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第48話 ゲーム

「何だ!?」


「地震か!?」


 司が作りだした魔法陣が光り輝くと、帝国軍の陣の地面が揺れ始めた。

 何が起きているのか分からず、帝国兵たちは慌てるように声を漏らす。

 それは将軍であるベニアミーノとカルメーロも同じだ。


「落ち着け!」


「先程よりはたいした揺れではない!」


 2人の将軍はすぐに冷静さを取り戻し、兵たちに指示を出す。

 魔法攻撃にしては範囲が広く、ファウストの時と同様の魔法だとしても、魔力を溜めるだけの時間が短い。

 揺れもそこまでではないため、地面が割けるようなことが起こるとは思えない。

 何か起こるにしても、慌てる必要はないと判断したのだ。


“ボコッ!! ボコッ!!”


「「っっっ!!」」


 揺れが収まると、すぐに異変が起きる。

 地面が隆起し、何かが出現してきた。

 その出現したものを見て、ベニアミーノとカルメーロは目を見開く。


「スケルトンだと……!?」


「まさかさっき殺された……」


 地面から湧くように出現したのはスケルトンだった。

 そのスケルトンが装備している武器や防具を見ると、帝国製のものであることから、カルメーロはすぐにファウストに殺された者たちのことが頭に浮かんだ。

 避けた地面の割れ目に落ち、その割れ目が閉じて閉じ込められた仲間。

 その遺体が、司の魔法かスキルによって復活したということだろう。


「条件があるのではないのか!?」


「知るか!! しかし、そう考えるしかないだろ!?」


 カルメーロの呟きに、ベニアミーノがもっともな疑問を投げかける。

 慌てているせいか、カルメーロは思わず強い口調でベニアミーノの問いに返答してしまう。

 たしかにこれまでのことを分析すると、司が死体をスケルトン化するのには条件があったはずだ。

 奴隷によって張り巡らせたこの結界内では、その能力も無効化されるのだと、2人は話し合いによって導き出していた。

 その結論が間違っていたということが、今こうして証明されてしまった状況だ。


「フフッ! 勘違いしていたようだな?」


 慌てる2人の将軍のやり取りを見て、司は笑みを浮かべる。

 これまでの戦いから、帝国側は自分の能力について色々と推測していたようだ。

 しかし、結界がどうとか言っている所を見ると、結界内では死体操作ができないと考えていたようだ。


「何……?」


「勘違いだと……?」


 スケルトンが出現しているのだから、自分たち勘違いしていたことは分かっている。

 ならば正解を知りたいと、司の言葉を受けた将軍2人は、自分たちが勘違いしていた理由の説明を求めた。


「奴隷を使って結界を張っていたが、この結界では転移による侵入を防いでいるだけだ」


 帝国側が奴隷を使って張った結界は、たしかに転移による奇襲を防ぐことはできる。

 セヴェーロを倒した時は、転移によって王都内に魔法陣を仕込んでいたため、有利に事を運ぶことができた。

 しかし、今回それができなかったために、司は魔物の大群で攻めかかったのだ。


「だから、結界を張っているからといって俺の能力を防いでいることにはならない」


「何だと……」


「くっ……」


 つまり、この結界内であろうと、司は死体を操ることができるということだ。

 せっかく奴隷を使い潰して広範囲に結界を張ったというのに、司相手には意味がなかったと知り、2人の将軍は言葉を失った。

 司が言ったことが事実だとすれば、ここまで広範囲に結界を張る必要はなかった。

 もう少し範囲を狭め、使い潰すことになった奴隷を戦闘に使うことができたということだ。

 無駄な時間と労力を使っていたことに今気付かされ、2人の将軍は悔し気に司を睨みつけた。


「お前たちは送故司への攻撃を続けろ!!」


「お前たちはスケルトンの相手だ!!」


 結界が司の死体操作に意味を成さないことは分かった。

 だからと言って、このまま好きにさせるわけにはいかない。

 魔力障壁によって攻撃を防いでいるようだが、それが永久に続けられるはずがない。

 それと同時に、死体操作を使えるからと言って、それ以外のことができないように、その場に釘付けしてしまうことも目的として、ベニアミーノはこれまでと同様に司への攻撃を兵に指示した。

 司の方の指示はベニアミーノに任せ、カルメーロは地面から湧き出てきたスケルトンへの対応を兵に指示した。


「もしかして、奴らは俺が死体操作しかできないと思っているのか?」


 通用しないと分かっているはずなのに、帝国は魔法攻撃をしてくる。

 それを魔力障壁で防ぐ司は、独り言のように呟く。

 ファウストの時と同じように、やたらと魔法攻撃をしてくるが、まさかこれで足止めができているとでも思っているのだろうか。

 だとしたら、随分と舐められたものだ。


「部下であるファウストの方が、俺よりも強いとでも?」


 返答を求めての質問ではない。

 あくまでも自分の中で確認する為に呟いただけだ。

 単調に魔法攻撃をしてくる帝国に対し、司はスケルトン以外の攻撃を開始することにした。


「フンッ!!」


「ギャッ!!」


 司が魔法を放ってくる敵兵に対し、右手の人差し指を向ける。

 指先に集めた魔力を、司は銃でも撃つかのように発射する。

 ピンポン玉ほどの大きさの魔力の弾が指先から飛び出し、1人の兵の頭に風穴を開けた。


「……なっ!?」


 たいして威力がないはずの大きさの魔力弾。

 それがあっさりと仲間の命を奪ったことに、周囲にいた兵たちは驚きで反応が遅れる。


「これはなかなか面白いな……」


 敵兵を殺した司は、狙い通りの結果に笑みを浮かべる。

 まるで的当てをしているような感覚だ。


「これだけいるんだ。ゲームとして相手しよう」


 ファウストによってかなり減らされたとはいえ、帝国側にはまだ多くの兵がいる。

 それを相手にするとなると、時間がかかることは間違いない。

 強烈な魔法によって一撃で大量に減らすこともできるが、発動までに時間がかかるうえに、取りこぼしが出る可能性がある。

 強力な魔法には、大量の魔力が必要だ。

 もしも一撃で仕留めきれなかった場合、魔力切れ寸前の状態になった自分が、取りこぼした連中に仕留められてしまうかもしれない。

 そうならないためにも、司は最小限度の魔力で1人1人確実に倒して数を減らしていくことにした。

 それをおこなうためには、この攻撃は都合がいいい。

 ゲーム感覚で楽しめるからだ。

 そう考えた司は、両手の人差し指を帝国の兵たちへと向けたのだった。



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