


 明日、先輩はどんな顔をしているのかな。

 どんなふうに部室で迎え入れてくれるのかな。


 未来はずっとずっと先まで見えない。

 たとえ明日のことでも分からない。


 でも……分からないから期待してしまう。


 先輩が私を好きになってくれる未来を。

 私と恋人になってくれる明日を。

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― 新着の感想 ―
[良い点] まさか、そんな風に悶々としていたとは! ニヤニヤがとまらない(๑╹艸╹๑)♪
[良い点] うわー、これはドキドキするね。 見てる(読んでる)だけで、かなりドキっとするから、先輩も絶対にキタはず!! やるのう。これは私の作戦勝ち♡ すぐに進展はしないかもだけど、確実にハートに突…
[良い点] たまらん♡ [一言] ふむ、なるほど…「オセロで角を取った時にチェックメイトって言う弟がカワイイ」の前日譚ですね? あ、そっちとは関係無いの?! ( ノД`)
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