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第27話 準備

「それで? どんな感じだった?」


 青垣砦の会議に乱入した司たち。

 これまで通り籠城をするという江奈の言葉が聞けたので、自分はそれを見越して動くことを決めた。

 それさえ聞ければ用はないと、司はファウストと共に砦から移動した。

 そして、砦付近に作った拠点へ到着すると、司はファウストに調査結果の報告を求めた。


「司様からお貸し頂いたゴーストたちに気付いていないようで、すんなりと情報を手に入れることができました」


「そうか」


 セヴェーロの動きを調査させるためにファウストを王都へと送ったのだが、調査に使えるだろうと司がスキルで生み出したゴーストたちが役に立ったようだ。

 自分たちが支配している王都内に、突如魔物が出現するなんて思っていなかったのかもしれない。

 ファウストやゴーストたちの探知を怠っていたのだろう。

 そのお陰か、ファウストは簡単に情報を手に入れられたようだ。

 調査にうってつけと思ってファウストに付けたゴーストが、役に立って何よりだ。


「まずはセヴェーロですが、帝国本土に連絡を入れたようです」


「フッ! それはそうだろ」


 セヴェーロが部下から報告を受けていた時には、もうゴーストが見聞きしていた。

 報告を受けたセヴェーロが、帝国にエレウテリオの死に続いてビアージョたちの死まで報告することになったことを嘆いていたようだ。

 その気持ちは分からないでもない。

 同情する気はないが、自分も同じ立場なら同じように愚痴をこぼしていたかもしれないため、司は笑みを浮かべて納得した。

 

「それにより、本国へと帰っていた将軍たちがまた大和へと再上陸するかもしれません」


「それはいい。他の将軍たちを潰す機会をわざわざ作ってくれるなんてな」


「左様ですね」


 元々、帝国の将軍たちは全員殺すつもりでいたのだ。

 1人1地区の攻略をノルマとし、先に攻略が済んだ将軍たちは皆帝国へと戻っていってしまった。

 帝国まで追いかけるのは、大和の奪還が済んでからにする予定だった。

 しかし、そんな事をする手間が省けたため、司はその報告に笑みを浮かべた。


「皇帝の奴も、血管浮き上がらせているんだろうな」


 前皇帝が急死して後を継いだ今の皇帝は、はっきり言って戦闘狂でお子様といった性格をしている。

 欲しいものは手に入れないと気が済まないという所が特にお子様だ。

 大和王国を手に入れる寸前での足踏み。

 領土拡大ばかりを画策している帝国皇帝の怒りはどれほどのものになることか。


「それでセヴェーロの動きは?」


 皇帝の歪んだ顔を想像するのは楽しいが、今はそれよりもセヴェーロの動きが問題になる。

 自分のせいとは言え少し話がズレてしまったため、司は話を戻すことにした。


「セヴェーロは他の将軍がこちらへ来たらすぐに攻め込めるように、王国内にいる兵を集めているようです」


 他の将軍を呼び寄せたのは、自分が青垣砦へ攻めている時に他の地区を管理してもらうためのものでしかないのだろう。

 それまでに準備を整えて、いつでも動けるようにしているのかもしれない。


「……それは、つまり……」


「はい。王都が狙い時ですね」


 王都に兵を集中させている。

 つまり、そこを攻め込めば現在王国内にいる兵の多くを一網打尽にできるということだ。

 確認の意味で司が問いかけると、ファウストは頷きと共に返答した。


「……フフフッ! 面白い……」


 思った通りの返答に、司は口の端を釣り上げて笑みを浮かべる。

 1人でも多くの帝国の人間を殺すことが、司の生きる目的だ。

 その標的が一か所に集まるなんて、司に攻めてくれと言っているようにすら思えてくる。


「奴らは俺のことをどれほど理解している?」


 セヴェーロがもしも自分の能力のことを知っているようなら、これは罠と考えることができる。

 警戒をする事を忘れず、その点について尋ねることにした。


「ビアージョたちの戦いの時、セヴェーロは念のため偵察隊を送っていた模様です。そのため、アンデッドの魔物を使う者がいるという情報は入っているようですが、まだ司様のことまでは掴めていないようです」


「そうか……」


 将軍の1人であるエレウテリオが殺されたのだから、ビアージョたちの進軍を許したセヴェーロも何かしらの手を打っていたはずだ。

 ビアージョたちが戦場でどのようにしてやられたのか知っていれば、もしかしたら自分の能力のことを理解している可能性も考えられた。

 しかし、ファウストの説明から考えるに、まだ自分のことは掴まれていないようだ。


「まぁ、掴めた所で、司様を抑えられる人間がいるか微妙な所ですが」


 アンデッドを使うような特殊スキルを持っていると分かれば、警戒は高めているだろう。

 どんなスキルでも、知っていれば対応することも可能だ。

 帝国側が対応策を考えられないように、司はできる限り正体を隠してきた。

 ファウストもそのことは理解しているが、主人である司はスキルを知られたからといって問題ない強さを持っていると思える。

 最終目的を達成するまで自分がやられるわけにはいかないという思いから、司は少し慎重になっているとファウストは考えていた。


「この世界にはどんなスキルがあるか分からない。俺のようにな」


「それは……」


 特殊スキルは、先天的・後天的のどちらの方法で手に入れることができる。

 司の死体使いの能力は後天的に手に入れたもの。

 自分でもどうして手に入ったのかは、いまだに分かっていない状況だ。

 特殊スキルがその名の通り、そうそう手に入れることのできないものだとしても、帝国の中に手にしている者がいないとも限らない。

 ファウストからすると、主人である司の能力に対抗できるような者などいないと思っている。

 しかし、司の言うことも尤もだと思える。

 そのため、司の考えを否定したいところだったが、そうすることはできなかった。


「まぁ、俺の脅威になる人間が現れる前に、セヴェーロは殺しておこう」


「はい」


 少ない可能性とは言え、警戒を怠ってここまでのいい流れを途絶えるわけにはいかない。

 それに、帝国兵が一斉に集まる機会を逃す訳にはいかない。


「俺は手駒の用意をする。その間ファウストも眷属の数を増やしていてくれ」


「了解しました」


 セヴェーロを倒すために、司は準備を整えることを始めた。

 これまで以上の数を相手にすることになるため、ファウストの協力が必要になるかもしれない。

 そのため、司はファウストに指示を出し、それに従ったファウストはその場から姿を消したのだった。



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