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第24話 殲滅

「…………ビアージョ様? コージモ様?」


「バカな……」


「あの2人がたった1人に……」


 突然戦場に現れた1人の男。

 それを相手に戦い始めた副将軍の2人。

 自分たちがその戦いの邪魔にならないために、他の帝国兵たちはマミーとスケルトンの相手の方へと集中していた。

 対人戦闘であの2人が負けるとは思えない。

 そのため、余裕を持ってその戦いを任せていたのだが、その2人が負けてしまった。

 信じられない出来事に、帝国兵たちは戦いの動きが止まる。

 1人だけでもかなりの強さを誇るビアージョたちが、2人がかりで負けうるなんて考えてもいなかった。

 戸惑うのも仕方がないといえる。


「ガッ!」「ギャッ!」


 相手が戸惑っているからと言って待つわけもなく、マミーとスケルトンは帝国兵へと襲い掛かる。

 マミーに殴られ倒れた兵を、スケルトンたちが持っている武器で仕留める。

 連携のとれた攻撃により、隙ができた兵たちは物言わぬ骸と化していった。


「と、止まるな!! 戦え!!」


「魔物を倒して、そいつを仕留めるのだ!!」


「「「「「おぉっ!!」」」」」


 ビアージョたちが死んでしまって、指揮を取る者がいなくなってしまった。

 しかし、自分たちよりもマミーやスケルトンたちの方が残り少ない。

 さっさと魔物たちを倒し、副将軍たちを殺した男を集団で攻めることが最善と判断した者たちが声を上げた。

 どこからともなく聞こえてきたその指示に従うように、帝国兵たちは魔物たちとの戦闘に集中し始めた。


「よし!! あいつを囲め!!」


「おやおや……」


 マミーとスケルトンたちをほぼ倒し終え、帝国兵たちはビアージョたちを倒してからは何もしないでいたファウストへと標的を変えた。

 ビアージョたちの仇を取るべく、ファウストを取り囲み武器を構えた。

 多くの兵に四方八方を塞がれつつも、ファウストは慌てる様子なく直立していた。


「流石にこの数の相手はしんどいですね」


 1人1人は弱くても、これだけの数に囲まれてはファウストでも無傷では済まないだろう。

 しかし、そんな状況でもファウストは焦る様子はない。


“…………ビリッ!!”


「……何だ?」


 帝国兵がファウストを取り囲む、一気に攻めかかろうとした。

 しかしその前に異変が起きる。

 何やらおかしな音が聞こえてきたのだ。


「フッ!」


 その音が聞こえて来たことで訝しむ帝国兵とは異なり、ファウストは何が起きているのか分かっているからなのか密かに笑みを浮かべた。


“ベリベリ……!!”


「…………っ!!」


 その音がどこから聞こえてきているのか気付いた帝国兵たちは、息を飲んだ。

 何故なら、その音はマミーやスケルトンによって殺された仲間の死体から聞こえてきているからだ。


“ベリベリッ!!”


「「「「「っっっ!!」」」」」


 おかしな音がしていると思っていると、その死体の皮や肉が割け、骨だけが立ち上がった。

 そして、抜け殻のように肉や皮を脱ぎ捨てると、近くに落ちている武器を拾い始めた。


「何で……」


「死体からスケルトンが……」


 死んだ仲間の死体から、スケルトンが次々と出現する。

 そんな悪夢のような現状に、誰もが唖然とする。

 アンデッドモンスターは、放置された死体から生まれるという話ではあるが、少し前に死んだ死体から生まれるというようなことは聞いたことが無い。

 しかし、間違いなく骨だけの存在が動いている。


「う、うわっ!! うがっ!!」


 落ちていた武器を拾ったスケルトンたちは、帝国兵へと襲い掛かる。

 そのスケルトンが、仲間の死体から生まれているということを目の前で見ている。

 そのせいか、帝国兵は攻撃に対して反応が遅れる。

 なんとか防御することができたが、スケルトンは1体ではない。

 目の前の攻撃の対応に追われている所を、横から攻めかかられる。

 両脇からきたスケルトンの槍に突き刺され、その兵は即死した。


「に、逃げるんだ……」


「か、各自撤退しろ!!」


 ファウストを囲むようにしていた帝国兵を、更に囲むように帝国兵の死体から生まれたスケルトンが包囲する。

 その時にはもうファウストはその場から消えていたのだが、それに気付く者たちはいない。

 せっかく倒し終えたと思っていたというのに、どう考えても勝ち目のない程のスケルトンに囲まれてしまっている。

 もう青垣砦のことなど考えている人間はどこにもいない。

 それよりも、生き残るにはこの場から逃げ出すという選択しか思い浮かばなかった。

 なりふり構っていられなくなった帝国兵たちは、四方八方へと向かって走り出した。

 味方がスケルトンに襲われているが、そんなことを気にしている暇はない。

 それどころか、それを利用するようにして突破を試みる者もいる。

 しかし、逃げようにも多くのスケルトンが立ち塞がっている。

 逃げようようとする帝国兵だったが、スケルトンの包囲から逃れることなどできず、次第に蹂躙されていった。


「ただいま戻りました」


「あぁ、ご苦労さん」


 少し離れた丘の上。

 その場へと戻ってきたファウストに、司は労いの言葉をかける。


「クックック……」


 戦場では、帝国兵の死体を利用して生み出したスケルトンたちが、帝国兵たちを殺していた。

 ある意味仲間に殺されて行く帝国兵たちが、断末魔の声を上げている。

 その声を、司は楽しそうに聞いていた。

 主人が楽しそうにしている様子に、ファウストも嬉しそうな表情で側に控えていた。


「次はセヴェーロになるかな?」


 動く帝国兵がいなくなったところで司が呟く。

 今回のことで、エレウテリオ軍の完全壊滅が済んだことになる。

 5人いるという帝国軍の将軍1人を殺し、その将軍が率いる軍を壊滅させたのだから、他の将軍たちも黙っている訳にはいかないだろう。

 他の将軍たちは、セヴェーロを残して帝国へと帰還していると言う話だ。

 また大和王国に来るとなると、まだ少しの時間がかかることだろう。

 それまでの間に、セヴェーロを始末しておきたいところだ。


「セヴェーロ将軍は王都にいるという話です。私が調査に向かいましょう」


「そうだな……」


 司の次の標的がセヴェーロ軍だと分かったファウストは、調査をしに王都へと向かうことを提案する。

 これまで通り、青垣砦を囮にして集まった者たちを皆殺しにするという策でも問題ないように思えるが、エレウテリオがやられてセヴェーロが何もしないでいたとは思えない。

 ビアージョたちを送ってどうなるかを、配下の者に探らせるくらいのことはしているはずだ。

 そのため、司は同じ手でいいのか考えさせられる。

 セヴェーロがどう動くか調査だけでもしておいた方が良いだろう。

 そう考えた司は、ファウストの申し出を受け入れることにした。


「調査ならゴーストたちを連れていくといい」


「畏まりました」


 戦闘では使用を控えるべき存在だが、ゴーストは調査において役に立つ。

 実体がないせいか、かべを通り抜けることもできるため、敵からすれば隠し事などできないだろう。


「行ってまいります」


 数体のゴーストを預けられたファウストは、司へと一言告げてこの場から去っていった。


「さて、俺は死体をもらいに行くか……」


 大量のマミーとスケルトンを出したが、ほとんどやられてしまった。

 手持ちの駒はまだまだあるが、セヴェーロ軍との戦闘の時のことを考え、駒を増やすために司は静まり返った戦場へと向かうことにした。



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