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そしてクズは、決意を固める


 そして更に八年の月日が流れた。

 俺はというと。


「今日はポルコルトの肉が新鮮で安いですよ! 早い者勝ちだよ」


 客引きとして働いていた。


 俺は家から追い出され、生活に追われている。現世にいたときよりも大変かもしれない。なんせこの世界には労働基準法など存在しないのだ。朝四時から日没までずっと働きっぱなし。


 剣士になるのはどうなったって? ここで働いているのから分るように才能がまたしてもなかったのだ。第一喧嘩が弱い俺ができることでもなかったのかも知れない。


 だが俺はまだ人生をエンジョイすることを諦めてはいない。

 俺は考えた。どうすれば才能がない俺でも世界を楽しむことができるのか。

 この際、人情とかいっても仕方がないだろう。


 それより俺は一体何がしたいのだろう。

 一つの考えが思い付いた。

 話し相手がほしいな。


 しかし現世では友達も碌にいなかった俺に作ることなんてできないはずだ。

 それに俺は魔法や剣術といった才覚は存在しない。商いをする才能もないかもしれない。

 そんな俺が話し相手など作れるだろうか。無理だな。正攻法では。


 正攻法ではない方法? おいおい分るだろう奴隷制度だ。この世界には奴隷制度が存在する。俺もこの世界で働き始めてその存在知ったが、どこの国でも奴隷制度はあるのだ。


 後から聞いた話だが、俺の両親も売るか売らないか迷っていたらしい。これは俺の後から生まれてきた優秀な弟が俺の嫌みと一緒に言っていたことだが……。


 どうして売られなかったは愛情からではないことは理解している。魔法が使えないものを買う物好きな人間はいない。つまり需要がなければ売ってもお金にはならないということだろう。


 奴隷として売られると主人が解放するまで一生奴隷なのだ。奴隷として売られなかっただけでも感謝しよう。


 話し相手を作るには奴隷制度を利用する。人間、どこまで人情を捨てられるかが大切なんだと教えられたからな。


 勿論無理矢理な関係は築こうとは思っていない。だがただ話し相手になってもらうだけなら俺の目標は楽をしてこの世界を満喫することはできない。


 働かずして生活をする方法。


 奴隷の稼ぎで生活を送ることが目標だ。


 実際にこの国でも何人もそういう奴らを見てきた。奴隷を買い、その稼ぎで生活をする連中。最初見たときは軽蔑したが、よく考えれば一番の生き方だと思う。


 どこに売られどんなことをされるか分らないよりも金を稼いで主人を養うだけというのは悪くない話なのだ。


「おい、ソルヤ。今日はもう上がって良いぞ。長い間、働いてくれてありがとな。まあここをやめてからまた生活に困ったらうちにこいよ。雇ってやるよ」


「今までありがとうございました。魔法も使えない俺を雇ってくださって。本当に感謝しています」

 そして今日俺は仕事を辞める。店主からお金の入った袋をもらい、頭を下げてその場から立ち去った。



 ある野望を心に抱いて。



 そう『ヒモ男に俺はなる!!』


おいおい、ハーレム王より酷いな(笑)

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